表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リバーサルスイッチ・トイ・カンパニー  作者: たかはし うたた
2/8

後輩は悪魔でも、後輩のお金は天使っス!

後輩登場

 


「あん?何だって?うちのわけぇ衆がタンコブを作って帰って来ただと?んな事を一々報告してんくんな。いつもの様に魔法の名簿と魔法の監視カメラで詳細を洗って何なりと丁重に()()()でも送って差し上げろ」



 監視カメラにでも映し出された様な映像で、白いスーツに金のロ◯ックスを手に巻いた男が映る。首から下しか映ってない為に声で判断するしかないが、男だろう。

 話しの内容が完全にマル暴な彼は、トントンと指の腹でデスクを叩きながら部下の報告を一蹴した。


 カメラが切り替わる。

 部下らしきモノの影が映る。声は出さず、身振り手振りで何かを伝えてるらしい。コミカルな動き。うん、一生懸命だ。



「はあ?その情報本当か?」



 正確にボディランゲージを理解した白スーツが何かに驚き声を上げる。



「その話し、誰にも行って無いだろうな?」



 影は「言ってないよ!」とコクコク頷き、肯定。



「分かった。ソイツを探し出せ。人手が欲しいならいくらでも連れて行け。必ず見つけろ」





 〜〜〜〜〜




 新しいバイトを探そうと求人情報を検索して3日。何をしたいか分からんから、家に引きこもり適当に色んな職種を見て回った。求人を見るのに殆どの時間を使ったね、この三日間。


 コンビニ、もうクビになった。

 配達業、もうクビになった。

 ウエディングプランナーのアシスタント。もうクビになった。

 エキストラ。クビになった

 エトセトラエトセトラ……


「んがー!クビ業種網羅してんじゃねーか俺! ……もう治験のバイトしか…」



 何をして良いかが決められず、まるで薬物に手を出すかの様に治験のバイトのページを「ハアハア」と荒い息で、穴が空くほど見ていたらチャイムがなった。



 ピンポーン



「なんだ?宅配か?」



 ピンポーン。ピンポーンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンピンポンピンポーン




 うげ、えげつなく鳴らしてくるな。こんなしつこい男俺は1人しか知らない。会いたくねー。



「せんぱーい。いるの分かってるんですよー。電気メーター見る限りこりゃ今暖房使ってますね。何してんスかー? 早くしないとさっき買ってきたピッキングツールで鍵ぶち壊しますよー?」



 何がピッキングツールだ。んなもんお前が扱えるかよ。無視無視。



「あ、因みにピッキングツールって名前のチェンソーです。鍵くらい切断出来ますからねー」


「おいチェンソーって! ふざけんな!」



 あ、声出しちゃった。思考を読まれたのかと思うほどアイツの返答が神ってたから、つい話してると錯覚しちゃった。テヘッ



「やっぱ居るんじゃないっスか。居留守下手っすねー」



 うるせー。何てズバッと言う野郎だコノヤロウ。



「早く開けてくださいよ〜。隣の方に迷惑をかけたく無いっスよね?」

「ッチ。分かった分かった今開けるよ。つか開けてやるから開けたら帰れよ」



 そう言いながらチェーンを外し鍵を外す。



 ガチャリ



「チャオッ、先輩」



 ニッコリと笑うえくぼに、サラサラの髪、透き通る様な肌、クッキリ二重に綺麗な手が目に入る。このイケメンが後輩だ。

 名前は竜二。ドラゴンの文字を名前に冠する様に、俺に災害を齎す厄介人物だ。

 大学時代の後輩で、名前の竜二から、竜→ドラゴン→ドラって事でみんなからはドラって愛称で呼ばれてるが、俺はマジでコイツがドラゴン…と言うか歩く災害だと思ってるから可愛らしくドラなんて言えない、言いたく無い。

 だから普通に名前で呼んでる。



「よし、顔見たからもう良いだろ。じゃーな気をつけて帰れよ」

「ちょちょちょまって先輩。ったく連れないんだからァ」



 扉を閉めようとしたら足を突っ込んできた。コノヤロウ閉めさせろよ。



「……何の用だよ」

「先輩!またバイトクビなったらしいスね!」



 目をランランと輝かせて言う事か?パンチしたい衝動を抑え、不機嫌な顔で無言で応じる。だけど竜二は俺の表情を一切見てないらしい。ガンガン来る。


「それ聞いて絶対先輩落ち込んでると思って俺慰めに来たんスよ!」

「落ち込んでないから帰れよ」

「でね、ついでに今日パチ屋でめっちゃ出たんっス!だから今財布ウハウハなんでぇ」


「ホラ」と財布を取り出し中身を見せてきた。おー確かに、福沢の旦那がめっちゃいる。羨ましい。

 何でこんな奴に。



「だから、メシ奢りきました。飲み行きましょ! せぇんっぱい」



 うむむ、コイツと居たくはないが一食浮くのは助かる。何せこちとら無職なもんで。

 更にコイツの勝ち分を減らせると思うと悪くない提案だ。良いね。乗った。



「ね?」



 エンジェルスマイルとでも名を付けられそうなくらい良い笑顔で語りかけてくる。ふふふ、良いだろう。お前の財布をカラにする勢いで食ってやる。


「バイトをクビなってから外出てなかったしな。良い機会か。せっかくだから上手いもん奢ってくれよ」

「良し!けってーいッ! いいっスよ上手いもん食い行きましょう。着替えて早速行きましょう先輩。それにしても…」

「ん? なんだ?」

「やっぱまたクビになったんスね。そろそろだとは思ってましたが。ウケる」



 コ、コイツ……



 ケラケラと笑う顔に、俺の拳はプルプルと震えた。

彼のことが好きになれそうなら感想やらで教えてくっださいw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ