18 感謝
お読みいただきありがとうございます
その夜、約束通りに白竜さんは迎えに来てくれた。
魔力は、魔力切れと感じてから6時間程経っていたけど、殆ど…いや全然回復してなくて、魔法が使えない。
どうしてなのか不思議に思っていたが、白竜さんに聞いて、魔力を自然回復させるには少しだけでも眠らなければ回復しないのだと教わった。
手っ取り早くなら、魔力ポーションを飲む。
そして、魔力最大値を増やしたいなら、ひたすら魔力枯渇、気絶、魔力枯渇、気絶を繰り返せば、すぐに魔力値は伸びていくという事だった。
今日は気絶するギリギリまでで自重したから、ぶっ倒れなくて魔力回復ができなかったと。
なるほど。でもね。無理。
あの魔力を空にしてから気絶するまでの間の体調の悪さと、気絶する瞬間のブラックアウト感はあんまり経験したくないのだけど。
あれ、キツいんだ。
指先から冷たくなって、膝がガクガク震えて、まるで自分の身体じゃないみたいになる。
あんなの何度も経験したくないよ。
で、万能薬草ポーションの出番となる。
そして、魔力を回復させた私は、瞬間移動と異空間収納の練習に励む。
魔力限界まで練習して、屋敷までまた送って貰った。
本当に白竜さんには感謝だ。
頑張って毎日飲めば、魔力最大値だけじゃなく、全部のステータスが上がるらしい。
どうしてこんなに親切にしてくれるのか不思議で、ちょこっとだけ聞いてみたら、私が怖がって逃げたり攻撃したりしないからだそうだ。
白竜さんには誰も近づかない。人間も動物も魔物も。
神様から特別に魔法を貰った私が、偶々森でその力を使って、白竜さんの興味を誘ったのだろう。
私が白竜さんを恐れなかった事で気に入られたってところかな。
…白竜さんはこの森の最奥で魔力世界の要とされ、この世界が出来てから独りぼっちで…寂しかったのかもしれない。本人は絶対に寂しいなんて言わないだろうけど。
そうそう、成分を抽出したりできる錬金スキルが欲しいと考えていたのに、どうしたら習得できるのか、白竜さんに聞くの忘れてた。
よくラノベの世界では、最初から持っていたり、職業で習得出来たりとかなんだけど、この世界ではどうなんだろう。
明日こそ聞いてみよう。
あ、そもそもステータスとかあるんだろうか。
…あの時神様に聞くべきだった。
でもね、何か質問ありますかーとか、何か意見はありますかーとか言われても、その時は頭真っ白で何にも思いつかないんだよね。後であれ聞けば良かったとか、ああ言えば良かったとか、必要になった時思うんだよ。
ゲームの様なHPとかMPとかあるんだったら、確認してみたいね。
神様には、善き魂を持ってこの世界で普通に生きてくれるだけでいいって言われたけど、ここで幸せに生きる為には、かなり色々頑張らないとダメだね。
衣食住どれもイマイチ。
貧しいのはウチの村限定なんじゃないかって気もしてる…。
とにかく、神様に聞きそびれた事を白竜さんに聞く事が出来るからまだマシだよね。
今日は早めに帰って来れたから、まだ眠る時間はある。
少しでも眠って、魔力の回復をしなくちゃね。
ジャガイモの収穫を終えてしまわないといけないから。
ふぅ…今日も疲れました。おやすみなさい。




