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第82話 依頼の帰り

すいません、前の5日に投稿をするのを忘れてしまいました。

以後気をつけます。

あとがきを書いたので、ぜひお読みください。


 森を出たときには、すでに日はほとんど沈んでいた。

 もともとが暗かったから、日が沈んでも全く気づかなかった。


「結構遅くなっちゃったすね。早く帰りましょうか」

「うん、そうだね」


 数キロ離れているので歩いて帰ると遅くなる。

 だからシエルとアリシアは走って、僕は飛んで帰った。


 二人とも身体能力を上げる魔法を使えるので、十分ほどで王都に着いた。

 僕が普通に飛んでも追いつかないから、魔力を使わないといけなかったぐらいだ。


 王都に着いてからは、僕はシエルの肩に着地して普通に歩く。

 街灯がしっかりあるので、急がなくても大丈夫だろう。


「いやー、だけど本当に訓練の成果あったっすね。まだ数時間ぐらいしかやってないのに、ビックリっす」

「私も驚いてるよ、こんなに訓練する前と違うんだって」


 半径五メートル内だったら魔力の流れを感知できるようになったのは、非常に大きいらしい。

 あんなに暗かったのにシエルはとても落ち着いた様子だった。


 そして魔法の発動もとても正確になっていた。

 木の後ろに隠れている魔物を、その木に傷をつけずに確実に絶命させる魔法。


 今日はそれを一度も失敗しなかった。

 アリシアですら襲ってきたオルウルフを短剣で斬っても、一撃で仕留められないときがあったのに。


 ……僕なんて一撃で仕留めるのは失敗しなかったけど、討伐証明する部位を残すのは一度も成功しなかった。


「やっぱりヘレナちゃんの訓練ってすごいんすね」

「アリシアも一緒に受ければいいのに」

「いやー、厳しすぎるっすよ。あたしはついていけないっす」


 苦笑しながら顔の前で手を振るアリシア。

 朝のたった一時間の訓練で、シエルがあんなに汗だくになってるのだから、とてもキツイのだろう。


「それでも強くなれるよ?」

「あたしはA級で満足っすよ。これでももう世間的に見れば強い方っすから。S級なんて本当に化け物なんすから」


 アリシアはS級冒険者のアイリさんを姉貴と慕う、そして同じくS級のマリーさんを友達に持っている。


「姉貴はもちろん、マリーちゃんも姉貴には及ばないっすけど、十分化け物っすからね」

「そうなんだ……」

「もともとはあたしの方が強かったんすけどねー……いつの間にか越えられて、S級という化け物の域に達してたっすね」


 この国にはS級冒険者は三人しかいないらしい。

 その内の二人が、アイリさんとマリーさんだ。


 そんな二人と、ずっと一緒にいるアリシア。


「あたしは、S級にはいけない。あたしがあの強さになるのは、無理って思ったんすよ」


 アリシアは笑いながらそう言った。

 いつもの笑顔に見えたのだが、街灯に照らされたせいなのか、その笑顔はおぼろげで儚く見えた。


「だけどシエルちゃんはいけるっすよ。今はB級だけど、実力的にはもうA級なんすから。あと数年でS級になれるっすよ」

「……うん、ありがとう」


 シエルは何か言いたそうにしていたけど、お礼だけ言った。



 その後、僕たちは冒険者ギルドで依頼達成の報告をした。

 大変な依頼だったのに半日で、そして無傷で帰ってきた僕たちに受付嬢が驚いていた。


 まあ僕は傷ついても治る、というか傷を受けたことがないんだけどさ。

 魔力が無くなったら僕は炎になることができないから、攻撃されて傷つくようになるのかな?


 実験してみたいけど、怖いからやめとこう。


 そしてギルドを出て、僕たちは家路に着く。


「あれ、ヘレナちゃんじゃないっすか」


 商店街を歩いていたら、メイド服姿のヘレナさんが正面から歩いてきた。


「アリシア様、シエル様、キョースケ様、お疲れ様です。今お帰りですか?」

「そうっすよ、ヘレナちゃんはどうしたんすか?」

「私は買い物です。特に食料ですね」

「じゃあ私たちも付き合いますよ」

「ありがとうございます。持てる量が少なかったのでありがたいです」


 そういえばヘレナさんは子供と見間違うぐらい身長が低かった。


「……キョースケ様、何かお考えに?」

「キョ!?」


 僕は大きくかぶりを振った。

 鋭い目で見てくるので、少し怖い……。


 ということで僕たちは買い物をして帰ることに。


「というかヘレナちゃんなら魔法で買ったものを浮かせられるっすよね?」

「はい、ですがあれは目立つのであまりやりたくないのです」


 夜中に街中で買い物袋が浮いていたら、知らない人が見たらお化けのせいかと疑いそうだ。


 ヘレナさんがよく行く店で食料を買い、僕以外の全員が両手に荷物を持つ。

 人手がいるので、いつもより多く買ったようだ。



 その後、僕たちは帰ろうとしたのだが……。


「痛っ……!」

「あっ……!」


 道も暗くて喋っていたからか、シエルが持っていた荷物に前から歩いてきた子供が当たった。

 荷物は無事だが、その子は転んでしまった。


「だ、大丈夫? ごめんね、立てる?」


 シエルはしゃがんでその子に近づくと、荷物を地面に置いて手を差し出す。


「うん、大丈夫!」


 シエルの手を取って立ち上がった、男の子。

 帽子を被っていて、顔は見えない。

 身長は低くて、リアナちゃんと同じで八歳くらいだろうか。


「ぶつかってごめんなさい、久しぶりに外に出たから楽しくて」

「ううん、こっちこそごめんね」


 その子は頭を下げてから、また夜の街に一人で歩いて行った。


 あんな小さな子供が一人で大丈夫なのだろうか?

 それに「久しぶりに外に出た」ってどういうことなのかな?


 その子のことを不思議に思いながらも、僕たちは屋敷に帰った。




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