超短編小説「光と夜の世界」No59
時刻は午前2時。私は緑の草むらの中に立っている。
草は月と星の光を反射して、黒銀の針のようになっている。
満月は凄まじい光を放ち、その黄金色を森の木々が黒く縁取っている。
そんな舞踏会のようなすばらしい景色を目の前にして、私はついそのことばかりを考えていた。なので周りの影が気を悪くしたのも当然だろう。
影は草むらを這いながら少しずつ一点に集まり、一つのロケットに姿を成した。
私が気づいた頃にはそれは既に発射されていて、大空で巨大な黒い花火になり、空一面を闇で覆った。
私が唖然としていると、暗闇の中に、長方形の灯台がいくつも立っていった。
それは世界が救済されていくようで、私が許されるようで、私は知らず知らずのうちに涙を流していたようだった。
私はそこで目を覚ました。
どうやら随分、奇麗な夢を見ていたらしい。余韻に酔いしれた私は、ゆっくりと窓を開けて外を見る。
長方形のビル群が沢山そびえ立ち、その光が地上を余すところなく照らす。地上は黒い殻に覆われ、そこに私達が住んでいる。そんな奇妙で奇麗な世界。
私は、ついいい加減なくしゃみをした。
どっちもいいよね!って思いながら書きました。
皆さんはどっちが好きですか?