1プロローグ
ちょっと、気まぐれで書き始めました。
ただでさえ遅筆なのに、自分で自分の首を絞めている感はありますが、地道に書いていくつもりです。宜しければ暇つぶしにお読みくださいね。
『何でも一つだけ与えよう』
私は真っ白な世界に浮かびながらこの言葉を聞いた。
(これが死後の世界?)
『違う。ここは世界の狭間、転生の間だ。前の世界で其方は死んだ。次の世界へ転生させる。』
(次の世界…って前と同じ世界に転生させてくれないのですか?)
『あの世界はもう十分発展し、魂は飽和しておる。次の新たな世界を発展させる為に善き魂を選び移している。』
(善き魂?)
『そうだ。同じ世界の中で何度も転生を繰り返すうち、少しずつ悪しくなってしまう魂はある。殆どがそれだ。逆に転生するうち浄化していく魂もある。そんな善き魂を他の新たな世界に移し、その世界を導く使命を与えておる。』
(えぇ…私は世界を導くなんて無理ですよ。私を戻して欲しいです。お願いします。)
『もう既に其方は前の世界の身体を失くしておる。転生させたくとも器は無い。あの世界にはもう新たな器を用意する事も出来ぬ。器に対して魂が飽和しバランスが崩れておる。魂を他へ移し間引きせねばバランスを保つ事が出来ぬ。それに世界を導く使命とは言ったが特別なことをする必要はない。其方の様な善き魂が彼方の世界に多く行くことが重要なのだ。』
(では、私の他にも沢山の魂がその世界に?)
『そうだ。其方もその大勢の中の一人として転生してもらいたい。いつも通り皆前世の記憶は消えてしまう。だから安心して新しい世界で新たな生を送るのだ。別に無理に人々を導くことはせずとも良いのだ。其方の好きなように生きるだけで良い。』
(記憶は消えちゃう…そうですか。わかりました。新しい世界で人生をやり直せるのはチャンスなのかも知れないですね。)
『では、ひとつだけ欲しいものを言うがよい。』
(ええっと…他の人達はどんなものを貰ったのですか?)
『ここに来れたのは其方だけだ。他の者達はすぐに彼方の世界に転生しておる。』
(ええー…なんで私だけ?ラッキーって事?)
『………』
(何で無言なんですか…?)
『…すまぬ。実は其方が死んだのは手違いだったからなのだ。』
(手違いって…アンラッキーだったよ…)
『善き魂を選別していたら、ちょっと…な。』
(ちょっと…なって!なんですか?!ヒドいです!)
『本当にすまぬ。かと言って元の世界には戻せぬのだ。その代わり望みの物をやろう。』
(…ひとつだけなのですか?)
『ひとつだけしか魂に載せられぬのだ。すまぬな。』
(はぁ…もういいです。わかりました。)
私もお人好しよね。まあお人好しはいつもの事だし、諦めも良いほう。ここでゴネても駄目なものは駄目だものね。
さて、何がいいか。悩むわ。
やっぱりお金?一生不自由の無い暮らし?健康な身体?
『これから行く世界は其方達の言う、剣と魔法の世界となる。身分の良い健康な器はサービスでつけてやろう。』
(うーん…ラノベとかなら、瞬間移動とか便利そうよね。運送業とかしたら稼げそうだし。そういうのって確か時空魔法だったかな。)
『うむ。時空魔法か…だがそれを使っても元の世界には戻れぬが…な。それを考えておるのなら無理だぞ。幾ら時空魔法でも、別の世界には転移出来ぬ。』
(それは考えてなかった!でも、異世界に転移とか召喚とか、あれは無いのですか?)
『あれは時空魔法ではなく、理を曲げて世界と世界を隔てる壁に穴を開け無理矢理引っ張り込むものだ。勇者召喚などと言っておるが、アレは人の魂を糧に喚び込んだ魂をも傷つける。それと異世界転移や迷い人は偶然出来た裂け目に落ちた者を言う。』
(へぇーそうなんですね。大丈夫です。別にもう戻ろうとは思ってません。)
『では、時空魔法で良いのか?』
(はい!それでお願いします。)
お読みいただきありがとうございます。
これも更新は不定期ですが頑張って書きますので、宜しくお願い致します。