ダンジョンに入りました
ここからダンジョンの運営に入っていきます。
「それじゃぁ、紹介も済んだことだし早速私達の世界に招待するわ~。」
確か・・・メフィストと呼ばれていた女性が、指をパチンと鳴らす。
その瞬間、視界が真っ暗となり、前後左右が分からなくなり、意識がなくなった。
次に目を覚ましたのは、真っ白な空間ではなくどこかのベッドの上だった。
「ここは、異世界なのか・・・?」
ウォードが辺りを見渡すと、そこには見慣れた風景、死ぬ前の自分の部屋があった。
どうして、この部屋が今目の前にあるのか・・・。
ウォードが疑問を抱いていると部屋の扉が開く。
「ウォード殿、目を覚ましましたか?」
ライカが氷水の入ったバケツとタオルを持ってきていた。
恐らく看病するためだと思われる。
ベッドの隣まで来ると、近くにあった机から椅子だけを持ってきて隣に座る。
「気分のほうはいかがですか?ウォード殿。」
「大丈夫だ、問題ない。
ここは一体どこなんだ?
俺はどうして気絶したんだ?それにメフィストさんは?」
「順番に答えていきますね。
ここは、私が支配する予定のダンジョンです。
女王様より合図があるまで、ここで待機するようにとの仰せです。
次に、ウォード殿が、こちらの世界に来るには、転生するしかなく、
その肉体を、まずは此方の世界に作り上げ、同期させる必要がありました。
恐らく同期させる祭に、意識などを移し変えるために、一度シャットアウトさせたのだと思います。
最後ですが女王様は、今は王宮に戻られて【ダンジョンバトル】の最終チェックに入っております。」
こちらをどうぞ、と氷水からタオルを取り出し渡してくる。
ありがとう、と受け取ろうとした時、違和感に気づいてしまった。
自身の伸ばした腕が、やけに小さいのだ。
「・・・・・・俺の体、小さくなってるのか?」
「そうですね、ベースは10歳の体です。
まずはステータスの確認をされてはいかがですか?」
「ステータスの確認とは?」
「自身の状態などを確認する魔法ですね。
呪文は『己の姿を映し出せ、ステータス』となっております。」
「・・・その呪文とやらはどうしても言わないといけないのか?」
「自身のステータスが成長していけば、その内無詠唱で出せるようになるはずですよ?」
この通り、とライカが目の前に己のステータスを映し出した。
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ライカ:悪魔獣(タイプ:虎) 年齢:348歳
レベル:200
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「今はステータス・称号・スキルは表示していませんが、このように表示されます。」
「成る程、では俺もやってみるか、『己の姿を映し出せ、ステータス』。」
俺が呪文を唱えると、体から何かが出てくるような感覚に陥り、
ブゥン、と音を立て、目の前にステータスが表示された。
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ウォード:獣人族(タイプ:狼) ♂ 年齢:10歳
レベル:5
ステータス:体力 250/250
魔力 40/40
攻撃力 30
防御力 25
魔法攻撃力 5
魔法防御力 5
器用値 60
俊敏値 60
スキル:【ダンジョン創造】【剣術レベル1】
称号:転生したもの ダンジョン経営者
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「種族が人じゃなくて獣人になってるんだが・・・?」
「そうですね、女王様が私と組むのなら獣同士であるほうが楽しかろう?と仰ってましたね。
獣人は、人の姿をしていますが、獣の力が宿っていますので己の姿を変えることができます。
今も、成りたい姿を思い浮かべて力を込めれば、獣人状態、人状態、獣状態に変化できるはずです。」
「そうか・・・。それよりこのステータスは平均と比べてどうなんだ?」
「歳とレベルを考えれば特に器用値と俊敏値が高いと思いますよ。
魔法関連は・・・、獣人でありますから壊滅的なのはしょうがないですね。」
「手先が器用、足が早い、魔法関連は全然ダメ、という認識でいいのか?」
「その認識でいいと思います。」
そこまで話し合ったときだった。
突如鳴り響く、サイレンのような音。
そして、頭の中に直接話しかけられるような声が続く。
『あ~、あ~、マイクテスト、マイクテスト。
皆~、聞こえてる~?聞こえてるよね~。
本日で、予定していた人数の転生者が揃ったため~、
ただいまより、【ダンジョンバトル】の準備期間に入ります~。
期限は2週間、ルールはそこにいる悪魔ちゃん達から聞くか、ルールブックを送るのでそちらを見てね~。
良いバトルになることを期待しています~。』
話が終わると、部屋にあった時計から音がする。
見れば、335時間58分34秒とあり、どんどんカウントしていくのがわかる。
「とりあえず・・・まずは、ルールの把握からしておく必要があるな。」
「それでは、説明を致しますね。
勝利条件は、
①【ダンジョンバトル】の期間、約20年の間に最も多く、人間・魔族問わずに魔力を奪ったもの。
②他のダンジョンとバトルをして傘下に収める。となります。」
「20年か・・・、結構長いな。
それで、どうやったらその魔力を奪えるんだ?」
「管理するダンジョンの中に対象がいると、1時間で対象の強さに応じて3%の魔力が奪えます。
また、傷ついたり、魔法を使ってくれると、その減った体力・魔力の一部がダンジョンに魔力として還元されます。
対象は基本的に、冒険者と呼ばれる者たちになるでしょう。
ダンジョンを攻略し、生計を立てる者達です。
一番は、死んだ時ですね。その人の体力・魔力分が一気にポイントとして還元されます。
また、勝利条件として満たすことはできませんが、対象の装備を奪えた場合、ダンジョンの魔力として還元することができます。」
「短期的に見るなら、入ってきた者を殺したほうがいいし、長期的に見るなら生かしたほうがいい。
こういうことか?」
「その通りであります。
ダンジョンの魔力は、そのままダンジョンの運営にも関わりますので計画的に使う必要があります。」
「ダンジョンの魔力は、使うものなのか?」
「はい、ダンジョンの魔力を消費することで階層の追加、地形の変更、モンスターの召喚といったことが可能となります。
まずは、貴方の持っている【ダンジョン創造】で実際に見てみましょうか。」
そう、促されたので使ってみることにした。
呪文はないらしいので、小声で『ダンジョン創造』と呟いてみる。
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ダンジョン:??? 名前はまだありません
階層:1階 支配の間
2階を追加する 必要魔力:1500
モンスター;現在、1匹もいません 召喚する必要があります。
保有魔力:10000
ダンジョンから得た総魔力:0
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この画面を、ライカに見てもらうと
「10000の魔力は女王様が最初に配られたものですね。
こちらを管理しながら、上手く人間達を呼び込み、貯めていく必要があります。
一番下の値を大きくすれば勝ちですね。」
「なんとなく、理解できた・・・と思う。
冒険者とやらが魅力を感じて入ってくれるようなダンジョンを作り上げればいいんだな?
それも、程よく攻略ができそうでできない感じのを?」
「それが一番の理想となりますね。」
ライカの説明を聞き、ある程度やるべきことは定まった。
後は、どうやってこの魔力で冒険者を呼び込むか、決めなければいけない。
まずは、召喚できるモンスターのリストに目を通していくことにした。
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