16 修行?
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と言うわけで、私はちょっと大型の白馬に毎晩送迎される事になった。
昼間は農業。
深夜は修行。
寝る暇ないじゃん。
私、死んじゃうかも。
人間寝ないと死ぬって聞いたことあるけど、そこんとこどうなの。
白竜さん云く、万能薬草飲んでいれば、寝なくても大丈夫…だそうだ。
本当にヤバい薬だ。
ま、魔物退治しなくても、ステータスが伸びるのは嬉しいから、良しとする。
翌朝、村の人達が、成長して実が成っている畑を見て驚愕していた。
「私の祈りが神に届いたのですね。神様ありがとうございます…。」
とかなんとか言っといた。
もちろん両手を胸の前で組んでね。
誤魔化せるかどうかわかんないけどね、まだまだ収穫するよ。
そして、村人総出で刈取りし始めたんだけど、農具が古くてあまり作業が進まないみたい。
そこで、私の出番ね!
古くなった農具は私の時空魔法で『綺麗』になった。
皆、驚き喜んでくれた…これも、箝口令ものよ?皆分かってるよね?
まあ、いつかは漏れてしまうだろうけどね。
よし!一回目の収穫終わり!大豊作でした。
これなら、もう麦は充分らしい。
なんだ、それなら、他のものを畑に植えようか。
そうよ、思い出した!私お芋が欲しかったのよ。
村人達に聞いてみたら、普通にジャガイモはあるそうだ。やっぱり地球と似ている。
それならそれを育てましょうと言ったら、変な顔をされた。何故だ。
ジャガイモは毒があると言われてて誰も食べないらしい。
うん。あれだね。芽が出るまで保管して、芽ごと食べちゃった人が広めたやつ。
私が食べさせられてる麦がゆで押して測るべしね。
調理法があんまり…ね。
え。生で食べて美味しくなかった…と?果物に似てるけど、野菜だからね。火を通そうよ。
調理法以前の問題でしたな。
そして、実際に採って来てもらった。
ジャガイモは畑じゃなくて、普通の野原に生えていて、抜いてきた根っこにはいくつも小芋が成っていた。
畑じゃないから栄養が足りなくて、あまり大きく育たないのかな。
まあ、小芋でも芽が出ないうちに皮ごと煮たり揚げたりしても美味しいと思うよ。
でも、やはり、大きく育てて、フライドポテトは作りたいよね。
私は村人達に芽の部分が毒なんだと言う事を説明して、畑に小芋を植えるように指示した。
そして、また『祈り』を捧げる。
忽ち芽が出て育ち始める。
どれくらいまで育てばいいのかわからないから、試しにちょっと抜いてみると、野原で抜いてきた物よりも大分と大きなジャガイモが出来ていて、思わずニヤリとしてしまった。
さて、これが毒じゃなくて、美味しいんだって教えないといけないんだけど、油がないから、フライドポテトはまだ無理ね。
でも、粉ふきいもがある!学校の調理実習でも作れる簡単なもの。
皮を剥いて、一口大に切って、茹でて、お湯捨てて、塩コショウして、その鍋のままゆするだけで粉ふきいもの出来上がり。
更にマヨネーズで和えても美味しいね。コショウもマヨネーズも無いんだけどね。
私は畑のジャガイモを全て収穫してもらってる間に、急いで屋敷に戻り台所で作り始めようとしたけど、何もかもが壊れかけで汚い。
これ、貴族の屋敷じゃないよね。
仕方なく、まず鍋やら包丁やら台所内全てを『綺麗』にした。
新品に戻ってピカピカになって気持ちいい。
けどヤバい、疲れてきた。
魔力切れたよ…。




