そろそろ私も2度目の小学生
いい加減私もこの世界に慣れてきたせいか、今ではすっかり私も読み書きが出来るようになった。それと同時に言語理解の魔法も習得し、現在演算を進めている所でもある。設定資料集では、この世界は基本的に魔法は詠唱して使用する物だと記されており、その為人類が魔族に負けている理由の1つが、魔族が声を出せなくする魔法、サイレントを使用出来るせいで、前線では苦労しているんだとか。これは実際に自分が初見プレイした時も随分と苦労した点で、魔法が最強なこのゲームにおいて初の魔族ボスから容赦なく魔法封じとも言えるサイレントを使用してくる。一応対策として主人公達は学園在籍中に東欧分校のヒロインの祖父の下へ訪れ、そこで長いサイドクエストを全て完了させると無詠唱で魔法が発動出来るようになる。
が、勿論モブキャラである俺にそんな場所へ滅多な事ではいけないので、こればっかりは自分で習得しなければいけない。そう言う事なので、最近は無詠唱の練習をしている。
うん。これも魔法適性Sのお陰です。無詠唱化は魔法系スキルのようで、一度脳内で挑戦したら無事に習得しました。現在は全力で魔法演算を行なっております。えー、推定来月には完了するとか。それに加えて魔法改造と言う魔法系スキルも獲得したので、こちらも来月には演算が完了すると思います。魔法改造は既存魔法を組み合わせて新しく魔法を作り上げたりするスキル。無詠唱化も魔法改造も単体では意味を為さないが、実際に魔法を習得していたら話は別だ。
「飛行」
6歳になった今、そろそろ母親には街の学校に入れと言われている。学校長には入学試験で満点のテストを叩き出し、特例対談も行った結果、とっとと神童として王都に送った方が良いと言われたが、教会での一件もあり、ひとまず大きくなるまではこの街に残る事にした。最初は俺も小学校には興味無かったが、設定資料集ではなく、生身でこの世界について調べられると思い、学費全額免除の特待生として魔法科に入学する事にした。だが実際に入学するまでには時間があるので、こうして魔法で空を飛んで街の外れの鉱山にやってきた。
「おう来たかナナシ!」
「お疲れ様ですおやっさん、全員分のご飯置いときますね」
「おう、ありがとうよ!今日も掘ってくのか?」
「はい、お願いします!」
「お堅いやつだ、いつも敬語なんて使わなくて良いって言ったろ?」
道具入れから自作した子供用の小さなツルハシを魔法で取り出す。それと同時に配膳魔法で休憩用の簡易ハウスに街のレストランから預かった全員分の食事を並べて魔法で温めておく。
「やりますか」
採掘魔法があるが、ここで働く人間は全員魔法が使えない。それに自分も戦闘適性Sがあるが、いつ近接格闘を強いられるか分からないので、自分に魔法で木属性と聖属性の合成魔法である肉体成長魔法と肉体疲労回復魔法をかけつつ、今日も元気にツルハシを振って鉱山を掘る。前世でも元々身体を動かす事は嫌いではなかったし、今世でも身体を育てる事は非常に大切だと思っている。その為、鉱山で鉱夫達の仕事を手伝う事で筋肉を育て、毎晩柔軟と体操を行い身体の柔軟性を高め、更に週末は街の図書館で見つけた体術の書を読み込んで土魔法で作り上げたゴーレムや街の警邏隊、門番を相手に練習をしている。
6歳児にしては少々過酷な日々だと思うが、この世界はそれ以上に過酷だ。ゲーム本編では主人公達は基本的に王都周辺もしくは学園や重要警備施設にしか行けないため、特定のイベント以外特に危険性はないが、今いる街のような辺境の地や魔族との最前線も街では魔獣は周期的に大量発生したり、魔族が気分で襲撃を始めたり、ゴブリン等の魔物が街を襲ったり、常に危険と隣り合わせでもある。旅商人曰く、先月訪れた街に荷物を卸しに行ったら街ごと魔族に消し飛ばされたり、魔物に人間全員殺されて廃墟になったり、そう言った状況は普通である。
設定資料集には軽く辺境の街の現状について軽くしか触れられていなかったので、こうして実際に住んでみると、その恐ろしさを身に沁みて実感する。
「ナナシ、お前、街の学校にはいつから行くんだ?」
「4月の11日だったと思います」
「じゃあ1ヶ月後か」
「はい」
「寂しくなるなぁ、なんかあったらいつでも俺らの事頼ってくれよ」
「ありがとうございます親っさん」
休憩時間になり、鉱夫達全員と食事を一緒に食べながらそんな話をする。そうか入学式は来月か、ここの所バタバタしてて完全に忘れてた。早く装備を作り上げないとな。




