明らかに召使がいる前提の部屋設計やめてよ
「いってらっしゃいナナシ」
「行ってきますママ」
学校長の心遣いで卒業までは学校寮の1人部屋に住める事になったので、家で荷物をまとめて全て収納魔法で異次元ポケットに入れておく。この魔法も随分と改造して冷蔵機能や自動整理機能などなどを追加したおかげで、随分と便利になったものだ。
「休日とか休みの日は戻ってくるからね。なんかあったら直ぐに連絡してねママ」
「はーい」
と言っても家から学校寮まで徒歩20分くらいの距離なので、まあそんな遠い訳でもない。俺も久しぶりに飛行魔法でゆっくり飛んで学校寮に向かう事にした。
「ん!?なんかメイドとかすげぇいる」
確かに奴隷制はまだこのエロゲでもあるし、なんならそう言う奴隷解放ハーレムルートもあるのであまり驚く事でもないけど、問題は奴隷商人は基本的に王都や王都周辺の巨大都市にしかいないはず…こんな辺境の街にいったい…?
「あ」
ひとつ思い出した。そもそも魔法学校に通えるのって、魔法の才能があるか、家が金持ちかのどちらかだ。だからこんな辺境の街とはいえ、家の奴隷を召使いとして連れてくる子供もいるのだろう。
「別にいなくてもいっか」
前世でもずっと独り身だったし?この世界も魔法で全て片付くので問題ないし?別に羨ましくないし…
「ナナシ君、おはようございます」
「おはようございます先生」
クラス分けの試験官先生が入り口に立っていた。ゲームだとエリア移動はワンクリックで済んでいたけど、やっぱり実際にゲームの中でこうして自分の足や魔法で移動するのは楽しい。
「ナナシ君は特待生なので私が学園を案内しますね」
「え、そうなんですか?」
てっきり学費免除なだけかと。設定資料集では特待生はさまざまな種類の特待生、学費免除や授業免除などなど書かれていたが、具体的な待遇についてはふんわりとしか書かれていなかった。
「はい、とりあえずナナシ君の寮にいきましょうか」
先生はそういうと、自分の魔法杖を取り出し、地面にポンと魔法を発動した。すると青い魔法陣が出現し、一瞬視界が揺らいだと思うと、次の瞬間には寮の部屋の前に出現していた。
(転移魔法!)
実際に目で見て、体験した事で転移魔法も習得し、早速演算を開始した。ふむ、数週間で終わるのか、まあそれもそうか。
「それでナナシ君、魔法に関して勉強するこの学校において貴方はもう卒業してもいいレベルなのだけど、何かやりたい事はある?」
「えーと?」
「あ、ごめんなさい、まだ詳細を話していなかったわね。ナナシ君は卒業まで授業総免除、勿論授業に参加しても問題ないわ。その他にも食堂の食事無料などなど、多過ぎて言い切れないからこの書類を読んでおいてね」
「特待生にしては待遇が良過ぎないか?」
「勘がいいわね」
「やっぱりな、何をすれば良い」
「学校長から選択肢が2つ。1つは学校全体の魔力防壁の改造及び強化、もうひとつは学園の旧図書館の整備ね」
「ん、じゃあ旧図書館の整備をしよう」
「ありがとう。学園長に伝えておくわ。それとこれが寮の部屋の鍵と旧図書館への地図と鍵よ。簡単な魔法書は既に今の図書館に移動させたから、残ったのは学校長ですら解読できない魔法書や危険な魔法書のはずよ」
「分かった。この後から早速向かうよ」
「お願いするわ。それから貴方の要求通り、貴方の家には既に中級魔法使い4人が向かっているわ。これから貴方が卒業するまで家と家族の護衛になるわ」
「ありがとうございます」
先生は少し驚いた顔でこちらを見た。
「大切な家族なのね」
「はい」
「それじゃあ、貴方の案内は終わったし、その他の具体的な地図や書類は貴方の部屋の机に置いてあるはずよ。それじゃあまたね」
「はい、ではまた」
先生を見送り早速自室に入る。ん?認証魔法…凄いな、部屋に入った瞬間一瞬全身をスキャンされたようだが、それだけで使用者登録が済んだようだ。面白いな、演算に入れておこう。
「机…ここか」
部屋自体はかなり広く、100平米を超えていると思う。寮の2階にいるようで、壁も分厚く広いベランダも付いている。タンスも大きく広く、大きな50Lの冷蔵庫に4口魔法コンロに強力な換気扇。ベッドもキングサイズで至れり尽くせり、特待生と言う特権をひしひしと感じる。シャワールームも大きな脚を伸ばしても悠々入れる浴槽までついている。
「ん?こっちは…」
部屋のはずれに簡素で小さなベッドルーム、必要最低限の部屋に1人用のシャワールームまでついている。
「これ召使用か」
本格的に欲しくなってきた。正直1人でここに住むのも寂しい。いかん、絶対買わないといけない。よし探そう。
「確か街のはずれ、スラム街の奥に奴隷商人がいたはず…」
飛行魔法でスラム街の中央に降り立つ。制服を着たままできたけど、丁度魔力障壁の信頼性についてもチェックできるし、ままええやろ。
「ひょー?こんな場所にちびっこか〜?しかも魔法学校のか」
汚い街道の隅で座っていたチンピラらしき人物3人がそれぞれナイフを取り出しながらこちらにやってきた。
「発火」
「あじいいいいい!」
容赦なく1番近かったチンピラを燃やして灰にする。すると後ろのチンピラ2名が激昂してナイフで斬りかかってきたが、30cm程離れた位置で見えない壁にぶつかったようにナイフは動かなくなった。それと同時に自分のマナが少しだけ減った気がする。
「マナ効率悪すぎるな」
かれこれ6年近くマナ吸収をし続けているので、自分のマナ上限なんて分からないが、街の森の裏の山を3つ程魔法で消し飛ばしても特に体調に問題は無かった。
「コートも改造か…発火、発火」
強度が知れたので特に問題無く残ったチンピラも灰にする。そんな感じで襲いかかるチンピラと薬物中毒を燃やしつつ、スラム街の最奥の奴隷商人のいる店にやってきた。
「坊主、どうやってここまでやってきたかは知らねぇが、早く帰ったほうがいい」
「グリズマン、入れてやれ」
「分かりましたボス」
厳つい門番に有無を言わせないボスと呼ばれる商人。もしかして想像以上にヤバい場所に来たのかもしれない。なんだかワクワクしてきた。




