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37 聖女?

本日2話目です。

お読みいただきありがとうございます。

 納税を物納するか、現金納付するかお父様と悩みながら、冒険者ギルドをあとにした。


 特に絡まれる様なテンプレもなかった。


 商業ギルドで例の商人の情報が聞けないかお願いしてみようと思い、来た道を戻る。


 やっぱり治安は良いんだなぁと感心していたら…。


 悲鳴が聞こえた…。


 お父様と顔を見合わせて、野次馬の如くそちらに向かって走った。


 ただ単に、治安が良いはずのこの辺りで、悲鳴なんて、どんな危険の可能性があるのか知りたいし。



 現場は騒然としていた。


 商業ギルドに程近い大通りで、交通事故が起きたらしい。


 馬車同士がすれ違う時に、片方の馬車が端に寄り過ぎて清掃作業中の子供たちを巻き込んだそうだ。


 救急車とかはないし、医者もいないので、薬師や治癒師が駆けつけるはずなのだが、誰も呼びに行く気配がない。


 隣にいた野次馬の一人に聞いてみた。


「あの子供たちはスラムとの境目くらいに有る教会の孤児院の子供たちなんだ。毎日ああやって清掃の仕事をして暮らしていて、食って行くのも厳しいのに、治癒師に払うお金なんてないんだよ。だから、誰も呼ばない。呼べないのさ。可哀想だけど…あの子供はもう助からない。」


 と教えてくれた。


「その内教会から怪我をした子供たちを引き取りに来るはずだよ。」


 とも言っていた。


 それまで…あのまま放置なの!?


 あ、あの子たちをはねた馬車の持ち主は何をしているの?!


 救護義務とかないんだろうか。


 治療費くらい出さなきゃいけないのでは?と思っていると馬車の御者が乗っている主人と思われる者から何かを受け取り、それを怪我した子供の上に載せる様に投げた。


 音からして多分お金なんじゃないかと思った。


 その小袋の衝撃でさえ、呻いて苦しそうにしている。


 そして、義務は終わったとばかりに、馬車はさっさと行ってしまった。


「ひどいっ…。」


「残念だが大きな街では良くある事なんだよ。この王都は特に孤児が多いんだ。人頭税を納める必要がないからね。治療費は物凄く高いし、多分あのお金だけでは無理だろうね。」


 お父様が悲しそうな表情で言う。


 …私なら助けられるよ。ねえ助けてもいい?


 ちょっとした騒ぎになるのを覚悟すれば良い。


 だって、私は僧侶としてギルドで登録したんだし、治療してもおかしくないんだよ。


 あの子たちを見殺しにはしたくない。


 我慢できない。


 お父様は諦めた表情で私を見つめ溜息をつく。


 数分の葛藤の末に、私は子供たちの所に駆け寄った。


 お父様も一緒に来てくれて、傷の状態を診てくれている。


 …大丈夫、まだ生きてる。


 一番酷い状態の子は、背中をあのデカい車輪で轢かれたみたいで跡がくっきりついて、口から血が流れている。


 内臓が破裂しているのかも…だけど、私の魔法なら、『戻せる』はず。


 そして優しくなぞる様に手を触れ、願った。


 事故が起きてから、そんなに時間が経っていないお陰で、そんなに魔力を消費しなくて済んだ。


 そして、衣服に付いた車輪の跡さえ消え、その女の子は目を開けた。


 周りから、小さく歓声が上がった。


 腕を轢かれて骨折した男の子にも同じ様にして、元に戻した。


 擦り傷だけで済んで、2人に縋って泣いていた女の子の膝も治すと驚いて泣き止み、私に「お姉ちゃんを助けてくれて、怪我を治してくれて、ありがとうありがとう」と繰り返しながら、あの馬車の御者が置いていったお金を押し付けてくる。


「い、要らないから。それはあなた達の慰謝料としてもっておいて良いんだからね。」


 そう説明していると、後ろから話しかけられた。


「聖女様」


 …へ?聖女?


 驚いて、否定しようと振り向くと、教会のシスターの様な格好の若い女性が立っていた。


やっと、タイトル回収できました…長かった。

すいません(>人<;)

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