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第70話 王都ギルドへ


 戦いが終わったあと、アイリさんの屋敷に戻る。

 いつもは平原で訓練とかをしていたから家とかに戻るのは時間がかかったけど、今は屋敷の周りの更地でやっているからすぐに帰れる。


 なんて恵まれた環境なのか。

 これも前にアイリさんがファンの人に怒って、ここら一帯を更地にしたお陰だね。

 ……なんか違う気がするけど、一応その通りだから気にしない。


 屋敷に戻ると昼ご飯を食べていなかったので、ヘレナさんが用意してくれて食べた。


 やはりメイドさんというだけあって、めちゃくちゃ美味しかった。

 僕は結構濃い味付けのお肉が好きなんだけど、それをシエルがヘレナさんに伝えてくれて、要望通りに作ってくれた。

 作るのも早かったし、家事に関しては完璧な人なんだろうなぁ。


「はぁー、お腹いっぱいっす。やっぱりヘレナちゃんの料理は美味いっすねー」


 アリシアが背もたれに寄っ掛かりながら、良い笑顔でそう言った。


「本当に美味しかったです! 今度教えてくれますか?」

「はい、いいですよ」


 前にもシエルは、リアナちゃんの母親のティアナさんに料理を教えてもらっていた。

 最初から美味しかったけど、ティアナさんに教えてもらってさらに美味しくなったから、もしかしたらヘレナさんに教えてもらってもっと美味しくなるのかも……。


 今からシエルの美味しくなった料理を食べるのが楽しみだ。



 その後、王都の冒険者ギルドに行くことになった。

 アイリさんはS級冒険者なので、ようやく王都に帰ってきたってことで顔出しをしないといけないらしい。


「めんどくさい……」

「ダメっすよ、あたしも姉貴を早く連れ戻してこいって言われてたんすから」


 多分この屋敷に来る最中の、あのお祭り騒ぎでアイリさんが王都に戻ったことは知れ渡っている気がするけど……。

 それとこれとは話が違うのかな。

 しっかり話をしに行かないといけないようだ。


 それに僕とシエルも、冒険者の活動を王都に拠点を移すということで、手続きをしに行かなければいけない。


「キョースケも、ギルドに行くの?」

「そうですね。私の手続きをしに行くので、相棒のキョースケは連れていかないと」

「じゃあ私も行く」


 ……もしかしてアイリさん。

 僕がこの屋敷に残っていると思ってたから、ギルドに行くの渋ってたの?



 ということで、メイドのヘレナさんは屋敷にお留守番をして、それ以外のみんなでギルドに向かう。


 いつも通りアイリさんの腕の中に僕はいるのだが、今回はこれがいいのかもしれない。


 S級冒険者のアイリさんは有名人だからか、魔物である僕を抱きしめてても騒ぐ人があまりいない。

 お祭り騒ぎのときも僕を抱きしめていたけど、それについて騒いでいる人はいなかった。


 アイリさんに夢中で僕に気づかないのか、アイリさんが抱きしめているから無害な魔物だとわかっているのか、どちらなのかはわからない。


 ギルドに行くまでの道中は、すれ違う人のほとんどがアイリさんを見ていた。

 時々、「きゃー! アイリ様ぁぁぁ!」みたいに叫んでいる人もいたけど、ほとんど無視して歩いていく。

 なんか慣れてるなぁ……。


 特にファンの人に邪魔されることもなく、ギルドに辿り着いた。

 アリシアが言っていたけど、前に道の邪魔をするほどのファンがいたけど、アイリさんがキレかかったから、もう道を塞がれることはなくなったようだ。


「でかいね……」

「キョー……」


 シエルと僕は、目の前の建物を見上げている。


 スイセンの街のギルドも結構大きかったけど、やっぱり王都のギルドはそれ以上だ。

 何階建てなのかよくわからない。

 僕が前世で入院していた病院も結構大きかったと思うけど、同じくらい大きい。


 そして僕たちはギルド内に入っていく。


 中も大きくて、人もいっぱいいる。

 冒険者のような人がほとんどだけど、同じ制服を着ている人たちは多分ギルドで働いているのだろう。


 カウンターに歩いていく最中、周りの人たちが僕たちをジロジロと見てくる。


「おい、S級冒険者のアイリが帰ってきたぞ」

「はっ? お前なんて言った?」

「だから、アイリが帰ってきたって……」

「アイリ『様』だろてめえ! 表出ろ!」


 ……なんかよくわからない会話が聞こえたけど、無視しよう。


 他にもいろんなところでヒソヒソとこちらを見て会話をしてる人がいる。


「おい、アイリ様が抱いてるの、魔物じゃないか?」

「魔物……なのか? 全然動かないし。人形とかじゃないのか?」

「よくわからないけど、アイリ様が抱きしめてるから大丈夫だろ」


 うん、さすがアイリさんだ、その実力は信頼されている。


 だけど僕人形じゃないよー、と思って動いてみた。

 そして人形じゃないかと言った人が、動いた僕を見てギョッとしているのが少し面白かった。


 ほとんどの人がこちらを遠巻きに見ているだけだ。

 有名人だからと言って話しかけてくるわけではないんだね。


 まあアイリさん、お世辞にも社交的とは言えないからなぁ……。



「あっ! アイリ! あんたやっと戻ってきたの!?」


 そう思っていたら、突如横の方から大きな声が聞こえた。


 ビクッとしてそちらを見ると、女性がこちらに近づいてきているのが見えた。

 それにちょっと怒っているような表情をしている。


 ……なんか王都に来てから、波乱を呼んでばっかな気がする。



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