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2年3組・オブ・ザ・デッド  作者: 東山神兵
5/11

#05 わたしをみて。 -Happy With What You Have To Be Happy With-

挿絵(By みてみん)


きっかけは……何だっけ?


由衣ちゃんじゃなかった?

確か、マックかなんかのバイトで…。


ああ、うん…。


聞いてくださいよ!

この子、差別受けたんです! サベツ!


天下のマックで、ねえ!


あ、いや、マックじゃなくて…駅前のミスターバーガー…。


ゾンビってだけで、突然クビ言い渡されたんですよ! 酷いっしょ?


そりゃあ、このコちょっとトロいとこあるけどさ。


ゾンビなんだもん、しゃーないじゃん。


ハンバーガーに指入れて出すぐらい、笑って見逃せってーの。


入れてない! 入れてないからっ!


人に指、食わせないって。


あたし、妹が来たときだけど、

自分の目玉のっけて“てりたまバーガー”ですってやったことあるよ。


やるなよっ。

さすがに引くよっ。


まぁ冗談はともかく、イメージが悪いとか、衛生面に難アリとか、

適当なイチャモンつけられてクビになったんです、この子。


正直、アタマきた。あたし、怒鳴り込みに行こうかって思ったモン。


まぁ、仕方ないよ…。

私がゾンビじゃなかったら、やっぱ気持ち悪いって思うかだもん。


だとしてもさー。


で、よくよく調べてみたら、みんなけっこうバイトで差別受けてたんですよ。


クビになったり、ホール外されたり。


食品関係は特にねー。


コンビニもダメ。客からクレームが来たって。


私、家庭教師やってたんですけど、

生徒のお母さんから、半年分握らされてやめましたー。


半年っ! すげえ! 紹介してっ!


いやいや。


そんなこんなが続いて、みんな考えちゃったんですよ。

この先、就職するにせよ、進学するにせよ、

私たちを受け入れてくれる場所はあるのかなって…。


マジ落ち込んだよね。検体とか死体役者とか。


原発作業員いいんじゃね? とか言ってたっけ。


ヤケんなって、アイドルデビューとか話してたんですよ。

史上初ゾンビアイドル、ZMB48。


足りない分は体をスライスして、四十八人、埋め合わせようとかね。


ホラ、私たちの体ってわりと自由がきくっていうか…

その気になれば整形美人も比較的楽に出来るっていうか…。


まぁ流石にね、全員でアイドルデビューはやめたんですが。


一人、本気になっちゃったのが。


はーい、沙羅でーす!


いつの間にかブログ立ち上げて、ネットアイドルからスタートして。


ものめずらしさもあって、フォロアーが一気に増えちゃってね。


これはイケるって。


なんか盛り上がっちゃったよね。

みんなで沙羅をパーフェクトアイドルにしようって。


顔はあんまりいじらなかったけど、体は手を入れたねー。


胸をもって、お腹削って。


傷跡もスタイリッシュにまとめようと。


ゴス方面も迷ったんですけど、

とりあえずソフトコアパンクな方向がよかろうってことで、

思い切り大改造しちゃいました。


ただの悪ノリに見えるかもしれませんけど、

けっこうマジメにイケイケだったんですよ。

ゾンビ人生に光が見えた!とか言って、この5人は割りとみんな本気で頑張ってた。


だから二次予選まで行ったときは、真剣に嬉しかったんです。

コンテストに出たのは沙羅なんですけど、全員で舞台に立ってる気持ちでした。


5人だけじゃなく、2年3組全員の希望って感じでね。


まぁ……結局整形がバレて、失格だったワケですが…。


ネットのフォロアーどもがねー…手のひら返しっていうか、

結局興味本位だけの差別野郎がけっこう混ざってて。


まぁ見事に揚足取られました。


それでも、沙羅を応援してくれてる人もたくさんいるんだよ。

プロダクションさんから名刺も何枚かもらったし。


ほとんどAVだったじゃん。


さすがにヘコみましたわ。

ゾンビと人間、相容れないなーって。


まぁ、それでも、ちょっとだけ希望は見えたんですけどね。


ちょっとだけ、ね。

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