第一話 予想外すぎた彼女らの正体
「ガタン」
その音と振動で起きた俺は今週も学校が終わり
家まで帰ってるところだ。
疲れ切ったこの身を脳が反射的に癒すように寝てしまっていた。
いつもまにか終電も近くなっており、窓の外を見ても夕焼けの灯りがかすかに見えているぐらいだ。
数分して家から最寄り駅の終電に着き、いつもどおりに帰っていた。
帰ってこそいたのだが、寝ぼけているのか視界と感触にはここにいるはずのない可愛らしい彼女とその心地いい手のぬくもりが伝わってきていた。
「なんでここにいる」
「ダメだった?」
「お泊りでもするつもりか?」
「よくぞおわかりいただけた」
「お前は親に言ってあるのか?うちは別にいいんだけどよ」
「もちろんとも!」
「威勢のいい返事だこと。」
「てへへー(*´ω`*)」
「別にそこまで褒めてもねぇよ。」
「えぇ~(´・ω・`)」
そんな他愛もない会話して数分して家に帰った。
「ただいまー」
「ただいまでーすっ!」
そんなハモるような二人の声が家に響きわたった。
すぐさま妹が元気のいい声を出して
「おっ、来たねー」
「お前は知ってたのか?こいつが来ること」
「こいつ言うなぁ~」
「うん、ちょっと前にメールで連絡あったけど」
「なんで言わなかった?」
「えっ、お兄ちゃん知らなかったの?」
「謎にサプライズ食らったからな」
「先輩が気付いてないだけじゃないですかぁ~」
「というかお前いつから俺についてた?」
「えーっと。。先輩がスイーツショップで可愛い顔でスイーツ食べてる時から?」
「ちょっ、おまっ、なんで俺の場所わかった?!」
「たまたま通りかかったら先輩が美味しそうに食べてただけですよぉ~」
「というか、お前がずっと持ってるその袋はもしかして?」
「先輩大好き苺タルトです!」
「おおおおおおおお!!」
「へっへぇ~!頭なでてください!」
「う~ん。。これは特別だぞ?」
「はい!」
そう言って軽くなでた頭には俺と真反対のサラッとした髪の毛と髪の上からでもわかる微かな体温があり、思わずずっと触ってしまいそうになるほどだった。
「ありがとうございます!先輩!」
「お、おう。。。」
「もう、先輩、それだけで照れちゃって~!」
「イチャイチャしてるところ悪いんだけどここリビングだよ?するんだったら自分の部屋行ってすれば~?」
「あっ、ご、ごめん」
「私達の愛を見ますか~?妹さん?」
「別にいい!」
「な、なんかごめんなさい。。(´・ω・`)」
こうして妹に怒られた俺たちは俺の部屋へとイチャイチャしながら移動した。
「これで何回目でしたっけ?この部屋来るの」
「覚えてねぇのか?4回目だ」
「ピンポーン正解です!」
「知ってたのかよ」
「もちろんです!忘れる訳ありません!」
「そしていきなりですが、その引き出し開けてみてください。」
「なんだ?あらたまって、ってうぉぉっ?!」
引き出しを開けると、まるでド○エもんのの○太の部屋の引き出しのように歪んだ空間が見えていた。
「どうですか?その引き出しから異世界に行けるんですよ!」
「ド○エもんじゃねぇか!って、いつの間にこんなもの仕込みやがった!!」
「昨日寝てたときですかね?」
「合鍵持ってねぇだろ!どうやって入ってきた!」
「この部屋の窓のところにロープくくりつけて開けて入りました!」
「ここ二階だぞ?!正気か?!」
「この通り命に別状はありません♪」
「そういうことじゃねぇんだよ!」
「ずっと怒ってばっかりですね。。カップルやめますか?」
「やめねぇよ!」
「もう、先輩ったら♪」
「ハァ。。」
「どうしたんですか?ため息ついて」
「おめぇのせいだよ。。」
「ちちんぷいぷい♪はい。これで治りました!」
「魔法使いかよ。お前。」
「今の見て気づかないんですか?魔法使いですよ?」
「えっ?」
「もう一度言う。えっ?」
「えっ?!?!」
突進するような勢いで妹が部屋の中に入ってきた。
「仲間じゃん!!」
えええええっ?!?!
流石にこの展開は謎すぎる。
誰も彼女と妹が魔法使いなんて予想立てないだろう。
いや、思いつかない。
「どこの魔法学校出身ですか?妹さん」
「向こうの世界の一番良いところだと思います。」
「あ、もしかして18期生ですか?!」
「え!もしかして16期生の先輩ですか?!」
「そうです!!奇遇ですね!妹さん!」
いやいや。。。妹と彼女が魔法使いでふたりとも一番いい魔法学校出身だなんて予想外すぎる。。
「だからほら、さっき買ってきたこの苺タルトも魔法で出したものなんですよ?」
「ほえ~そいつはすごいな」
「いろんなことできちゃいますよ?!」
「まぁそうだろうな」
「異世界転生は勿論のこと、天国、地獄にも行けちゃいます!位の高い魔術師は神を召喚することだってできちゃいます!」
「神って本当に存在したのか」
「まぁ、擬人化みたいなもんですけどね」
「擬人化って?」
「意思自体は神そのものですけど、本来私たち人間の視覚には捉えられないんです。その神を召喚するのにもスタミナを使いますが、擬人化するのが大変なんです。」
「それで、お前はどれくらいの位なんだ?」
「私は最高位ですね。」
「妹よ、これはどのくらいすごいんだ?」
こう聞きながら振り返ると石のように固くなった妹が顔を真っ青にしていた。
「おーい?」
数回聞き返してやっといつもの妹に戻った。
「えっと。。。。魔法学校は学年毎に大体960人くらいいるんだけど。。」
我が妹が声を震えさせながら言うと俺はまさかと思った。
「960人いる中でなれるのは一人、二人ぐらいなの。。」
まさかと思った俺の予感は的中した。
「それで、16期生のいる時は何人なれたんだ?」
「少しその年は人数が多くて1000人近くだったんだけど一人。。。」
「その通りです!よく知ってますね!妹さん!」
我が妹が血の気の引くような顔をしてたのも納得だ。
「妹さんの位はどれくらいなんですか?」
「私は兄さんの彼女さんに比べればまだまだで。。。上から3番目ぐらいかな。。」
「なぁ、位とか言ってるけどどれくらいあるんだ?」
「上から数えれば60段階ですかね~」
「それ下から数えても変わらねぇだろ」
「へへ♪そうでした~」
「そうすれば我が妹の位も相当上なんじゃないか?
「はい!大体960人いる中でなれる人は10人にも満たないですかね~」
何だこの状況。
こんな平凡な俺の周りには位の高い魔法使いが二人もいるって。
それも一人は神を呼び出せるほど位が高い。
それがまた彼女だというのだからなおさらだ。