昼時の王子3
暁斗と一緒にリビングに行くと、陽斗はもう半分くらい食べ終わっていた。
「・・・・アキ・・・」
陽斗が暁斗をみて呟く。
その顔は寂しそうな・・・懐かしそうな顔だった。
そんなに兄弟間の仲悪いの?
「暁斗・・・ほら座って、パスタ出来てるよ?」
突っ立ったまんまの暁斗に声をかける。
それでも暁斗はまだ陽斗の前に座ることを抵抗している。
「いらないの?いらないなら食べなくていいよ?」
いつまで経っても座ろうとしない暁斗に腹が立ってきた。
「・・・・食べる。」
「はい。じゃあ座って。」
「・・・・・うん。」
嫌々過ぎやしないかね?
お兄ちゃん、ちょっと。
それでもとりあえずパスタを口に入れたことに安堵する。
「美味しいですかー?」
陽斗にも聞いたように暁斗にも聞く。
「・・・うまいよ。それなりに。」
相変わらず毒舌だなぁ。
でもまぁ、褒めてくれたしいっか。
ご飯を食べ終わっても、まだ暁斗の一方的な嫌悪の雰囲気は消えない。
でも、久々に一緒にご飯を食べれて良かったのかな。
お昼ご飯の後は何をするのが日課のだろうか。
私は、何か結構馴染んでるけど一応初日だからね。
何も知らないんだからね?
私の行動は君たち次第なのだよ。
「暁斗、」
「・・・何・・・」
ちょっとちょっと、不機嫌になるのはヤメテよ。
「このあとはどうするの?」
「別に・・・・特に何もないけど、そいつは昼寝。」
不機嫌なまま告げられた日課。
・・・・陽斗の日課。
「ひ、昼寝っすか・・・陽斗さん・・・」
「っ、またそうやってガキみたいに言うな!」
いや・・・うん・・・可愛すぎるだろ。
何、何それ・・・お昼寝って・・・。
「じゃ、じゃあ部屋行こっか・・・」
「引いてんじゃねぇよカスっ!」
「お口に気を付けようね~、お坊ちゃま。」
「黙れっ!」
はいはい。興奮したら眠れなくなりますよ。
暁斗はもうさっさと部屋に戻ってしまった。
暁斗のとこには後で行こう。
「はい。じゃあ部屋戻ろ。」
「ふんっ!早く連れてけ!俺は眠たいんだよ!」
「ぶっ・・・あははははっ」
「な、なんだよ!」
いや・・・俺は眠たいんだよって・・・可愛すぎるよ。
キャラ完全崩壊だよ。
幼稚園児でも「俺は眠たいんだよ!」とか言わないよ。
「何でもない・・・行こ。」
「・・・・・・何なんだよ・・・」
ブツブツ文句を言う陽斗を抱えて部屋に戻る。
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ボフッ
陽斗をベッドにおろす。
ちょっと待って・・・・何か忘れてない?
「あ・・・陽斗、薬飲んでないね。大丈夫?」
「・・・あぁ。そうだった。」
陽斗の飲んでる薬は痛み止めで、毎日飲むわけではない。
でも、一応聞いておかないとね。
何か陽斗って、我慢するっぽい人じゃんよ。
「痛い?」
「・・・・いや・・・・大丈夫かな・・」
さっきより威勢が無くなった陽斗。
多分眠たいんだろう。
うとうとしながら、頑張って答えてる。
まぁ、本人が大丈夫って言うならいいか。
「もう寝ていいよ。何時に起こす?」
「ん・・・3時。」
「了解。」
2時間のお昼寝ですか。
まぁ、成長のためにはお昼寝も大事だよ。
寝てしまった陽斗はおっけー。
んで、一つ気になることがある。
さっきリビングから出ていった時の暁斗の顔。
ちょっと悲しそうな顔で、目に焼き付いてる。
嫌な予感。
当たらなきゃいいけど。