25 王都
お読みいただきありがとうございます
夜明け前に簡単に朝食を摂る。
私が屋敷で作っておいた、卵と白地鶏とネギの麦粥だ。鶏の優しいお出汁が効いている。本当は鰹だしや昆布だしが欲しかったんだけどね。
朝にピッタリのあっさりした美味しい食事だよ。
森の亡者ゾーンで捕まえた地球の鶏に良く似た飛べない地面を走る鳥だったから白地鶏と呼んでいる。
狩ってしまうだけだと、狩り尽くして食べられなくなるかもしれないし、なんと言っても卵が欲しくて村で飼育することにしたのだ。
他にも一角牛と名付けた牛も見つけた。一角牛と名付けたが、実はメスにはツノが無い。でも、オスには鋭いツノが額に一本有り、普段は大人しいが、繁殖期になると少し凶暴になるので注意が必要らしい。
これも、狩人に頼んで殺さずに捕まえて村で飼育し始めた。先ずは増やして、肉や牛乳を取るためだ。
餌にする野菜や穀類は豊富にあるし、家畜の糞は畑の肥料になる。
今現在、羊系も探してもらっている。ウールとか取れたら暖かい服が作れる。
亡者ゾーンは憑依される前に脱出という時間制限があるから、探索に少し苦労する。
もう少し家畜が増えたら、畜産の為に土地を広げていくつもりだ。
「それにしてもフラン、この白地鶏の粥は美味いな。もうだいぶ涼しい季節になってきたから、特に身体が暖まる。街中でもないのにこんなご馳走が食べられるのも、お前のおかげだ。ありがとう。」
そう言って、私の頭を優しく撫でてくれる。
ちょっと照れるけど、凄く嬉しい。
ご飯も食べ終わったし、貴族用ドレスにも着替えた。
今回御者はお父様がする。
そして、私が馬車の中から門番に貴族の印である家紋の刻まれた飾り剣を見せればいいのだ。
門番も領主自ら御者してるなんて思わないだろうな。
お父様は器用に馬を操り、貴族門へ向かう。
一般通用門の前にはもう商人と思われる荷馬車などが列を成し始めている。
貴族門を通ったのは、今の所私達だけだった。
だって、貴族ってそんな早起きじゃないらしいからね。
門番の人も少し驚いていたよ。
とにかく何事も無く、無事王都に入れましたね。
後は、さっさと王宮に麦を納めて、ギルドへ行こう。
予定よりもかなり早く王都に着いてしまったので、貴族専用高級宿には予約無しだったけど、すんなり部屋を取れた。
これがもう少し遅ければ、最悪空いてなかった可能性もあるらしい。
空いてなかったら…貴族なのに街中で馬車生活か、平民街の比較的安全な商人向けの宿を探すのだそうだ。
お金持ちの貴族なら、王都にも屋敷を持ってたりするけど、地方の貴族が一時期に集中して貴族専用高級宿を取るのだから、足りなくなるのも当たり前、時期をずらして来たのは正解だった。
ここは貴族街で、貴族専用門をくぐるとここに直で入れる様になっていた。
王都の建物はうちの屋敷のように完全木造じゃないみたい。
何処かで切り出してきたのか、石造りの立派な屋敷が多いようだ。
平民街も見てみたかったのに、仕切られていて簡単には行けなくなっている。
この王都は真ん中に王城があり、それをぐるりと囲む高い壁、その外側に貴族街、そして一番外側が平民街となっていて、全て高い壁で仕切られている。
まあ、各ギルドやお店は平民街にあるから、絶対行かなきゃいけないんだけどね。
先ずは市場調査しなくちゃね。
何か美味しいものあるかなぁ。
屋台とかあったら、食べ歩きしてみたい。
塩とか売る前に物価やお金の価値とかも確認しとかないと、詐欺られても悔しいからね。
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