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第8話 もっと上へ


 父さんといつか一緒に行こうと思っていた山、森、海。

 その全てを洞窟から抜け出してすぐに着いてしまった。


 山はとても壮大で、森はとても雄大で、海はとても広大だった。


 その大きさに驚いて、感動して……何も言葉が出ない。

 前世の頃に何度も行きたいと思った場所にいきなり来たけど、やっぱり凄い。


 本当は父さんと一緒にきたかったけど……。


 僕は父さんのことを思い出しながら山を、森を、海を飛びながら眺める。


 空を飛んでいてわかったことは、ここは島だということ。

 とても大きい山の下に森があって、森が終わるとすぐに海。

 山の周りを飛んで見るとこの島が全方位、それで終わっていることがわかる。


 海に囲まれた陸地、というものを島というのなら、ここは島なんだろう。


 だけど山が本当に大きくて、森も大きいから凄いでかい島だと思う。

 山頂が太陽に伸びているかのように、白く輝く雲を抜けてさらに高いところまで伸びていた。

 中腹辺りから木が生い茂り、島と海の境目のところまでほとんどが緑で埋まっている。


 海岸、というものは僕のイメージでは人々が泳げるようになんか、砂浜で歩いて海に入れるというものかと思ったけど、この島は違うようだ。

 海岸は断崖絶壁になっていて、人間が海に入ろうとしたら多分ただの自殺になってしまう。


 島を飛んで回ったけど、どこも断崖絶壁で砂浜のようなところはなかった。


 まあ今の僕は飛べるから大丈夫なんだけど、ここに人が住んでいたら外に出られないんじゃないのかな?

 もしかしたら僕と同じように生命力で飛べるのかもしれないけど。


 だけど上から森とか山を見てたけど、どこも人の姿がなかった。

 というか、僕以外の生物がいない。


 森は木々で覆われているからあまり詳しく見えないんだけど、それでもこれだけ上から眺めても何も生物がいないというのは少しおかしい気がする。


 森っていろんな動物とかがいるって聞いたけど、異世界だと違うのかな?

 異世界だからこそ、森に動物とか魔物とかいると思ったけど。


 後で森の中をもう少し詳しく調べてみよう。


 それより、もっとしっかり見てみたいところがある。

 もちろん、空だ。


 この島のことは後で調べるとして、僕は空を飛ぶために洞窟から出たんだ。


 今も空を飛んでるけど、見える景色が真っ黒な雲でちょっと残念な感じ。

 僕が望んでいるのは見渡す限り綺麗な青空があって、下には綺麗な海が広がっている景色。


 今は黒い空に覆われて海も何か濁って見える。もしかしたら本当に濁っているのかもしれない。


 だからとりあえず綺麗な海を見ることは諦めて、空。

 この真っ黒な雲の上まで行けば、綺麗な青空が広がっているかも。


 鳥のように少しずつ上昇するのもいいけど、待ちきれないから生命力を使って一気に上昇する。

 普通の鳥が出来ない飛び方で、真上へと昇っていく。


 真っ黒な雲はこの島の上だけ晴れていて、そこに向かって飛んでいく。

 なんでここだけ晴れているのかわからないけど、今は気にしていられない。


 早く空へ、僕が見たい、飛びたい空へ……!


 周りが真っ黒な雲の中を通り抜け、もっと上へと昇っていくとようやく黒い雲が周りから無くなるとこをまで来た。


 やった、やっぱり雲はどこまでも続いているわけじゃないんだ!


 ここまで来て飛べば、下の光景は真っ黒な雲になってしまうけど上は綺麗な空が広がっているはずだ。


 そう思って黒い雲が下に来るほどまで上がり、周りを見渡す。


 ――えっ……?


 右を向いた瞬間、何か大きなモノが見えた。


 黒いモノだったからまた雲かと思ったけど、違う。

 顔がある。昔本で見た蛇の顔に似ている。

 翼がある。僕のような体毛ではなく、真っ黒な鱗に覆われた大きな翼。

 尻尾がある。これも何か蛇のような細長い尾だけど、その身体と比較して細いだけで、その尾を振り回されたら一メートルくらいの鳥の僕なんて軽く吹き飛ばされそうだ。


 ここは異世界、そう気づいたのは僕が炎を出した時だ。

 こんな鳥なんて地球にいるわけない。そう思った。


 だからここが異世界で、炎を吹くような鳥がいるから他に地球にはいない動物、魔物がいてもおかしくない。


 だけど、これは……!


 伝説、どんな漫画やアニメ、ラノベを読んでも最強の種族に入っているであろう生物。


 ――ドラゴン。


 僕の目の前には、その伝説の生物が飛んでいた。



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