昼時の王子2
というわけで、お昼御飯が決まりました。
陽斗→ハンバーグ(笑)
暁斗と私→ミートパスタ
私は面倒だから暁斗と同じで。
因みに私はミートパスタが得意・・・でもない。
簡単そうだったから。
いや・・・別に不得意なわけではないよ?
一番王道的に作れるなぁ、と思って。
んじゃ、買い出し行きますかー。
ここから車で15分の所に大きなスーパーがある。
知ってた?私、運転免許持ってるんだよ。
18歳の誕生日の時に取ったんだー。
それまでめっちゃ練習したんだからね。
余談でした。
スーパーに着いて、材料を籠に入れる。
結構行き慣れてるスーパーだし、何が何処にあるかはわかる。
一通り買い終わったところでふと思った。
・・・・お風呂って、私が一緒に入るの・・・?
いや・・・いやいや・・・いいんだけど!
いいんだけど!
もしそうなら、それが嫌で前の世話係の人たちを拒否ってたってことも大いにあり得るんじゃね?
だってねぇ?常識的に・・・。
いや。常識が無いのか?
・・・・・雄二さんに限ってそれは無い。
でも・・・風呂もトイレも着替えも・・・・・・嫌だろうなぁ。
・・・今考えても仕方ないか。
家に帰ると、ちょうど12時。
12時20分を完成予定としよう。
私は、広いキッチンに立って調理を開始した。
半分くらい進んだところで、ケータイが鳴った。
お・・・今日初じゃん。
私は急いで陽斗のところに向かった。
コンコンッ
『入るよー。』
「・・・・遅い。」
さっきと同じく不機嫌口調な陽斗。
『どうかした?』
「・・・・・・・・・・。」
聞いても何も喋らない。
言いにくいことか・・・おなかが空いて腹立ってるか。
『・・・・・・トイレ?』
とりあえず前者と捉えて聞いてみる。
すると意外に素直に頷いた。
何が恥ずかしいのか知らないけど、顔は真っ赤。
ああ・・・やっぱこれが嫌なのかこの人は。
『自分で行くって言うなら手は出さないけど?』
「・・・・っ・・・・・い・・・」
『い?』
「行けないからっ・・・呼んだんだよっ・・!馬鹿!死ね!」
『・・・だよねー。』
うん。これは私が悪かった。
一人で行けたら苦労しないよね・・・。
『どうすればいいの?運ぶ?』
「・・・・それ以外どうすんだよ。」
『んじゃ、運びまーす。』
陽斗さんの背中と膝裏を支えて横抱きにする。
「・・・落とすなよ。」
流石・・・慣れてるだけあって、あんまり抵抗がない。
ま、暴れないのは楽だな。
『はい。着いたよ。』
「ん。」
私は、トイレの前の手すりのところに陽斗を下した。
「・・・は?」
『え?まだやる?別に良いけど。』
「・・・いや、いい。自分でやる。」
『あそ。じゃ待ってる。』
多分、自分でやったこと殆どないと思うけど、全く歩けないわけじゃないんだし、たぶん大丈夫。
丈夫な手すりに掴まったまま、ゆっくりドアを開ける陽斗さん。
こうやって毎日ちょっとずつ歩いてみればいいのに・・・。
『大丈夫?』
「・・・よゆー・・」
『・・・頑張れ。』
やっとトイレに入って、ズボンとパンツを下した。
あとは蓋を開けて座るだけ。
「・・・・はぁっ・・・は、ぁ・・・」
『疲れちゃった?』
「だい、じょーぶ。」
普段やらないことをするのは思いの外大変だ。
『ハンバーグが待ってるよ!』
「う、うるせぇ!」
蓋を開けて座る。
「・・・見んなよ。」
『はいはい。』
陽斗さんの要望に応えてドアを閉める。
・・・・自分で閉めりゃいいのにね。
まだそこまで気が回らんか。
3分ほど待つとトイレの中から声が掛かった。
「・・・終わった。」
『はーい。』
ドアを開けると、もう既に服を整え終わった陽斗さんがいた。
『・・・・・・・・・・・。』
「なんだよ。」
『いや・・・意外と一人で出来るんだなーと思って。』
「あ、当たり前だ。何歳だと思ってる・・」
私の言葉に気分を良くした陽斗さん。
心なしかニヤケてる。
『それじゃ、もうすぐご飯できるし、リビングにいよっか。』
また、陽斗を抱きかかえて、今度はリビングに向かう。
「・・・・アキは?」
『ん~?部屋にいるんじゃないかな?』
「・・・ふーん。」
ん?陽斗さんは意外と暁斗さんのこと気になるの?
陽斗さんと話しながら昼食の続きを作る。
『・・・陽人さん、暁斗さんのこと嫌い?』
「・・・別に普通。ってか「さん」付けやめろ。俺のこともアキのことも。」
『あー。そう。』
何だ。嫌いじゃないのか。
そして、さん付けも駄目なのか。
「・・・・アキは俺が嫌いだけどな。」
『へー。何で?』
「・・・今まで散々俺の面倒ばっか見てきたからだろ。面倒臭くなったんじゃね?」
『・・・そうなんだ・・・。あ、出来たよ。』
ちょっと・・・兄弟関係のほうが複雑?
「・・・いただきます。」
『どーぞー。』
私は静かに感想を待つ。
じーっと陽斗の顔を見て。
「・・・・何見てんの?」
『え?・・・どうかなーと思って。』
「・・・・・・・・・。」
え?何その無言。
結構上出来じゃね?
「・・・・うまいよ。」
『!ホント!?よかったー!』
「・・・大袈裟。世話係なんだから当たり前。」
『もー。意地悪いなぁ。』
「うるせぇ。」
ま、いいや。
まずくないならヨシ!
『んじゃ、ちょっと暁斗呼んでくるから。』
暁斗のも出来て、暁斗の部屋に行く。
コンコンッ
『入るよー。』
「・・・・・・腹減った。」
『うわっ!!』
・・・・っビビった・・・。
ドアの後ろにいるなよー。
挟まるよ?
「・・・出来た?」
『うん。今陽斗が食べてるよ。』
「あっそ。」
『早くおいで。』
そう言って私は暁斗の手を取った。
「っ・・・・ビックリする・・・イキナリ触んな。」
『あーごめん。』
何・・・敏感なの。
いや・・・ちょっと潔癖入ってるのか?
『早く行こうよ。』
「・・・・・・・あー。あいつと一緒に食べんの?」
『うん。勿論。ご飯はみんなで食べるの。』
そう言って、私は暁斗の手を取ってリビングに行った。