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リバーサルスイッチ・トイ・カンパニー  作者: たかはし うたた
4/8

日に2度目の奢りは恐怖と共に。

こんばんはっ

 

「探したぞコラ」


 巻き舌気味でドスが効いた声。ミッ◯ーマウスの着ぐるみを被ってるのに、何故かハッキリと聞こえるその声は完全にヤの付く職業の方だ。

 でもよく見るとちょっと違う。ダンディなヒゲを生やしておりますし。てかなんで中国人が付けそうな丸いちっちゃいサングラス掛けてるんだ。着ぐるみをもう被ってるじゃないか。


 白いスーツから覗く浅黒くガッシリとした手に、金色こんじきの時計…あれはきっと、イヤ絶対ロ◯ックスでらっしゃる。時計の知識がない僕でも分かります。もう絶対ロ◯ックス。そう言う雰囲気だもん。



 さて、こんな怖い知り合い僕には居ませんのできっと人違いでらっしゃいますね。そうだそうに決まってる。


「ひ、人違いでぇす…」



 バタン



 ふう、世の中には変わった人も居るもんだ。あんな格好で出歩くなんて、罰ゲームか何かだろう。でも良かった。俺の知り合いじゃなくて。

 いや、扉を閉めたら何か全部夢だった様にも思う、きっとこれは白昼夢みたいなものだ。うんそうだ。

 ふう、危ない危ない。白昼夢だって気付けたから大丈夫。今ならまだ病院に行けば間に合うかも知れない。



 ピンポンピンポンピンポンピンポピンポンピンポンピンポーン



「うちの若え衆が世話になったなァ。オメーで間違いねぇんだよ。さっさと開けろコラ」



 …何だよチクショー!夢で終わらせてくれよ!めっちゃ現実っぽいじゃねーか!てか…認めたくないけど現実じゃねーか!



「5秒以内に開けなかったらこの扉打ちやぶんぞガキィ」



 5秒って心の準備も出来ねーよ。



「け、警察」

「5・4…」



 ドゴン、ドカッ。メキャッ。バキン



「ゼロ」



 5秒待ってくれなかったじゃないか!あ、スマホが遠い。電話かけられません。

 終わった。然らば俺の人生…


 ブチ破った扉からまるでターミ◯ーターの様に家に入ってくるミッ◯ー。あ、うち土足厳禁ですよ…

 とはもちろん言えず。

 ガタガタと震えてその様子を見るしか出来ない、僕。



「おめえが…そうなのか」

「ななななな、何のことでしょうかミッ◯ー様」

「あぁん?俺をあんな愛されキャラの名前で呼ぶたァ、いい度胸してんじゃねーか」

「もももももも申し訳ありませんッ!」



 これでもかと言う程、地面にめり込む勢いで頭を下げて土下座。ブンブンと何度でも頭を下げよう。だって命には変えられないから。

 それを見て、ミッ◯ーマウス様は肩透かしをくらった様に、肩の力を抜いて話しかけてくる。



「あんなァ?別に怒ってる訳じゃねーぞ。後、俺のことはミッギィと呼べ」

「ミッギー様ですね!」

「ちげぇよ、伸ばすな伸ばすな。ミッギィだ」

「かかかかしこまりました! ミッギィ様!」



 ヤの付く職業の方が良くやるイメージのうんこ座りをしながら、めっちゃ近くで凝視してくる。顔近い顔近い。被り物無かったら吐息かかってるでしょコレ。とりあえず怖い…



「あ、あの何か…」

「あ、イヤ何でもねえ。それにしれも冴えないガキだなオメー」

「冴えなく申し訳ありません! 整形して来ます!」



 とりあえず平謝りをして様子を伺うが、それにしてもまだめっちゃ見てきますが。顔に何か付いてらっしゃいますか…とは聞きづらい。てか聞けない。



「あー。あ、そうそう忘れてたわ。俺の部下が世話になったなァ、ガキ」



 思い出した様にってか、忘れてたって口に出しちゃったよこの人。マジかよ



「すみません。ですが是非お話しを聞いて欲しいのですが、僕はミッギィ様の部下らしき者に関わりを持った事は一切御座いません! なので人違いかと!」



 正座で、出来るだけ相手に不快感を与えぬ様ハキハキと喋る俺。何とか勘違いだと知って欲しい。絶対に俺じゃないんだって。



「イヤ、オメーで間違いねぇよ」

「ですが…」

「お前3日前、缶蹴っ飛ばしたよな?」

「……あっ」



 思い出した。クビになってついむしゃくしゃとして、確かに缶を蹴った。綺麗に飛んだから覚えてる。

 確かあん時……何か声が聞こえた様な…つまりあれは…空耳じゃなくて……



「やっぱ心当たりがある様だなァ、オイ」



 冷や汗が流れる。物凄い量の冷や汗が。



「やっぱりオメーで間違いねーな」



 俺の様子を観察していたミッギィ様がそう確信し、結論を言う。嗚呼、終わった…



「だが、別にお前を取って食おうとして来たわけじゃねぇ。缶を蹴っ飛ばした理由もあるかもしれねーしな」



 涙を流し、父さん母さんに対する感謝を謳いながら死刑宣告を待っていた俺に、ミッギィ様は情状酌量の余地を与えてくださった。え?マジ?



「その理由を聞いてからでも遅くはねーと、俺は思ってるわけよ。だが…」



 壊れた扉から吹く冬の風がひゅるると鳴る。ぶるる、命の危機で忘れてたけど…サムッ。あ、扉壊れてるんだった。



「この近くに俺の行きつけのバーがあるんだ。おいガキ、イケるクチか?」

「は、はい! お酒飲めます!」

「そこで話そうや。此処は冷える。俺の奢りだ」


 え?奢ってくれんの?てか冷えるのはアンタが扉を蹴破ったからだから。マジでこれどーすんの?



「オイ、返事がねェぞ?」

「行きます! 一生ついて行きます! ダンナ!」



明日は仕事休みだし今日は残業もなかったし、いっぱい書けるっ

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