【ダンジョンバトル】の準備1
召喚するために、まずは部屋を出て、ほとんど何もない空間となっている場所に入る。
ここには、ダンジョンの核、所謂ダンジョンコアが置いてあるだけで、かなり広いスペースがある。
早速、今召喚できそうなモンスターのリストを眺めていく。
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ランダム召喚:1000
ダンジョンスライム:100
ダンジョンウルフ:90 10%OFF
ダンジョンバット:90 10%OFF
ダンジョンゴブリン:108 10%OFF
ダンジョンコボルト:108 10%OFF
ダンジョンオーク:135 10%OFF
ダンジョンインプ:150
ダンジョンスケルトン:150
ダンジョンベア:180 10%OFF
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「結構割引になってるものが多いんだが、何かあるのか?」
「私達の種族が獣ですから、それに応じて獣とされてる類が安くなっていますね。」
「あ~、アンデッド系の人たちならスケルトンが安くなる感じ?」
「その認識であってます。
ただ、獣系は範囲が広くなりますので割引額が抑え目となっております。」
ライカの説明に納得を示しつつ、ウォードはとりあえず召喚をしてみようと思い、
リストに触れる。
召喚しますか?と出てくるので、はいを押した。
ダンジョンコアから光が洩れ出て、目の前に小さな魔法陣を作り上げる。
「ぐるるぅ?」
召喚成功のようだな。
目の前にいたのは、俺の今の身長よりも大きくて真っ黒な体毛の狼。
ダンジョンウルフというものだ。
こちらを主と認識したのか、今はお腹を見せて服従のポーズを取っている。
お座りと告げると、その場でお座りをして待機を始める。
「結構でかいんだな。」
「この子は、まだ成熟しきってない固体ですね。
成体は、大体2~3mとなります。」
「まじかよ・・・」
ウォードが、思わず呟いた言葉にも、ライカは律儀に返事を返す。
「そういえば、俺達も含めてご飯とかはどうなるんだ?」
「ダンジョンから生まれたモンスターは、基本的に食事は不要です。
ウォード殿は、転生者ではありますが、ダンジョンの住人として食事は不要ですね。」
「お前は食わないの?」
「私はこんな見た目でも悪魔ですから。」
にこり、と笑顔を向けられ、そうか、としか言えなくなったウォード。
気を取り直し、どんどん召喚していくことにした。
「ちょっ、お前ら、舐めるんじゃない!
こら、そこは止め、うひゃぁぁ!」
ペロペロ、と召喚したダンジョンウルフ達に舐められているウォード。
彼らも悪気が有るわけじゃなく、親愛の意味を込めて舐めているだけだ。
それが分かっているだけに、ウォードとしても本気で怒りづらい。
「ライカ、助けてくれぇ!」
「お待ちくださいませ、ウォード殿。
貴方達の役割は、冒険者の撃退となります、
その為にも小隊を組み、協力して冒険者の排除に当たってください。
真正面からぶつかるのではなく、時には奇襲をし、罠を仕掛けることも大事です。」
ライカに助けを求めるも、ライカは、今召喚した他のモンスター達。
ゴブリン、コボルト、オーク達に役割を伝えていた。
その3種達は、ライカの言葉に頷き、素直に従っていた。
今回、召喚したのは5種。
ウルフ、ゴブリン、コボルト、オーク、ベアを6体ずつだ。
魔力を合計4086も使ってしまった。
6体な理由は、番を作ってくれることを願って偶数にしてみた。
彼らは、食事が不要なだけで、他は普通の生き物と変わらない、と聞いたウォード。
それなら、番を作らせ子供を生ませればいいんじゃね?と考えたわけだ。
各種を召喚し終わり、それぞれに指示を出すことにしたのだ。
その際、獣型と、人型で分かれて教えようと提示し、獣型を担当したのがウォードである。
教えようとしたところ、1匹の我慢できなかったウルフがペロペロと顔を舐めてくる。
それを見ていたウルフ達は自分達も、とばかりに一斉に群がられてペロペロ地獄である。
「だ、誰でもいいから助けてくれぇぇ・・・。」
息も絶え絶えで言葉を搾り出すと、ひょいっと上に乗っていたウルフ達が持ち上げられる。
「ぐぅ?」
「グルアゥ」
待機させていた、ベア達が助けに入ってくれたようだ。
ようやく、自由になってほっと一息をつく。
そんなウォードの隣で、ベア達がウルフにお説教をしているようだ。
ベアが一言二言鳴くたびに、元気だったウルフ達の尻尾と耳がどんどん萎れていく。
「そこまででいいぞ、俺はそんなに気にしてない。
ちゃんと言うことを聞いてくれよな?」
そう告げると、ベア達はそれならしょうがない、という雰囲気を出し、
ウルフ達は耳と尻尾がピンと立つが、その場にお座りをして自重しているようだ。
「お前達にやってもらいたいのは、冒険者達の撃退と偵察となる。
具体的には、階層を追加して、そこに森のエリアを作りたいと思ってる。
そしたら、そのエリアで冒険者達を迎え撃って欲しい。」
できるか?と問いかけると、彼らはちゃんと頷いてくれる。
これだけのことなのに、かなりの疲労感で一杯になっていた。
だが、まだまだやるべきことはある。
ダンジョンの2階層の追加、森エリアに変更。
ここまでは今日中にやっておきたい。
リストから2階層の追加(魔力1500)と森エリアに変更(魔力2000)を行うと
ダンジョンが揺れだした。
暫くすると、揺れが収まり、目の前に魔法陣が現われる。
「この魔法陣で森エリアにいくことができるのか?」
「そうですね、こちらで森エリアと行き来することができます。
転移場所は森の奥深くに設定しておくことをお勧めします。
冒険者がこの部屋に入り、ダンジョンコアを破壊したら私たちはリタイアとなりますからね。」
「やっぱり、そんな感じなのか。
了解、少し弄ってみる。」
魔法陣に触れてみると、移動するか設定の変更が選べるようなので
設定の変更で、森の中心地に変更しておいた。
「よし、これでいいな。
お前らもついてこい。」
手を振り、ついてこいと示すと、召喚したモンスター達がそれに続いてくる。
まずは俺から入ってみる。
淡い光が目の前に広がり、光が収まるとそこは森だった。
おぉ、と声を上げていると、隣に光が渦巻き、ライカが出てくる。
少しすると、召喚モンスター達も現われ30匹全員が揃う。
「ここがお前達の住処となる森だ。
自由に暮らしていいが、冒険者達の撃退は任せる。
用がある時はここの魔法陣から、俺達の部屋に来てくれ。
冒険者が来るのは、大体2週間後だからそれまでは自由にしてくれいいな?」
ウォードの呼びかけに、それぞれの鳴き声が帰ってくる。
これである程度は、まともなダンジョンになっただろう。
後は、残った魔力を使って何をするかだ。
モンスター達を森に残し、俺たちはコアのある部屋に戻った。
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