11 勘違い
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結局、色々試して、言葉で発動するわけじゃなくて、強く想うってか、願う事で、私が神様から貰った時空魔法は使えたのだった。
そう、極端な話、全て『お願い!』ですぐに発動する。
単純な私にもってこいの便利な魔法だった。
そして、あの後、ちょっと大変だった。
なんと、あの刺客だと思っていた3人は薬草採取のクエストで森に来て、案の定森の亡者たちに乗っ取られていただけの新人冒険者達だった。
時を止める魔法が消えて、皆が動けるようになった時、冒険者の3人は暴れてもがいていたし、お父様と家の使用人も襲いかかって来たのだ。
冒険者3人は私が拘束しておいたおかげで問題なかったから、頑張って男性3人を半裸にしたという、乙女にあるまじき恥ずかしい行動をした甲斐があった。
では、どうやって、お父様と使用人を止めたのか?
私が身体を張って止めたというか、偶々抱きついたら、正気に戻ってくれたというか。
要するに、白竜さんのくれた竜鱗が自動でいい仕事してくれたのだ。流石レアアイテム。
同じ方法で3人の冒険者達も正気に戻した。(抱きついたわけではない!)
そして、村に戻り、お父様の命を狙ってはいないと言った3人の証言を裏付ける為に、隣領内の街の冒険者ギルドへ使いを出した(この村唯一のお父様の馬で)。
村人達の言葉を聞かず、薬草採りくらい出来ると、長時間、曰くありの森に入ってしまったお父様たちが、村の代表さんに怒られたり(我が村の常識で村人達は乗っ取られるパターンやタイムリミットをちゃんと知っていた)。
私は気を張っていたからか、村に戻るまでしっかりしていたけれど、到着後、父親が怒られているのを見ながら、ぶっ倒れた。
それから、2日間寝込み、空腹で目が覚めた。
私が寝込んでいる間に、冒険者達がきちんとクエストを受注して森に入ったのを、ギルドは保証し、彼らが無罪放免となった後、村人に森に入る為の注意を受け、薬草採取をして隣領の街へ帰っていったそうだ。
私は目が覚めた時、寝てる間に例の切り取った「時」が彼らの身体に戻り、大怪我が現れてしまってるんじゃないかと焦った。
けれど、あの白竜さんの推測は当てずっぽうだったみたいだし、必ずしもあの大怪我が再現されるとは限らないと思い直した。
あの切り取った「時」は人から人へと移せるのはもうわかっているので、次は人から物へと移せるかどうか。
…結論から言うと、物にも移せたし。
何に移そうか迷って、結局道端の岩に手を当てて、移してみたら、表面に傷がつき、真っ二つに割れた。
あとは、どこへも移さなかった場合、時間が経ち元の持ち主へと傷などが再現されてしまうのか否か。
お父様を傷つけたものか、使用人を傷つけた方なのかはわからないけれど、1つは消化できた。
もう1つは残してあるけれど、あの冒険者のお兄さんには戻らないんじゃないかと思う。
あの時白竜さんは、時間が経てばまた再現されるのではと仮説を立てて、私を不安にさせたけど、それはあくまでも推測。
2日経っても普通に出せたんだから、あの「時」は私が切り取って頂いてしまったんではないだろうか。
そして、現在も保持し続けていて…。
それは私の所有物なのではないかと考えている。
『時を切り取る』ならその考えで良い。
だけど、本当は『時を巻き戻す』とかだった場合だったらどうしようとか、一瞬ドキッとして青くなったけど、もしそれなら、他に移すなんて事は出来ない筈だと思い直した。
…けど万が一、冒険者が突然傷だらけで死んだーーなんて、怖いから、この後また岩砕きしに行こう。
はぁ…神様に詳しく聞きたいよ。
説明なしだった神様もうっかりさんだと思うけど(さすがうっかり私を死なせるだけの事はある!)、あの時それを指摘出来なかった私も、大概間抜けだったよ。
神様から使用方法とか使用上の注意とか、全く聞くの忘れてたんだもの。
もういいや…。
今は…村の畑の件を進めなくては。
2日も寝込んでいたので、畑の育成が進んでない。
とにかく、また『祈り』に行かねば。
そして今夜こそは、収穫出来るところまで成長させてしまおう。
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