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30 塩壺

お読みいただきありがとうございます。

 案内された1番の商談部屋に入ると、中は上品で落ち着いた雰囲気の応接室になっていた。


 なんとも座り心地の良いソファに腰掛け、言われた様に待っていると、しばらくして1人の男性が入ってきた。


 なんか、すっごいイケメン。しかも所作が物凄く上品。貴族だな。それも上位貴族だね。見ただけでウチみたいな貧乏下位貴族じゃないってわかるよ。私の勝手な想像だけどね。


 この部屋の内装はこの人の趣味だろうか。

 

 さりげなく高級感を出し萎縮させつつ、極楽ソファでリラックスさせてしまうという、商談を有利に進めさせる為の仕様なんじゃないかと勘ぐってしまうよ。


 ウチのソファ…私の魔法で新品同様に戻ってるけど、元々の素材やつくりがまるで別物だ。


 さすが王都。田舎に比べてかなり技術度が高い。是非ウチにも取り入れたい。


「初めまして、私はこの王都商業ギルドのギルドマスターでレナルドと申します。どうぞお見知り置きください。この度は商人登録に来られたという事ですが、プリビオン商会では主にどんな物をお取扱いになるのでしょうか。」


 うわぁ…偉い人なのに丁寧だわ。すごい素敵なイケメンだね。ちょっと探る様な視線が怖いけど。


 交渉はお父様ではなく、10歳の小娘だけど、私がする。


「はい。こちらこそ宜しくお願い致します。早速ですが、こちらをご覧いただけますか?」


 異空間収納はあまり見せたらいけないとは思ったが、これから品物を納品する上で、いずれ知られてしまう。


 それならばと、既にこの世界にもあるアイテムポーチを使用しているように見せかける為、小さな布袋に手を入れ、そこから取り出す感じに見せて塩壺を一つテーブルの上に置いた。


 アイテムポーチも高価な物だけど、なくはない。価値はその容量次第。


 対外的には、少ない容量だと説明しよう。


 皆、盗難に遭うのを恐れて、あまり見せびらかしたりはしないけど。


 ギルドマスターのレナルドさんが、少し目を見開いた。


 まさか、新規登録の新人商人、しかも小娘がアイテムポーチなんて持ってるとは思わないよね。まあ、軽く流してほしい。


「拝見します。なるほど…塩ですか。かなり上質ですね。」


「ウチの領の特産品の一つです。この塩はいくらで買い取っていただけますか?」


「そうですね。岩塩と違いとても使い易そうですし…この壺も良く出来ている。塩と壺合わせて金貨1枚でいかがでしょうか。」


 おお!あの宿で見せてもらった岩塩と同じ値段。だけど、あっちは販売価格で金貨1枚。これは原価で金貨1枚。これの販売価格は一体いくらを想定しているのだろうか。


 でも、これをギルドがいくらで売ろうと、ウチの原価は皆の労働力だけだから、一つ金貨1枚で売れれば十分だ。


 今収納内に入っている塩壺は、全部で100個だけど、全部一度に売ろうと思ったら、安く買い叩かれてしまうかな。


 でも逆に、もっと多くの数量が欲しいと言われたら、瞬間移動で戻って、村から持って来ればいいし。


 たくさん買い取ってもらえたらいいんだけどな。


「如何程買い取っていただけますか?数量にご希望がございましたら今手元にある数以上でも、後日納めさせていただきます。」


「そうですね。今回200個程までならこの金額で一度に買い取れます。いかがです?」


 おおう。やった!今もきっと増え続けているだろうし、村には100個は確実にあるから、手持ちの在庫はこの場で、残り100個は後日買ってもらっちゃおう!


次は来週末更新予定です。

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