20 生産品を作り貯め
お読みいただきありがとうございます。
情け無い事にウチの村にはギルドも何も無い。
だから、当然他の大きな街に出かけて登録しなければならない。
1番近くのギルドのある街は隣の領である。
けれど…隣の領にはウチのお父様に金を貸したあの商人がいる。
正直近寄りたくない。
下手すると妨害されるかもしれないし。
となると、かなり遠くの街に出て登録するのが良いだろうとなった。
年に一度、税を納めるために王都へ行く。
なら、ついでに王都で登録しちゃえばいいと言う事で、その時には私も付いて行くのだ。
そうすれば次からは瞬間移動できる。
瞬間移動は一度でも行ったことがある場所にしか移動出来ない。
瞬間移動をしようと思うと、頭の中に色んな景色が浮かび、その中から選んで移動出来るのだ。
もう、森に通う様になってから3ヶ月経った今では、白竜さんの送り迎えが無くても、一瞬で白竜さんの庭にお邪魔できるようになったんだ。
収納魔法も、毎日欠かさず飲んでいる万能薬草のおかげで、魔力量が増え、収納可能容量も増えた。
魔力量に比例して、移動距離も収納可能容量も増えていくらしくて、王都まで行くにはまだもうちょいかかる。
幸い、税を納めに行くのに、まだ半年程猶予がある。
お金はまだないので、今回の納税は麦と小麦で納める。
生産物の現金化の目処が立つまでは、農産物を使ってのお酒などの特産品には取りかかれない。
先立つ物が無ければ、設備を整える事など無理だと分かったから。
意外にも、我が村での錬金スキル保持者はかなり増えた。
特に子供達が凄かった。
力仕事が出来ない代わりにと、毎日魔力枯渇からの気絶ループを繰り返し、恐ろしい勢いで魔力量、錬金スキル、採取スキルを鍛えている。
毎日森の外周を辿る様にして海に出て、大量の海水を塩に変える班と、ポーション容器を作る為の砂を採取する班、森に入り、取り憑かれる前に亡者ゾーンの薬草を採取して村に持ち帰る班、村でポーション容器とポーションを錬金する班に分かれて作業した。
同じ薬草を使用しても、ポーションは個人毎に経験の差で効果に差異が出てしまうのが判明。
ポーション容器も同様で、一部のベテランさんじゃないと均一な物にならなくて、まるで専門のガラス職人みたいになってもらっている。
ふむ…ガラス職人いいね。
当然、より効果の高いものが高く売れる筈なので、ある程度、塩班で経験を積んだベテランが薬草ポーション作りにまわる様にした。
勿論、錬金スキルを覚えられなかった者達も、狩人や樵で全員が上手く役割分担できている。
最近は、少し人手が足りないと思い始めているほどである。
食料は毎日各家庭、人数で分配しているので、以前の様に貧しい食生活から脱却出来ている。
これなら、口減しで他領に辛い出稼ぎに出ている者達を呼び戻せると皆喜んでいる。
他で作られたものとの差別化を図りたいと、万能薬草程ではないが、薬草よりも効果の高いポーションが作れる上級薬草を私が魔物ゾーンで採取してきた。
それを使ったら、問題なく魔力ポーションが出来た。
きっと、目玉商品として高く売れてくれるんじゃないかと期待している。
ポーションにも鮮度があって、普通に置いておくと作ってから1ヶ月程で劣化してしまう。
ところが、私の収納魔法で保管していれば、いつまでも作りたてが維持できると判明して、ガンガン作り置きしても大丈夫となった。
でも、ポーションだけでなく、大量の塩も収納しなければならないから、まだまだ頑張らないと。
万能薬草ポーションを飲むだけなのに、何を頑張っているのか?
実は少し前から、私も魔力枯渇からの気絶ループも取り入れて魔力量を増やしている。
村の可愛い子供達が頑張っているのに、私がやらない訳にはいかないでしょ。
それに食環境が安定して以前より体力がついたおかげか、万能薬草の全ステアップの効果のおかげか、魔力が尽きてもあまり苦しくならずに気絶できる様になったんだよ…あはは…微妙…。




