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少ししか短編と同じところはありません。

日常会話?です。

「どう~。清香ちゃん、可愛いでしょ」


絵菜ちゃんが私の横に立って肩に手を置いてそう言った。


「可愛いというより綺麗かな。もともと絵菜に似て可愛かったけど、着物が似合っていて雰囲気美人だよな」


達也さんはそう言ってから、智也君の方を向いた。そして軽く彼の背中を叩いた。


「智也、いつまで見惚れているんだ」

「あ、ああ。分かっているよ、達也叔父さん」


智也君が我に返ったように表情を戻した。そしていつもの穏やかな微笑みを浮かべると言ったの。


「久しぶり、清香ちゃん。約束通り着物で来てくれたんだね」

「はい、久し振りです。智也君もとてもよくお着物が似合っていますね」

「清香ちゃんのほうこそだよ。とてもよく似合っているよ。それに髪をあげているのを始めて見たよ」


そう言って智也君は目を細めて笑ったのでした。そして、そばに近づいてきて私から三歩のところで止まり、頭を下げた。


「お正月はごめん。あの時はあまりに可愛らしくて、つい子供発言してしまったんだ」


表情を改めて智也君はそう言った。


「もう、その姿じゃ子供扱いは出来ないね」

「そうでしょ。ちゃんとお姉さんでしょ」


軽く胸を張って答えたら智也君は目元を細めて眩しいものを見るように私のことを見てきたの。


「お姉さんじゃないよ。清香ちゃんは素敵な女性だよ」


その言葉に恥ずかしくなった私は顔を赤くしながら俯いたのでした。


「さあ、そろそろいいかな。いつまでも立っていないで座ろうか」


達也さんの言葉に私達は応接セットの方にいったのね。智也君との会話の間に用意してくれたのか、達也さんはトレイにコーヒーを淹れたカップと紅茶の入ったサーバーを載せてきていた。コーヒーは達也さんと智也君の分。サーバーから絵菜ちゃんと私のカップに紅茶を注いでくれたの。


私は二人掛けのソファーに智也君と並んで座っている。拳二つ分の距離は近すぎず遠すぎずで心地いい。


「それにしても着物一つでここまで変わるのか。子供だ子供だと思っていても、女の子はすぐに大人になってしまうんだな」


達也さんがしみじみとそう言った。


「あら、今更なことを言わないでくれるかしら。清香ちゃんはちゃんとした女の子よ。16歳は結婚だって出来るんだから」

「絵菜、そういう話じゃないだろう。お正月に会った時は子供用のアンサンブルだったんだぞ。それが江戸小紋を着てくるなんて思わないじゃないか」


そう、お正月に会った時には私は子供用のアンサンブルを着ていたの。黄色地に扇と毬と様々な花が描かれているものだったわ。それを見た、達也さんが私のことを子供扱いしたのよ。確かに私は背が低いけど、それはないと思ったのよね。

それに智也君にも話を振って、智也君まで私のことを子供扱いしたのよ。だから次に会う時には、大人な私を見せるつもりで、持っている着物の中で一番好きな着物を着てくると宣言したの。


なのに春休みまで着て来れなかったのは、この着物が私の手元に中々来なかったからなのよ。届いたのは2週間前。本当なら、この江戸小紋だけは年を越す前に手元にくるはずだったと祖母から聞いたのよね。


「そんなこと言って、もしお腹の子が女の子だったらどうするのよ」

「安心しろよ。嫁には出さないから」

「嫁には出さないって、娘の幸せを考える気はないの」

「娘を幸せに出来るかどうか、見極めてだな」

「そんなこと言って・・・」


達也さんと絵菜ちゃんの会話がずれていく。・・・ではなくて言い合いを始めてしまったの。まだ産まれ出でていない子供のことで。二人は子供の性別を聞いていないそうなのよ。初めての子だし、産まれるまで楽しみに待つことにしたそうなのね。


私は口を挟むべきかどうか考えながら智也君のことを見た。智也君もちょうど私の方を見てきて、目が合うと肩を竦めたの。


「達也さんの発言は気にしなくていいよ、清香ちゃん。どうもうちの家系は男系みたいでね、父の兄弟も、僕の兄弟も男だけなんだ」

「そうなのね。うちは女の方が多いかな」

「でも清香ちゃんにはお兄さんがいたよね」

「うん。5歳上と2歳上にいるよ」

「妹さんもいるんだっけ」

「そうなの。まだ6歳でかわいいのよ」

「妹か~。可愛いんだろうな~」


智也君がしみじみと言った。前を向くといつの間にか達也さんと絵菜ちゃんは言い合いを止めて、私達のことを微笑ましそうに見ていたのでした。


「そう云えばそろそろ家を出た方がいいのではないかしら。予約に送れてしまうのではなくて」


絵菜ちゃんが時計を見ながらそう言った。達也さんも時計を見て私達に言った。


「どうもそのようだな。二人とも出掛けるから忘れ物がない様にしろよ」


そんなことは聞いていないので立ち上がりながら聞いてみた。


「どちらに行くのですか」

「ん~、着いてからのお楽しみじゃ駄目か」


達也さんの言葉に絵菜ちゃんが達也さんのわき腹に軽く肘をいれた。


「もう、達也は~。あのね清香ちゃん。私はこんなだし、二人は着物で来たわけでしょ。せっかくだから外でお食事をしようということになったのよ」


絵菜ちゃんが代わりに答えてくれました。うん。それなら、了解よ。



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