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リバーサルスイッチ・トイ・カンパニー  作者: たかはし うたた
6/8

濡れたハンカチとメモ用紙

おはようございます。いい日曜日ですね

「え?…すいませんちょっと話しについて行けないのですが」

「あぁ?察しがわりィな。俺んとこの会社に来いっつってんだよ」



 え、アニキが働く会社…それって会社じゃなく事務所なんじゃ…

 遂に代紋背負わされるの!?



「え、会社って言うと、あの小指がない人達が拳銃を売買したり、社会的に非合法な葉っぱを___」

「ンなわけねーだろ。クリーンな会社だよバカ」

「そ、そうですよね!いやー、遂勘違いしていしまいました!はっはっは」

「…っつてもまァ、働いてる奴は普通じゃねェかもしれねぇがな」



 事務所と勘違いしていた事を悟られたくなくて、ハッハッハと高笑いをしていたら最後にボソリとアニキが何かを言っていたが、自分の笑い声にかき消されて何て言ってるか聞こえなかった。

 空いたグラスを下げたマスター。それを見たアニキは「カクテルを一杯作ってくれ」と注文。



「でも、アニキも聞いていましたよね。何をしても、どんなとこで働いても言われるんです。「お前は不利益にしかならない」と。誘ってくれた事は有難いんですが、迷惑はかけたく無いんで」

「ふぅ。お前さっきの話しで、自分がゴミだと思ったって言ったよな」


 タバコに火を付けながらアニキはそんな事を言う。


「…はい」

「何故お前はゴミ捨て場に居ると思う?」

「それは、俺が利益にならない事しか出来ない役立たずだから…」

「違う。誰も、()()()使()()()()()()()()()()()()()



 俯き喋ってた俺にアニキはそう言う。跳ねる様にアニキの顔を見上げた。吸うタバコが赤く周囲を照らし、ボヤリ浮かぶ着ぐるみのその顔がカッコいい。着ぐるみを被って尚、こんなダンディで入れるのは絶対アニキだけだ。



「人間はつれェよな、夢。お前達に説明書は無い。だから誰も自分の使い方も分からず自分で探さなきゃならねェ」



 え?まるで自分は人間じゃない様な…。なんでそんな言い回しを…

 疑問が過ぎる。だが、タイミング良くマスターがカクテルを運んできた。



「そのカクテルはこの店のオリジナルだ」

「凄い綺麗ですね」



 夜空を模した薄い黒紫をベースに、星が散りばめられた綺麗なカクテル。夜空を見上げるより此処には沢山の星がある。でも…



「でも、月は無いんですね。あればもっと綺麗なのに」

「ハハッ。そうかもな。だが残念ながら月はねェ。諦めてくれ」



 貶したと捉えらて怒られるかと思ったのに、寧ろ機嫌が良くなった。何故だ?ツボが分からん。

 タバコを吸うアニキは今までの流れを溶かす様に、一つ、吐く息に煙を燻らせた。



「使い方が分かってるならラクだよなァ。だが、使い方の分からないお前は捨てられてしまった訳だ」



 カクテルを見つめながらその言葉を聞く。うん。今俺は間違いなくこの続きを期待している。



「だが俺なら、誰も使い道が分からなかったお前を生かせる。イヤ、お前にしか出来ない事がある」



 涙が浮かぶ、今日何度目になるだろう。だが今回のコレは、間違いなく嬉し涙だ。



「だから俺ンとこで働けや」

「ううううう。アニギィ」



 涙をドバドバと流しながらアニキを見るとギョッとした顔。跳ね上がって「オイオイ泣くなよ。子どもじゃねーんだから」とハンカチを差し出してきた。

 ハンカチを持ってるなんてどこまでも紳士なアニキからハンカチを借りて、涙を拭い垂れてきた鼻水をチーン。洗濯して返さねば。


「ま、まァ飲め。せっかくのカクテルだ」

「あ“い”。いだだきまずゥ」



 促されるままそのカクテルを口にする。あ、美味しい。少し苦味がある大人な味だけど、柑橘系の香りがその苦味もアクセントとしてる。飲み込むと口の中がさっぱりとした。その後に、邪魔にならない程度の甘みが後味に残る。

 凄いね、最初に感じる苦みはそのための布石か。いくらでも飲めるわコリャ。



「だがまァ、無理強いはしねぇ。来る気があるなら明日此処に来い」



 俺が落ち着いたのを理解したのか、話しを戻し折りたたまれたメモ用紙を渡して来た。なかなかにファンシーなメモ用紙だ。ハッキリ言って似合わないからね?



「…これは?」

「地図だ。ンな遠くないから迷う事はねェ」



 もう、俺の気持ちは決まってる。貰ったファンシーなメモ用紙をポケットにしまう。あれ?安心したのかな?なんか眠くなってきた。



「あ、そうそう。そう言やさっきお前聞いてきたわなァ」



 え?どれのこと?てか眠い。なんだこりゃ。急にこんな眠くなることなんてあるのか?ダメだ頭をあげてられない。

 頭を机に伏せながら夢うつつにアニキの言葉を聞く。



「何故今回は俺が来たか?って」



 あー言ったかも、てかもう意識を保っていられない。ダメだ…おやすみ



「夢。お前を勧誘に、スカウトに来たんだよ」




 返事も無く、スヤスヤと寝息が聞こえる店内。ソッとミッギィは夢の頭を撫でる。



「おやすみ、良い夢を」




 〜〜〜〜〜〜




 気がつくと朝だった。全てが夢であったかの様に何事もない、いつもの朝。

 扉を見ると「昨日壊れた?はい?あんさん何言うてまんねん」って顔してますし。

 んじゃやっぱ夢、だったのか?……アッ


 ポケットを漁る。



 ……うん、夢ではなかったみたいだ。なら、決まってる。

 必要としてくれている人のところへ、行こう



 メモ用紙と涙に濡れたハンカチを見て、決心を固めた。

もう2話くらい今日中に更新したいいい

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