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第20話 冒険者ギルド


 その後、カリナさんが門番の人に何か言ってくれて僕も街の中に入ることが出来るようになった。


「だけどやっぱり魔獣登録はしとかないといけないわね。そうしないと街の人を怖がらせてしまうわ」

「やっぱりそうだよね。キョースケ、私と相棒になってくれる?」

「キョー」

「ありがとう!」

「えっ? 今のでその話終わったの? というか理解したの?」


 僕は「いいよ」という意味で返事をしたが、シエルはすぐに理解したようだ。笑顔でお礼を言ってくれた。


 やっぱり契約しているから、僕の言葉がわかるのかな?

 それとも適当? どうなんだろう……。


 街の中に入ると、商店街が広がっていた。

 右には野菜とかが売っていて、少し先に肉を売っている店もある。僕はこの身体になってからご飯を食べたことがないけど、なんだか美味そうに見える。食べられるのかな?

 左には椅子やらテーブルなんかが並んでいて、どうやら色んな家具を売っているらしい。そんな店前に出して盗まれないのかな?


 シエルの肩に乗って街の中を歩くと、すれ違う人に少し怖がられているのを感じる。

 やっぱり見た目がいかにも魔物の僕を見て、襲ってこないか不安なんだろう。


 シエルとカリナさんの周りには人が全くいない。道は結構混んでいるのに、ここの周りだけ空いている。

 皆、僕を見て避けている。


「ごめんね、キョースケ」

「キョー?」


 突然、シエルが僕に申し訳なさそうにそう言った。


「こんなに街の人がキョースケを見て反応するなんて思わなかった。辛いよね、ごめんね」


 どうやら街の人が僕を見て避けているから、傷ついてるんじゃないかと思ったようだ。


 確かに少し思うところがあるけど、僕も不思議なくらい傷ついていない。

 多分、普通の人だったら傷つくんだろうけど、なんだろ。僕は今人間じゃないから、そこらへんの感性は違うのかもしれない。


「キョー、キョー」


 シエルの肩で首を横に振り、翼も使って身体で表現する。「全然大丈夫だよ」と。


「本当? 無理してない?」

「キョー」

「ふふふ、ありがとうね、キョースケ」


 優しい笑顔で僕の翼を撫でてくるシエル。


「ねえシエルちゃん、キョースケ君は何を言ってるの?」

「ん? 全然大丈夫だよ、気にしないでって言ってるよ」

「そうなの? 私にはわからないけど、契約してると言葉が理解できるのかしら?」

「あー、そうかも。なんとなく、こう言ってるなぁって言うのがわかるから」


 そうなんだ。やっぱりしっかり僕の言葉を理解してるっぽいね。

 僕の言葉はシエルにしか通じてないみたいだけど、僕はシエル以外の人の言葉も理解できるのはなぜだろう?


 契約するのが名前をつけた時、って言うならその前から僕はシエルの言葉わかってたしなぁ。

 あ、そういえば名前をつける前はシエルは僕の言葉はあんまり理解できてなかったか。身振り手振りでようやくわかったって感じだったね。


 そしてしばらく歩いていると、ひときわ大きい建物が見えてきた。入り口も結構大きい。


「あそこが冒険者ギルドだよ。ここで魔獣登録しないとね」

「魔獣登録した魔物には首輪をしてもらうんだけど、大丈夫かしら?」

「キョースケ、大丈夫?」

「キョー」

「大丈夫みたい!」

「うん、それは良かったわ」


 なんかとてもテンポよく話が終わった。

 だけど首輪か……なんか前世では犬とかにつけて散歩するイメージがあるけど、僕もリードをつけられるのかな?

 それだったらなんかペットみたいで嫌だな。僕は相棒、っていう感じがカッコよくて魔獣登録したいんだから。


 ギルドの中に入ると、色んな人がいた。

 だいたい男の人で、屈強な人がいっぱいいる。革の鎧を着ていて、なんとも言えないけどカッコいい……!


「こっちで魔獣登録するわ」


 カリナさんに案内されて、建物に入って右手のところのカウンターに着いた。


「ここで待ってて」


 そう言うと、カリナさんはカウンター内に入り裏の方に行って見えなくなった。


 僕とシエルは言われた通りそこで待っていると。


「ん? なんだお前、魔物連れてきたのか!?」


 突然後ろから驚いた声が聞こえた。

 シエルの肩に乗っているから、ちょっとジャンプして身体ごと後ろを向く。


 するとシエルも後ろを向く。さっきまで一緒の方向を見ていた僕達だけど、今は僕がシエルの後ろを見ている状態。

 だから僕はまたカウンターの方を向いてしまった。

 そうか、シエルが後ろを向くんだったら僕はそのまま前を向いておけば、一緒に後ろを振り返れたんだ。


「あ、ごめんね」

「キョー」


 僕は返事をしながら、もう一回ジャンプして後ろを向く。

 で、ようやく見えた後ろにいたのは一人の屈強といえるほどの体格を持った男の人だった。


「こんなところに魔物連れてきてんじゃねえよ! 危ねえだろうが!」


 その大きな声にギルドの中にいた人達がこちらを向く。

 そして僕の姿を見て、この男の人と同じように驚く。


「本当だ! 魔物だ!」

「レッドバードか!? あまり強くない魔物だが、黒雲の影響を受けているだろうから油断するな!」


 街の人と反応の仕方が全く違う。

 それもそうだろう、ここにいる人達は全員、戦える人達だ。


 最初に大きな声を上げた男の人は腰に差していた剣を抜く。

 周りの人もそれに続いて武器を取り出す。


「待って! この子は私と……!」


 シエルがそう言って誤解を解こうとするけど、その声は届いていないようだ。


 このままじゃ僕だけじゃなく、シエルまで攻撃されるかもしれない。

 だからシエルの肩から離れ、飛ぶ。


「あっ、キョースケ……!」


 僕がシエルから離れた瞬間、目の前の男が剣を振ってくる。


「オラァ!」


 振るう速度は結構速い、僕を見て動揺したけどすぐに戦闘態勢に入れるぐらいの実力者なんだろう。

 シエルに当たらないようにも振っているから、とても冷静。


 だけど僕は自分がこんなにも冷静でいられるのがちょっとビックリしている。

 いきなり剣を向けられて斬りかかられても、こんなにも冷静に思考できるんだから。


 そんなことを考えていると、剣が僕の身体に当たる。


「なっ――!?」


 だけど、僕には通じない。

 身体は炎と化し、剣はダメージを与えられずに通過する。


「なんだ、今のは!?」

「身体が炎になった!?」


 今のを見ていた冒険者達も目を見開いている。

 シエルも同じく、いやそれ以上に驚いている。そういえばシエルは僕の身体が炎になるのを知らなかったか。


 さて、どうしようか。

 ここで、冒険者達と戦ってみようかな。



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