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この話も「大好きな人に会う日は・・・」と前半は同じです。

後半で・・・私が男性の着物姿のどこに萌えるか、解っちゃうわね。


バスの中で・・・視線をとても感じます。やはり着物を着ている若い女の子は珍しいのでしょうか。


駅前でバスを乗り換えます。絵菜ちゃんが住んでいる路線のバス停には降りたところから、ぐるりと回って行かなくてはなりません。


歩いていると誰かが私を呼ぶ声がした気がしたの。そちらを見ると・・・高校生くらいの男の子。なんか見たことがある気がするけど、離れていることとバスの時間が近づいているので、軽く首を捻ってそのまま歩いていっちゃった。多分、同じ高校の誰かでしょう。


バス停について1分もしない内にバスが来たの。なので、乗り込んだのね。


約10分後、目的のバス停で降りたら絵菜ちゃんが迎えに来てくれていたわ。


「キャ~。清香ちゃんてば~。私を萌え殺す気なの~。写メ!写メを撮らせて~!」

「絵菜ちゃん。お迎えはうれしいけど、そんなに興奮しないでね。身体に障るよ」


とりあえず荷物を持ったまま5~10?枚くらい写メを撮られたのよ。


絵菜ちゃんが住んでいるマンションに着いて部屋に落ち着いたのは、写メをいっぱい取られた後でした。道行コートを脱いだら、また絵菜ちゃんが大騒ぎしました。服の選択を間違えた気がします。


絵菜ちゃんが紅茶を入れてくれて、やっと座ってお話しです。


「今日は来てくれてありがとう、清香ちゃん」

「こちらこそ、お招きに預かりました」


軽く頭を下げて、絵菜ちゃんと目を合わせた。そして二人して吹き出した。


「やだ~、清香ちゃんたら」

「絵菜ちゃんこそ~」


笑いが収まると私は持ってきた風呂敷包みを開けて中の包みを絵菜ちゃんに差し出した。


「どうぞ。気に入ってくれるといいな」

「ありがとう」


包装紙を外して箱を開けると、中にはタオルで作ったものが入っているの。それを絵菜ちゃんは取り出して手に持った。


「すご~い。これがおくるみね。タオルでできるんだね。ステッチも素敵。これは・・・」


もう一つの物を手に取って絵菜ちゃんは絶句した。と、思うとプルプル震え出すとキラキラした目で私を見てきた。


「なにこれ~。かわいい。可愛すぎるわ。赤ちゃん用ガウンみたい~。ねえ、これ、本当にフェイスタオル2枚で作れるの?」

「うん。着物の一つ身の応用なの。タオルだから、一緒にお風呂に入った絵菜ちゃんが服を着る間、ちょっと赤ちゃんに着せておくのにいいかな~って、思ったのね」

「うん、うん。子供が生まれたら絶対使わせてもらうね~」


絵菜ちゃんがとても嬉しそうに抱きしめていた。絵菜ちゃんはただいま9カ月目の妊婦さんなの。今日は私が作ったおくるみとガウンのようなものを届けに来たんだ。どちらもタオルで作ったもので、おくるみは薄いグリーンに黄色い花の模様があるもの。男の子でも女の子でもこれならいいかなと思ったのね。

ガウンのようなものは、白いフェイスタオル2枚を使って作ったものなの。赤ちゃん用だから脇の縫い目は外向きになっているわ。内側と外側に2カ所紐をつけたから、それを結べばはだける心配はないのよ。本当に赤ちゃん用のガウンみたいなの。


それから、ついでにいうと絵菜ちゃんは私のいとこで歳は8歳離れているの。でも、昔っから絵菜ちゃんには可愛がって貰っていたんだ。絵菜ちゃんの旦那さんは会社の元上司だった人。絵菜ちゃんより8歳(偶然だけど)上のイケメンさん。やさしくて頼りがいがある人なの。


実はここだけの話だけど、絵菜ちゃんを取られるのが嫌で彼には嫌がらせをしました。

だってね、絵菜ちゃんと出かける約束をしていた日に割り込んできたのよ。アウトレットモールに行くはずだったのに。結局絵菜ちゃんと私と彼と彼の甥の4人で遊園地に行ったのよ!

でもね、絵菜ちゃんと結婚する前に、私に謝ってくれたのよ。いとこのお姉ちゃんを取っちゃってごめんなって。大切にするからって言ってくれたの。それから兄だと思ってくれとも言っていたのね。・・・絶対兄とは呼ばないけどね。


・・・今となってはいい思い出よ。うん。嫌がらせをしたことについては私は悪くないと思うな。だって、絵菜ちゃんが言っていたもの。もう少し仕事をしていたかったって。今は専業主婦だもんね。


絵菜ちゃんと楽しく女子トークをしていたら、玄関のチャイムがなったわ。でも、絵菜ちゃんは慌てない。絵菜ちゃんは立ち上がってコーヒーメーカーのスイッチを入れたの。そうしたらリビングの扉が開いて、家主の絵菜ちゃんの旦那さんと彼の甥が入ってきたのね。


「清香ちゃん、いらっしゃ・・・」


旦那さんこと、達也さんが言葉を止めて口をあんぐりと開けて私を見ていた。いや、達也さんの後ろから入ってきた、甥の智也君も同じだ。智也君は私と目が合うと顔を赤くした。

私も智也君の姿に釘付けになった。目が合って私の顔も赤くなったことだろう。


智也君も約束通り着物を着てきてくれていた。彼が着ているのは、多分青鈍あおにび色の単衣に萌葱もえぎ色の羽織。帯は博多帯で沈香じんこう色に帯の真ん中に白色で模様がある


智也君も着物を着る機会が多い人だから着物を着慣れている。衿の合わせから上の首筋に吸い寄せられたように視線が向かってしまう。女性にはない男の象徴だとでも云うように、喉仏が強調されて見えるのは、私が彼のことを意識しているからなのだろうか。


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