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39 とりあえず匿名希望で

遅くなりました。

すいません。

 ……今、何と?!


「先程貴女様の起こされた奇跡の御業は聖女様と呼ぶに相応しいお力とお見受け致します。ああ…本当に素晴らしいですわ。是非これから我が教会にお越しください。どうぞささやかなお礼をさせて下さいませ。」


 そのシスターってか、修道女は私をウルウルとした目で訴えかけてくる。


 やーめーてー!


 聖女とかほんとやめてほしい。


 だって、私のこれ、聖なる魔法系じゃないもの。


 時空魔法がどんな原理かはわかんないけど、元の怪我してない時の状態まで戻してるだけっぽい魔法なんだよ?


 …でも、待って?あれ?よく考えたらそれ凄くヤバそうじゃない?


『若返り』


 人々が(権力者や女性)が永遠に求めてやまないもの。


 これがもし、治癒魔法じゃないってバレたら…。


 正に『不老不死』の不老の部分をクリアできちゃう魔法だって知られたら…マズいのか?


 不死の部分は流石に無いってわかるけど。


 逆に聖女って認識になった方がマシなのかな?


 でも、聖女はちょっと烏滸がましいってか、私には合わない気がする。


 うん。やっぱ、僧侶って職業で押し切りたい。


 面倒だし、逃げよ。


「あ、私、聖女だなんてとんでもないです。職業僧侶で登録してるただの冒険者兼商人です。お礼は結構です。忙しいのでもう失礼しますね!さっ、お父様、参りましょう。」


「あっ…お待ち下さい。お名前だけでも!」


 すいません。匿名希望です。


 別に悪いことをした訳じゃないけど、このまま、さっさと商業ギルドに逃げ込もう。


 そして、ちゃちゃっとあの悪徳商人の事を聞いてみたいのだ。


 …個人情報保護法とかは無いが、教えてくれる可能性は低いけどね。


 まあとにかく今は逃げよう。


 隙を見て、宿屋に帰って、明日納税して、ウチに帰ろう。


 …このままギルドに入ったらダメかな?


 そのまま、振り向かずに商業ギルドに飛び込んだ。


 ………良かった。追っては来なかったね。


 そして、あの教会の人は本当にお礼がしたかっただけなんだと思って、ちょっとホッとしたよ。


 さて、気持ちを切り替えて…あの隣の領の商人、ロドス商会の事、聞いてみよう。


「すいません。またちょっとお伺いしたい事がありまして。取引先として考えているロドス商会の評判とか教えていただけないでしょうか?」


「はい。そうですね…ロドス商会ですか。一応、各商会の信用情報はお教えできます。必ずしもお求めの情報ではないかもしれません。それでも宜しければ、3番のお部屋でお待ち下さい。」


 何か少しでもわかればいいんだけども。


 単に借金さえ返せばいいのだけれど、返済した後にまたちょっかい出されても迷惑だから、なるべくあちらの情報は知っておかなければならない。


 だって、何のメリットがあるのか知らないけど、ロドス商会の目的がウチの領の乗っ取りなのは、ほぼ間違いないのだから…証拠はないけど。


 借金返して終わり…だったら、楽なのになぁ。



お読みいただきありがとうございます。


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