【ダンジョンバトル】の準備 2日目 訓練に行こう
書き忘れていましたが、基本休みの日は土・日・祝日となります。
時間があったら、更新しますが・・・。
ゆっくりと、目を覚まし欠伸を一つ。
頭がボーっとして、何も考えられない。
後ろ足で、頭をかきつつ、毛並をグルーミングすべく、頭を下げ・・・、
「ワウゥゥ!?」
『獣になってる!?』
1匹の子犬、いや子狼の鳴き声が部屋に響き渡る。
見渡せば、昨夜まで来ていた服が脱げ落ち、ベッドは毛だらけだ。
部屋にあった鏡で確認すると、毛並の黒い子狼が姿を覗かせている。
ライカなら何か知っているのでは?と思い至るも、部屋のドアが開けられず。
「ワオオォォォン!」
『助けてくれ~!』
部屋の外に、ライカがいることを願って、必死に鳴く。
その願いが通じたのか、ドアが開き、
「どうされました?ウォード殿?」
ライカが、鳴き声を聞き取ったのか、部屋に現われる。
急いで目の前に行き、事情を説明しようとするものの、
「ワゥ!?ワゥワン!ワゥゥゥ・・・。」
『ちょっと!?コレ一体どうなってるんだ!って喋れねぇじゃんか・・・。』
そんな様子を見ていた、ライカは何かを察してくれたらしい。
「そういえば、ウォード殿は元人間でしたね。
昨日も少し説明しましたが、頭の中で成りたい姿を思い描くと、その姿になりますよ。」
「ワゥ!?ワワン!」
『まじか!?ちょっとやってみる!』
必死に、昨日までの姿を思い出す。
すると、少しずつ感覚が変わっていく感じがした。
感覚の変化が終了し、目を開けると、昨日と同じ10歳ぐらいの姿に戻っていた。
「おぉ!戻った!」
「おめでとうございます。
恐らくですが、昨日はお疲れでしたので無意識のうちに、体が休まるように獣の姿を取ったものだと思われます。
特に、子供のうちは感情の変化で姿が変わりやすいと聞きます。」
急な環境の変化もあるでしょうしね、とライカが考察する。
「とりあえず、こちらが代わりの服になります。」
「あっ!?」
慌てて、服を受け取り着替えた。
着替えが終わると、ライカに連れられ部屋を移動する。
間取り的には、俺の部屋の隣。
「この魔法陣は、今まで行った場所を記録し、そこにワープできるようになるものです。
但し、登録するにはウォード殿が行った場所しかできません。
街や他のダンジョンといった場所の時は、条件がつけられますのでご注意ください。」
「条件ってのはなんだ?」
「はい、条件というのは、
①こちらから移動する場合、街などの場合は1人ずつしか送れません。
これは、昔のダンジョンバトルで起こった『ヴァローラの悲劇』を二度と起さないためです。
②他のダンジョンなどの場合、相手からの許可が下りなければいけません。
基本的に、この魔法陣がコアの近くにあるため、いきなり移動できてしまうと危険ですからね。」
そういうと、ライカは懐から一冊の絵本を手渡してくる。
そこには『ヴァローラの非恋物語』とあった。
「タイトルを見て、なんとなく予想できたな・・・。
後で、暇な時にでも見させてもらうわ。」
「今、悪魔界で話題になっている作品ですのでお勧めですよ。
原作と比べて、若干盛っていますが、良い作品だと思います。」
「分かった分かった。
所で、この魔法陣でどこに向かうんだ?」
「すみません、少し興奮しすぎてしまいました。
こちらで向かうのは、悪魔城の中にある訓練施設になります。
今朝方、向こうに行くことは伝えてありますので、問題ないかと。
まずは、武器選びと戦い方の訓練を行ってから、外にいくことにしましょう。」
そう告げると、ライカが、魔法陣の起動の準備を始めていく。
少しずつ、魔法陣が様々な色を見せ始める。
「それではウォード殿、先にどうぞ。」
「あぁ、分かった。」
魔法陣の中に一歩を踏み出す。
視界が白く染まり、思わず目を瞑り、もう一度目を開くと、
「え?」
大量の兵士と真ん中にメフィストさん。
そんな反応を見て、メフィストさんはニコリと笑みを浮かべる。
驚愕する俺の隣に、少しずつ光が立ち上り、ライカが姿を現した。
ライカは、周りを見渡し、溜息をつきながら、語りかける。
「女王様、先ほど来ることは伝えましたが、これは一体何をなされているのですか?」
「面白くないわ~、なんでらいちゃんは真面目に反応してくるの~?
昔は、あんなに可愛かったのに・・・。」
「180年前ぐらいのことですね、それは。
一応、もう立派な大人ですので。
それに、そのネタはもう14回目です。」
らいちゃんがつまんない~、とメフィストさんが言いながら腕を払うと兵士達が消える。
俺が、どこに行ったんだ?と視線で探してるのを見つけたのかライカが捕捉してくれる。
「今のは、女王様の得意な魔法の一つ、幻影のスキルになります。
私達の驚く姿を見て楽しみたかったのでしょう。」
まじか・・・、全然気づかなかった。
そんな、俺を放置して2人の会話は続いていく。
「それじゃあ、今日は訓練施設を利用するだけでいいのよね?」
「えぇ、その後はウォード殿の補佐をしながら街の外で狩りをしようかと。」
「そうねぇ、確か今、外でスライムたちが大量発生しているそうよ~?
さっき、りんちゃんにお願いしてきたところなの。」
「リン殿ですか?となると狩りは厳しくなるかもですね。」
「ごめんね~?狩りに行くとは思わなかったもの。」
「まぁ、外の空気を味わってもらうのも大事ですから、行くだけいって見ますよ。」
「それじゃあ、訓練頑張ってね~。
但し、いつものノリでやっちゃダメよ?」
「・・・・・・・・・・・・善処します。」
不安ね~、と呟くメフィストさん。
「それではウォード殿、行きましょうか。」
「あ、あぁ。
ところで、いつものノリってなんだ・・・?」
「いや、まぁ・・・。
ちょっと昔、指導でやりすぎたことがありましたので・・・。」
妙に歯切れが悪いのが不安だ。
大丈夫・・・だよな?信じてるぞ、ライカ?
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