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リバーサルスイッチ・トイ・カンパニー  作者: たかはし うたた
8/8

手がかりは足元に、人探しとは時に残酷なり

 

 大きなデスクに1人の男が座る。ギィと鳴らしながら高級そうな、回る椅子の背もたれから身体を少し離した。そして放たれる…怒声。



「おいスクラップ供! こんだけ人員割いてまだ見つけらんねェのか?」



 白いスーツに頭に某キャラクターの着ぐるみを被った男の声…ミッギィの声に、おもちゃ達はビクっと身体を震わせる。

 その内のブリキの一体が、ビクビクと震えながらジェスチャーで一生懸命何かを訴えかける。



「言い訳か?ガキコラ」



 その鋭い眼光…着ぐるみの目が笑いながら此方を睨む。

 一歩前に出てジェスチャーをしていたブリキのおもちゃは、ビクゥっと身体を跳ね除けさせて熊のぬいぐるみの後ろに隠れた。



「おめえらの通常業務がどんだけ溜まってると思ってんだ! サッサと探し出せや!」



 震えながらビシッと敬礼すると、逃げる様に部屋から出て行ったおもちゃ達。消えて行く背中をみながら、ため息を吐くミッギィ。



「ハァ。ガキ1人探すのにここまで手こずるとはなァ」

「おや?珍しい。ミッギィさんが人探しですか?」



 誰も居なくなったと思った部屋から声が聞こえる。ミッギィも1人ごとのつもりで話していたので急に響く声に驚きかけるが、その声が見知った人物だと分かると背もたれに寄りかかりながら言葉を返す。


「なんだ、お前か。つーかどっから入って来やがったガキィ」

「ハハ。まあ細かい事は良いじゃないですか」

「良くねーよ。人間がココに来んな。テメーはあくまでも俺に個人的に雇われてるだけで、この会社とは関係ねェんだよ」

「善処します」


 ふふッと笑いながらそう言う男に、ミッギィは「善処する気もねェだろ」とボヤくが、その言葉は華麗にスルーされた。


「それで、なんでこの国の人間全員の情報を洗える筈のミッギィさんが()()()()()()()()()

「チッ。この情報は極秘だぞ。外には絶対漏らすな」

「やだなあ、僕がそんなヘマするわけ無いじゃないですか〜」


 ヘラヘラと笑いながらそう言う男に不安を感じるが、事実今まで一度足りともヘマをした事が無い。それに何より契約により縛られている。口外したくても出来ないだろうと、ミッギィは男の質問に答える。


「ソイツな、どうやら俺たちの情報網の外にいるらしい」

「え?マジですか!?ってことは…」



 男は驚愕の声を漏らす。そりゃそうだ。今までその情報網で捉えられなかった者は()()しか居ないのだから



「ああ、行方不明の現社長と…あのうるせえアバズレ」

「って事はもう1人、この会社を引き継ぐ資格がある人間が居るって事ですか?」

「…そうなる」



 そう聞くと男は楽しそうにその話題に食い込もうとする。


「本当ですか! それは良かった! ソイツが見つかればやっとこの会社も十全に機能出来るってもんですね! ()()()()!」

「その肩書きで俺を呼ぶな、俺ァあの人の後を継ぐ人が来るまでの只の繋ぎだよ。んな大層な肩書きは似合わねェ」

「はいはい。そんなことよりその男どこで見かけたんですか?」

「ああ、ここだ」



 広げられた地図を指差すミッギィ。



「うわっ俺ん家めっちゃ近所じゃないですか」

「そうなのか?」

「ええ、更にここら辺良く行くんですよ。ちなみに何時頃ですか?」

「あーえっと、確か24時頃か、3日前だ」


 そう言いながら地図をなぞる様にミッギィは話す。



「ここから、こう、北の方に向ったらしい」

「ん?そっちに行ったのは間違いないんですか?」

「ああ、間違いねェ」



 それを聞いた男は何かを思案する様に黙り込む。



「その捜索…俺も混ぜてもらっていいですか?」

「良いが、あんま派手な事するんじゃねェぞ」

「大丈夫ですって! お金必要なんで少し持ってきますね。んじゃ行ってきまーす」


 そう言いながら金庫からごっそりお金を取り出し男は部屋を出ていくが、扉の前で振り向き、確信めいた声で言葉を残していった。


「あ、捜索に回してる奴全員戻しちゃって良いですよ。多分分かったんで」





 〜〜〜〜〜〜〜




 何故か、その予感は確信めいたものだった。


 ずっと不思議に思っていた。俺の様なクズにも当たり前の様に接することができる男。少し本音をちらつかせれば皆離れていく。だが……

 俺が今、人と関われているのはあの人のおかげだ。だから俺の願望が含まれているのかもしれない。でも…



 ___心を整理しながら目的地へと歩いた。



 人のためにと奔走して生きることがどれほど難しくて、どれほど自分の心を傷つけるか。それでもぶれることなくそう生きる。イヤ、その生き方しかきっと知らないんだ。

 当たり前にこなす事がどれほど難しいかも知らないんだ。だから何度も挑戦するんだ。失敗する痛みが普通の痛みだと彼は思ってるんだ。




 ___目的地に着く。




 扉の前で、男は最後の覚悟を決める。そうであれ。と。

 俺の感は間違いじゃない筈。もしそうだったら…この人の為に動けるなら、俺はもっと汚れても良いと思えるから。




 ___呼び鈴を鳴らす。声をかけた。



 不遇な環境に晒されてきた貴方が日の目を見るのなら。

 そうだとあってほしいと言う願望なのかも知れない。でも、何故か確信がある。あの人しかしないという確信が。だから…ここで誓う。もし貴方がそうであるなら…



「分かった分かった、顔見たら帰れよ」




___ガチャリ、扉が開いた。




心が叫ぶ。この人で間違いないと。




「チャオッ先輩」




 だから、あなたに恩を返しに、あなたを支えに来ました。

 先ずは社長になってもらいますね。先輩ッ

ここでしばらく休みます。とりあえず此処でひと段落とさせていただきます。皆さま此処まで読んでいただき有難うございます。

後は、メインで書いてる「ここは僕らの秘密結社」の執筆に戻ります、良かったらそっちも覗いてみてくださいね!

おやすみなさいませ。良い夢を

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