10 亡者
お読みいただきありがとうございます
(あと1人…あと1人…。)
(殺す…殺す…もっと。)
やっぱり殺してしまった方が…スッキリする?
『賢しらな…亡者どもめっ!散れ!』
(ひぃぃっ…)
え……?
なに…今のは?
私…は…何故…殺す…なんて?
『娘!しっかりせい!亡者どもに同調させてはならん。奴らに乗っ取られるぞ。』
「あ…私?なんで殺したいなんて…っ…。」
『この森で死んだ者達が怒りや恐れ、悲しみや悪意などに惹かれて寄ってくる。この森に入った人間を取り込み殺し合いをさせようとする。弱っている者ならすぐに支配されるぞ。』
ヤバ…私、取り憑かれてた?
いくら、自分の父親が刺されてたって、まだ助かるかもしれなかったんだし、まさか、敵、犯罪者を全部殺そうだなんて。
たとえ、この世界に馴染んでいたとしても、そんなこと考えるなんて…自分が怖いよ。
『ここは亡者どもが屯する森の入り口だからな。父親が襲われていたら、動揺するのは当たり前だからな。動揺している人間は誘導しやすい。そなたが取り込まれそうだったのは、見えておったのだが、つい時空魔法が観たくて亡者どもを放置しておった。すまん。』
すまんて…私、殺人犯になるところだったんだよ?!
もう少し早く、正気に戻して欲しかったよ…。
うわ…この敵さんの傷はどうしようかな。
「白竜さん、ちょっと聞いて良い?」
『なんだ。』
「うん。まず、お父様の傷をこの敵さんと入れ替えたでしょ?もし、今からこの敵さんの傷の「時」を切り取ったら、時間が経って傷が再発するのは、敵さんの身体にだよね?」
『そうだな。そういう事になるな。そなたの父親ではなく、そこの刺客の方に戻るであろうな。』
「あのね。この切り取った「時」を私がキープしてストックしておく事はできないのかしら。キープしたそれらを私が身を守る為の攻撃に、好きな時に使えたらいいなっと思って…。私、攻撃力皆無だからねー。」
『なるほどな。うーむ…流石の我でもわからぬな。知らぬからこそ、我がわざわざここまで出向いたのだし。』
ん?
じゃあ!さっき教えてくれるーとか言ってた、切り取った時を入れ替えるとかいうやつは当てずっぽうだったの?!
『…そなた、ちゃんと成功したではないか!我の推測は正しかったではないか。』
…やっぱ、推測だったんじゃん!
感謝して損したよ!
はあ…疲れた。
と、とにかく、敵さん死なすのはまずいから、もう一回「時」を切り取って…。
しんどいけど、もうひと頑張り。
…服、脱がす。
…武器も取り上げた。
よし、3人共剥いたぞっ!
私、頑張った!(恥ずかしい…)
『…そなた、名前は何という?』
フランデア…フランデア・フォン・プリビオン。
『また…我が森に来い。』
やだ。
『なっ!何故だっ?』
だって、幽霊ここいっぱいいるんでしょ?また、取り憑かれたらやだもん!
『も、亡者どもはこの入り口の浅い場所にしかおらん。我のいる森の奥ならば安全ぞ。』
攻撃力の無い私じゃ、森の奥なんていけませんー。魔物いるから無理ー。それに、森の入り口通らないと森の奥にはいけませんー。亡者が怖くて通れませんー。
『ぐっ…わかった…これをやろう。』
白い鱗?
『これは我の魔力の篭った白き竜鱗だ。これを持っておれば、亡者どもは寄ってこんし、この森の魔物も襲っては来ぬ。…だから、また来い。わかったな!』
はぁ?来いって…わけわからん。
白竜さん言うだけ言って消えたよ。
あぁ…もう、疲れてんのに…。
わかったよ。
レアアイテムっぽい白い鱗貰っちゃったし。
いつになるかはわからないけどね。
ああ。高級薬草取りに行くのはアリね。
よし、それじゃ、この止まった時を解除…解除って、どうやってするんでしょうか…。
さっきは必死だったから、どうやって時を止めたのかわからないよ。
魔力切れるまでってか、私がぶっ倒れるまで待つとか?それはヤダなー。
どうしよう…。
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