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着物での乱闘シーンが入ります。


そして・・・!

さあ~、尻っぱしょりです。

想像してみてください!

駅前を智也君と歩いていたら、誰かの声がしたの。そちらを見るとどこかで見たような顔。服装から察するに、今朝バスの乗り換えをするときに声を掛けてきた人だと思う。

その人が私達のそばに来て、進行方向に立ちふさがった。すかさず智也君が私を後ろに隠すように一歩前に出てくれた。


「おい、津雲。何、無視してんだよ」


その声を聞いて、私はげんなりとした気分になったの。この声の主はいつも学校で私に突っかかってくる人です。私が答えずにいると、その男の手が伸びてきて私を捕まえようとしたの。でも、智也君がその手をパシンと振り払ってくれたわ。


「その汚い手で清香ちゃんに触らないでくれないかな」

「ああ~。なんだよ、てめえは。部外者は引っ込んでろよ」

「そっちこそ、みだりに女性に触れるべきじゃないだろう。まして清香ちゃんは、そん所そこらの女性と同列に扱っていい女性じゃないんだ。君こそ身の程をわきまえたらどうなんだ」


智也君が強気なセリフを放ちます。


・・・というか、恥ずかしいです。智也君が私のことを大切に扱おうとしてくれているのは分かります。ですが、他の人にまでそれを言うなんて・・・。


「何を~! お前、俺が誰か知っていてそんな口を利いているのかよ」


その男はいきり立って、智也君に凄んできました。それに智也君は涼しい顔で答えます。


「知るわけないだろう。虎の威を借る狐のことなんか。ああ、自分より立場の弱いものにしか、威張ることが出来ないんだったか」

「おい、知った風な口を利きやがって。津雲はな、平民のくせしてうちの学校で大きな顔をしてやがるんだよ。俺は立場ってもんを分からせようと、教えてやっているだけなんだぜ」

「・・・君は、いつの時代の人間なんだい。平民という言葉を使うなんて。というか、そんなことを言う時点で、君の程度が分かろうってもんだな」


呆れたように智也君が言うけど、私はさっきからハラハラしています。その男の周りには何人かの男がいます。周りの男は面白そうにその男と私達を見ていますが、男を諌める気はないようです。それどころか嫌らしい表情をしています。・・・そう、猫がネズミをいたぶる時のような表情と言えば、わかっていただけるのでしょうか。


達也さんは少し離れたところから私達のことを見ています。絵菜ちゃんがこちらに来ようとするのを押さえているようです。妊婦の絵菜ちゃんに心配をかけてしまって申し訳ないです。


というより、私達の周りに人だかりが出来てきています。質せさえ着物を着て目立っていたのに、これでは晒し者です。周りの視線もなんか同情的に、私と智也君を見ている気がします。


「つべこべ言ってんじゃねえよ。とにかく俺は津雲に話しがあるんだ。そこをどけよ」

「君こそ本当に自分の立場ってやつを、考えたらどうなんだ。それに僕達の恰好をみれば判るだろうに、そこまで分別がつかないのか。普通に考えたらこのような格好をしていれば、気軽に話しかけられないだろう。ああ、判らないからこんなところで暴挙に出ようとしているわけだ」


男が智也君を押しのけようとしましたが、智也君はビクともせずにまた男の手を払いのけました。男の表情がいままで以上に醜く歪みました。


「おい、こいつを押さえとけ。邪魔をするてめえが悪いんだからな」


男の言葉に、周りにいた男達が動きました。いつの間にか人だかりも少し離れさせられています。その牽制している人も入れると十数人いるようです。


「やれやれ、本当に頭が悪いんだな」


智也君が呆れたようにいいました。そして私に小声でいったの。


「ごめんね、清香ちゃん。もう少し穏便に済ませたかったのだけどね。清香ちゃんには指一本触れさせないよ」

「はい、大丈夫です。智也君は悪くありませんから。いざとなったら、私も戦います」

「さすが、清香ちゃんだね。手が回らなかったらよろしく」


軽い調子で智也君が言ったけど、視線は男達に向けられたままです。そして最初に拳を振り上げてきた男の腕を掴んで、投げ飛ばしました。その男は3人の男を巻き添えにして倒れてしまいました。男達は反撃されると思わなかったのか、動きが止まったの。その隙に智也君は羽織を脱いで着物の後ろの裾を帯に挟みこんでいたわ。


「キャー!」


周りから女性の黄色い声が聞こえます。・・・気持ちは分かりますよ。時代劇のような姿ですよね。裾を帯に挟んだから、着物の前が割れて太腿から脛があらわになりましたもの。まだ成年になりきれていない、少年から青年期の若々しい筋肉というか・・・。


えー、ゴホン。

祭りの時によく見る、白い太ももまでのズボン下を履いていたのも、また時代劇感が増した気がしたのね。


・・・私は智也君から羽織を受け取りました。智也君は油断なく周りを見ています。そして不敵に笑いました。それに感化されたのか、二人の男が智也君に向かってきました。智也君は片方の男の拳を躱すと、もう片方の男の鳩尾にかなり強めの拳を叩きこみました。前屈みになったその男の首筋に手刀をおみまいし、先の男がもう一度殴りかかってきたのを、拳を躱して逆に顔面を殴っています。その後ろから別の男が近寄ってきて、智也君を捕らえようとしたけど、そこに新な人物が現れたのでした。


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