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第42話 調査開始


 僕の力を知りたいということで、アイリさんに向かって炎を放ったんだけど……。


 押し勝っちゃった。


「……危なかった」

「だ、大丈夫ですか、アイリさん!?」


 目の前でアイリさんが膝をついていて、シエルが駆け寄って心配している。

 僕は見下ろす形で飛んでいたけど、すぐに降りて近くに寄る。


「キョー?」


 大丈夫ですか?

 という意味で鳴いたのだが、伝わったかな。


「問題ない、あなたの攻撃は食らってないから」


 アイリさんはそう言って僕の頭を撫でてくる。


 よかった、アイリさんが避けたのを見てたからそこは大丈夫だとは思ったけど。


 僕の炎が風魔法を打ち破ると、すぐさまアイリさんは回避した。


 回避の仕方も、風魔法で自分の身体を動かすような感じだった。

 横から身体に風を当てて、自分を吹き飛ばす。


 だから僕の攻撃は食らってないけど、自分の魔法の威力でアイリさんは少しダメージを受けているようだった。


 結構な威力で自分に魔法を当ててたから、普通に痛そう。


「想像以上に力があった。シエルの力が上がったのも頷ける」

「やっぱり、アイリさんの目からでもキョースケは強いですか?」

「うん、多分S級の魔物に匹敵する」

「そ、そんなにですか!?」


 S級の魔物というのが、どれくらい強いかわからないけど……。

 僕が倒したあのドラゴンが、S級ぐらいなのかな?


「驚いたものの、S級の魔物ってどれくらい強いかわからないんですけど」


 あ、シエルもわからないんだ。


「何回か倒したことがある。S級の魔物は強さにバラツキがある」


 その後、少しだけS級について教えてくれた。


 ギルドや国が定めた魔物のランクだが、A級までは強さにバラツキがないらしい。

 C級だったらどんな魔物も強さは一定くらい、本当に少しだけ倒しやすいか倒しづらいかなどがあるみたい。


 だけどS級からはもうそれ以上のランクがない。

 A級の強さに近いS級の魔物、めちゃくちゃ強いS級の魔物などがいるようだ。


「今だと、もともとA級だった魔物が黒雲の影響で強くなってS級になってるけど、それらはS級の中でも弱い」

「なるほど、そうなんですね」

「多分あなた一人だとそいつらは倒せないけど、キョースケなら余裕で倒せると思う」

「だって、キョースケ!」

「キョー!」


 やった、褒められた!

 オルヴォさんのときはなぜか褒められてないことが多かったけど、今回はしっかり褒められた!


 S級の冒険者のアイリさんに言われたことで嬉しさが倍増だ。


「もふもふで強いなんて、世界最強」

「もふもふ関係あるんですか?」

「ある、可愛いは正義」

「キョー!」

「……わかる気がします」

「あなたと私は同志」


 僕が喜んでる姿を見ながら、なぜか二人は握手をしている。

 理由はわからないけど、まあ仲良くなるのはいいことだよね。



 その後、僕たちは依頼である森の調査をするために森に辿りつく。

 昨日もこの手前くらいまで来てたけど、今日はやけに魔物の数が多い気がする。


 ここに来るまでも、D級やC級、強くてB級の魔物が多く出ていた。

 まあシエルかアイリさんの魔法を、一発撃てば終わるんだけど。

 僕も何体か倒した。


「やっぱり森に何か起きているんですかね? 昨日よりも魔物が活発化している気がします」

「それをこれから調べる」


 アイリさんはそう言って、森の中に入っていく。

 シエルもそれに続いていき、僕も肩に乗っているので一緒に行く。


 時間は昼過ぎくらい。

 魔物は夜行性の方が少し多いが、それでもこの森には昼も活発に動く魔物はいっぱいいるはず。

 だから油断はできない。


 油断なく探索していると、前を歩いていたアイリさんがいきなり立ち止まる。

 シエルもそれに合わせて止まり、辺りを見渡す。


「……そこ」

「えっ?」


 アイリさんは右斜めくらいの方向に指差す。

 するといきなり、その方向から「ギッ!?」というような声らしき音が聞こえてきた。


 その音にビクッと身体を震わせて驚くシエル。


「な、なんですか!?」

「魔物がいた。だけどもう倒した」


 そう言ってそちらの方向に近づいていくアイリさん。

 シエルも恐る恐るついていく。


「意外と大きかった」

「えっ、これってグール!?」


 倒れている魔物を見て、シエルがそう言った。


 姿は人間に似ているが、肌が全体的に灰色に近い。

 大きさも三メートルを超えている。

 これだけ大きいのに、少し歩いたところにいたというが気づけなかった。


 胴体が真っ二つになっていて、右腕も一緒になって切れている。

 切れた部分からは赤い血を流している。

 多分アイリさんが使ったのは風魔法で、刃みたいな感じで飛ばしたんだろう。


「グールって、何級だったっけ?」

「黒雲の影響でA級になった魔物です!」


 前に僕が倒したガルーダも、B級からA級になった魔物だったけど、それと同じなんだ。


「じゃあもともとB級、そんなに強くない」

「いや、待ってください、確かグールって――」


 シエルが何か言おうとした瞬間、地面で何か音がした。


 その音が発生したところを見ると、胴体だけになっていたグールが動いていた。

 グールの大きな手が、アイリさんの右足を掴んでいた。



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