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第127話 ユリウスとの戦闘後



 ユリウスという男が街の中に消えていくまで、僕はずっとその背を睨み続けていた。


 人間の目では見えないくらい遠くにいても、僕だったら見える。


 だけどユリウスがどこかの角で曲がったようだ。

 さすがに建物を見透すことは出来ないので、見失ってしまった。


 仕方なく僕は上空から降りて、シエルの肩に着地した。


「キョースケ、大丈夫?」

「キョー」


 怪我一つないよ。

 シエルこそ大丈夫?


「私も怪我はないよ。魔力を使いすぎて、ちょっと疲れたけど……」


 確かにいつもよりも顔色が悪い。


 それに今回は、相手があんな殺人鬼であった。


 体力的にも、精神的にもキツかったはずだ。


「あっ、ヘレナさんと、アリシアを病院に連れていかないと……!」


 そうだ、シエルの後ろでヘレナさんとアリシアが地面に倒れている。


 毒の水が地面に含んでないところに倒れている。

 身体の中の毒も、シエルが魔法で除去してくれた。


 だがそれでも油断はできない。

 ちゃんとしたところで見せないと、安心出来ないだろう。



 ということで、倒れている二人を病院まで連れていく。

 もう辺りは暗くなってきて、病院がやっているか不安だったが大丈夫だった。


 二人とも特に身体に異常は見られないようで、数時間も寝れば起きるとのことだ。


 今は病室のベッドで、穏やかな寝息をたてながら寝ている二人。


「よかった……二人とも、なんともないみたい」

「キョー」


 そうだね、よかった。


 これもシエルが解毒魔法をしっかりやってあげたお陰だね。


「そ、そうかな? そうだといいんだけど……」


 毒に侵された二人の身体は、医者が見ても身体の中には毒は残っていなかったようだ。

 シエルの解毒魔法が完璧に作用したということだろう。


 少し浴びただけでもA級冒険者のアリシアが倒れるぐらいで、ヘレナさんでも完璧に解毒出来ないような猛毒だったはずだ。


「キョー」


 シエル、すごいね。

 まさか解毒魔法がそんな上手かったとは……。


「ありがとう。だけど、嫌な気づき方というか……あの人が来なければ、気づかなかったんだけど……」


 そうだ、あのユリウスという男。

 あいつは一体なんなんだ?


 なんでいきなり戦うことになったの?


「わからない……私とアリシアが戻ったら、ヘレナさんとすでに戦ってたから」


 そうなんだ……。

 ヘレナさんが自分から仕掛けることはないと思うし、あんな意味わからない性格の奴だから、多分ユリウスの方から仕掛けてきたんだと思うけど……。


 あいつは一体何者なんだ?


「戦ってる最中に、あの男が言ってたんだけど……」


 シエルがあいつが言っていたことを説明してくれた。


 大昔に、この世界の半分を暴力で治めた魔人という種族がいた。

 その中でも最強の人物を、魔神と言っていた。


 その魔神の血をあいつは貰っていて、首を落としても死ななかった……。


 首を落としても死なないって、すごいな。

 もうそれは人間じゃないでしょ。


 魔人という種族がもともと首を一回斬られたところで死なない、とのことで。

 魔神の血を交えただけで、その魔人の種族のような力を得られるのか。


 じゃあ魔神という奴は、どれだけ強いのか……。


「わからないけど……二千年前に封印して、それが解けていってるらしいの」

「っ!」


 じゃああのユリウスって奴は、その魔神の封印を解こうとしているのか。


 よくわからないけど、その魔神を封印から解いたら絶対に駄目な気がする。


「うん、あのヘレナさんが怯えてるぐらいだから、相当最悪な相手なんだと思う」


 どれだけ強い相手なのか……。


 僕が戦った、あの黒いドラゴンよりも強いのかもしれない。


 ヘレナさんが結構知ってるみたいだから話を聞きたいけど、今は聞けるような状態じゃない。



 あっ、そうだ!


 シエル、僕が持ってきた黒雲病の完治薬!


「あっ、うん、これだよね?」


 シエルは大事に懐に入れてくれていた。


 それ!

 早くエリオ君に届けないと!


「そうだね……今から行っても大丈夫かな?」


 うーん、日が落ちてしばらく経つけど……。


 あのご両親に薬のことを説明すれば、大丈夫だと思うよ。


 だって息子であるエリオ君を助ける薬だから。

 絶対に早く届けたほうがいいから。


「……うん、そうだね。ヘレナさんとアリシアには悪いけど、薬を届けに行こっか!」

「キョー!」


 

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