プロローグ
初投稿の作品となります。
応援よろしくお願いします。
深夜2時、周りには誰もおらず、ただキーボードを叩く音だけが響いている。
「くそが・・・ここも間違ってるじゃねぇか・・・。
ここも・・・これもか・・・。」
男がやっているのは、明日の会議で使う資料の最終チェックだ。
明日の会議で使うものを、今チェックしているのは男の手際が悪いわけではなく、
単に無能な上司と部下の責任を取るために男はずっと1日謝罪行脚を行っていたためだ。
会社に帰ってこれたのは夜の11時。
そこから帰宅しようとした男の苦労を知ってか知らでか、上司は笑顔で
「この資料さ~、明日使う奴だからチェックお願いね~。」
そう言い残し、1人帰宅してしまった。
部下はすでにおらず、泣く泣く男がやることになったのだ。
「後は・・・これを直せば・・・おわり!」
そう言って、力なく椅子に体を預ける。
時計を見れば、2時半。
休憩を挟みながらとは言え、こんなに時間がかかるとは思わなかった。
「よくこんなもんを会議に出そうと思ったな・・・。
俺がチェックしてなかったら9割間違ったままじゃねぇか・・・。」
データをUSBに保存してから上司の机の上に放り投げておく。
どうせ、明日の会議は上司が出ることになっている。
この頑張りも、上司の貢献になると思うと泣けてくる。
「ま、気にしてもしかたねぇか・・・。」
溜息をつき、帰宅する準備を始めるために立ち上がったその時だった。
一瞬よぎった眩暈。
その後に続く、心臓を握られたような痛みに男は悲鳴を上げることもできずに倒れてしまう。
暫くもがいていたが、やがて男は動かなくなった。
誤字、脱字などありましたらよろしければ報告お願いします。