中間考査結果発表、それと2冊目の禁書
「古代龍言語か…」
マリアと一緒に昼ごはんを食べた後、少し昼寝をして頭をリセットし、その後すぐに旧図書館にやってきた。そして2冊目の禁書を取り出して解読魔法を早速使用すると、古代龍言語と表示された。あいも変わらず0.01%から。魔族言語は取得したが、龍言語は流石に教えてくれる人がいなかったのでこればかりはどうやって習得するべきか迷っていた。
「設定資料集の内容を書き出してみるか」
スキルや言語として今世では習得していないけど、前世で読み込んだ設定資料集には詳細に記載されていた。もし前世の記憶を頼りに全てこの体に刻むことができれば、それはそれで習得した事になるかもしれない。古代ダンジョンの入り口が特定の種族達の古代言語でできた暗号扉や謎解き扉で、資料集を参考にうんうんと頭を捻っていた経験が生かせるかもしれない。
「えーと、まずは古代龍言語を…」
今世のこの身体はまだ習得していないので、記憶の中の一覧表に描かれた古代龍言語を絵を描くように描き出す。歪で汚い字だが、声に出して発声も確認する。喉奥を絞めるような明らかに人間に適していない発音が多々あり、ごほごほと何度か咳き込んでしまったが、一応全て書き出す事が出来た。発音も水を飲んで休憩しながら何度も繰り返すと、日が暮れるころには問題なく発音する事が出来た。
「お!いけた!」
自分の書き出した古代龍言語を全て認識し、読み上げる事ができ、発音も出来るようになり、自分の言った古代龍言語も理解できるようになったので、古代龍言語を習得した事を本能的に認識できた。
「俺も早くステータス画面開けるようになりたいなぁ」
いわゆるゲーム画面は主人公、つまり神の加護を受けた者にしか使えない特権なので、俺のようなNPCは自分の天職も強さもさっぱり分からない。
「まあいいか、さてさて、この本は…アジ・ダハー…」
名前を認識した瞬間、猛烈な吐き気と寒気が全身を襲う。あまりの不愉快さに椅子から転がり落ちて地面に全身を強打する。
まるで数万のヒルとアリに全身を噛まれているような感覚が皮膚を包み、肺の中に風船を詰められた息苦しさも同時に襲いかかって来る。
「キュ…キュア、クールダウン…」
呼吸できなくなる前に、自身に状態異常解除の魔法と、沈静化の魔法を使用する。
「禁書の自己防衛措置なのか?ヤバすぎるなこれ…」
これよりも大量に危険な書物がある事に少々たじろぎながらも、再び起き上がって改めて禁書に向き直る。
〈アジ・ダハーカの魔典〉
古代龍言語で書かれた禁書の表紙にはそう書いてあった。古代ボス最強格の1体、悪の魔神に生み出された三つ首の魔龍。千を超える魔法の使い手でもある。おそらくはそんな魔龍について記載された書物かも知れない。早速1ページ目を開いて読む事にした。
「おうえぇ…!」
ページを捲っただけで気がついたが、この禁書自体が人皮と人血で書かれている。それに気がついた瞬間再び自分にキュアとクールダウンをかけ直す。少し昼ごはんを戻しそうになった。これ以上にやばい本が並んでるとか…ヤバすぎるだろ本当に…
「えーと…人体膨張…いや1ページにどんだけ凶悪な魔法が書いてあるんだよ!」
吐き気と嫌悪感を我慢しながらページを読み進めていくが、どの魔法も凶悪過ぎる魔法だ。何が嫌かって1ページ解読する度にそんな魔法を覚えていってる自分だよなぁ…人体圧縮と人体膨張の魔法から始まり、堕胎の魔法に異種族同士を交わらせる魔法…本当にクソみたいに凶悪な魔法しかない。
「正気度が減ってきた気がする」
結構分厚い本だが、慣れてきたらいやいやながらもそれなりにスラスラと読めるようになってきたので、自身にキュアとクールダウン、所々休憩を挟みながらも、日が暮れるまでには1/3を読み終えることができた。
「すいません?ナナシ君?いますか?」
少し休憩していたところ、外から自分を呼ぶ声がした。
「あー先生!すいません!今ちょっと手が離せないので、そのままで!」
拡声魔法で大きな声を出す。それもそのはず、現在絶賛禁書の残滓と戦闘中である。
「きしゃぁあああああ!」
アジダハーカの魔典から飛び出してきたのは三つ首の蛇人。それぞれの頭部が炎、雷、闇の魔法を使うようで、魔法使いかと思いきやどこからか取り出したトライデントもぶんぶんと振り回してきた。
「くっそ!このっ!」
室内で暴れられて本が燃えたらたまったものじゃないので、風魔法で室外へと吹き飛ばす。
「ナナシ君!?」
「すいません先生!こいつ多分禁書の守り手です!手を貸して…」
言葉を言い終える前に、魔典の守り手は先生の方を見て、ニヤリと笑い、闇魔法を唱える首が何かを高速詠唱する。
「先生よけ…」
言葉を言い終える前に先生の足元に紫色の魔法陣が出現する。何かと攻撃魔法かと思って障壁を貼ろうとしたが、その前に魔法陣から思いもよらない物が出現した。
「いやぁああ!そこはっ!だ、だめ」
紫色の、ぬめぬめとした触手が無数に出現し、一瞬で先生をいやらしく拘束し始めたのだ。
「またぁ?」




