27 借金の返済額
お読みいただきありがとうございます
出掛ける前に、宿の人に現在の塩の値段を聞いておいた。
実際に木箱に入った塩を見せてもらい、一箱金貨1枚もするらしい。何キロ入りかはちょっとわからないが、大体、30センチ四方の木箱だった。
高いけど、ウチの塩より茶色くて、大小様々な半透明の塊。きっと、岩塩だからだろう。でも、高級宿で使用しているだけあって混ざり物の少ない良質な岩塩の様だ。
ウチで量産している壷入りの白い塩とはもう見た目から違う。
錬金術で取り出した塩は少ししっとりしていたけど、最初そのまま壺に詰めておいたら、湿気を吸ってしまうのか、ベチャベチャになってしまった。
だけど、壺に詰める前に一度火を通して水分を飛ばすようにしたら、割とサラサラして、かなり高品質になったと思う。
いくらで売れるかな。
ちょっと販促活動しておく。
いくつか高さ10センチ程のお試しサイズの塩壺も用意しておいたから、一つ宿に渡して使ってもらおう。
見た目が白いからびっくりしてた。
当然、私も使用しているから、味とか問題ないとは思うけど、しっかり後で感想を聞かなくては。
それにしても、塩がウチの領民10人分の税と同じ金額だなんて…。
この高級宿の一泊の宿泊料金が朝夕食事付きで大銀貨5枚。二人分で合計金貨1枚。
高いわ…ぼったくりだよ。
けど、前世のお金の価値観と照らし合わせると、
銅貨 →10円
大銅貨→100円
銀貨 →1000円
大銀貨→1万円
金貨 →10万円
大金貨→100万円
白金貨→1000万円
こんな感じ?
王都だから少しお高めかもしれないけど、一応平民街で昼食でも買って確かめよう。
今回の我が領の税は、領民が約300人なので、1人頭大銀貨1枚、お金で納めるなら金貨30枚、小麦、大麦でなら合わせて60袋である。
二袋あれば1人が1年間食べられる量だと算定されている。
ウチは辺境で、領民も農家の平民しかいないのがわかっていて、お情けで税を安くしてくれてるのかもしれない。
王国の隅っこの貧乏な地方貴族だから、重要視されていないだけの可能性もあるけど。
…あの商人から借りた金額は、金貨80枚。現在金利合わせてどれくらいまで膨らんでしまっているだろうか。
怖くてお父様に聞けない…返済期限は5年だけれど、果たして5年間丸々借りていて大丈夫なのだろうか。
5年後に返済する金額がキチンと明示された契約書ならまだマシだけど、もし金利30%とかの暴利だったら、単純計算で5年後には、利息合わせて金貨200枚になっちゃう。
元利合計で毎年計算されちゃえば、もっと増える…ヤバい。
怖がっている場合じゃないよ、聞かなきゃ。
…聞いた。
1年毎に金貨20枚増えるそうだ…。
5年後だと…金貨180枚!あかんよ!元金の倍以上だよ!
悠長に5年も借りてたら駄目だ。
今は晩秋。
この冬を越えたら。
もう…すぐに1年目がやって来る。
何としても次の春までに最低でも金貨100枚を稼がねば!
次の更新はまた週末となります。




