人生初ダンジョン、なんかアニメやラノベと違う…
「はー、ここがダンジョンの入り口か〜」
「初めてきたよご主人!思ったより臭いねここ」
「多分魔物かモンスターの臭いだと思うよ」
ちなみにこのエロゲでは魔物は自然発生した敵対生物で、モンスターはダンジョンで産まれた敵対生物という風に定義されていた。
「行くぞー!」
誰1人知らない同級生達は元気にダンジョンの入り口へ進んで行ったようだ。あまり目立ちたくは無いのでマリアと隅っこで存在を消しておく。みんな居なくなってから進もう。
「おい!お前はあっち行ってろ、足手纏いだよ」
「えっ…でも…」
「良いから、チームにお前は要らねえんだよ」
何やら言い争いをしている。確か4人パーティ推奨だから生徒同士でバランスよくチームを組むはずだが…少し離れた場所で、赤髪の少年が取り巻きと共にメガネをかけたおさげの少女をはぶいているようだ。
「じゃあな!ついてくるんじゃねぇぞ!」
「そんなぁ…どうしよう…私1人じゃ無理だよぉ…」
少し乱暴に突き飛ばされた少女は、その場にぺたんと座り込んでしまった。
「ご主人どうする?」
「拾って行くか」
そろそろ出発しようと思っていた時だし、正直1人増えた所で特に問題はない。
「良かったら一緒に行く?」
「え?誰ぇ…?」
よく見ると凄い美人だ。まだ幼いが艶やかな黒髪に少し特徴的なそばかす、くりっとした大きな瞳は黒縁メガネで隠されているが、彼女はアイドルの原石のような見た目をしていた。エロゲあるあるじゃん。NPCもやたらと可愛いエロゲは売れる。
「ナナシだ。こっちはマリア」
「マリアだよ!よろしくね」
「君の名前は?」
「アヤカです」
「アヤカね。よろしく」
「えと、ナナシさん?」
「ナナシでいいよ」
「私も、マリアで良いよ」
「2人でダンジョンを攻略するんですか?」
「そうだね、そのつもり」
「わ、私元素魔法はダメダメですけど、回復魔法が得意なんです。なので、私も連れて行ってくださしゃい!あっ…」
噛んだ。可愛いね。
「良いよ、じゃあ早速行こうか」
「はい!」
ダンジョン入り口の空間のねじれに触れる。するっと腕が入っていき、そのまま3人はナナシを筆頭にダンジョンへ侵入した。
中に入ってみると、まるでピラミッドの中のような、砂色のレンガと蔦で覆われている通路に出た。マリアが早速ダンジョン内部をスキャンする。内部はかなり大きくなっており、比較的道は少ないものの、曲がり角や行き止まり、さらには致死性の低いトラップまで用意されているようだ。
「あんまり大した事ないかも」
「まあ学生向けだしな、パパっと行くか」
「はーい」
そう言ってマリアはナナシに教えてもらった収納魔法で中くらいのカイトシールドと散弾銃の見た目をした魔法杖を取り出した。
「えっ!?マリアさんなんですかそれ!?と言うかどこから?」
「これ?ご主人が作ってくれた特製の魔法杖だよ?一応木と鉄で出来てて、記録用魔石に少しマナを流すだけで直ぐに魔法が発動できるんだ!使い捨てだけどすっごく安いし、これは一気に広がるからすごく便利」
「マリア、行くぞー」
「はーい!」
まあね。元々魔銃士とか魔銃使いはこのゲームでも存在するので、当然銃火器は存在するんですよ。質の悪い、安い魔石は使い捨て用の魔法記録媒体になるので、中級魔法のなんとかニードルとか覚えさせておけば、初級魔法くらいのマナで中級魔法がバンバン発動できる。ゲームだと魔銃士は1ターン弾込めて次にターンに魔法を発動させるっていうめんどくさい事してるけど、ナナシが自分で工房借りて作ったタイプは所謂オートマチックライフル式。マガジンに使用したい魔法を記録させた魔石を大量に入れておけば、あとは銃身に取り付けられたトリガーを引くだけで魔石が銃身の排出口から排出され、それと同時に魔石に刻まれた魔法が勝手に発動し、銃口を中心に敵へ飛んでいく。
まあ細かい話はこれくらいにして、俺も自分の装備を取り出す。俺のは魔法威力が強過ぎるので、魔法が刻まれた短槍とコンバットナイフだ。
「あれ、ナナシ君のは普通だね」
「まあね。昔から森で狩してたから、こっちの方が慣れてるんだ」
「えっ…ナナシ君何歳?」
「6歳」
「嘘でしょ…」
「まあ家が貧乏だったからね」
昔はね。
「ご主人、来たよ」
雑談しながら進んでいると、突如として響く警戒したマリアの声、どうやらモンスターがやってきたようだ。設定資料集にはここのダンジョンにはゴブリン、コボルトなど低級モンスターしか出現しないはずだが…
「いた、ゴブリン2体」
向こうもこちらに気が付いたようで、手にした粗雑な棍棒を持ってこちらに規律なく走ってくる。典型的な魔法杖を持ったアヤカも恐怖で体が震えているが、当のゴブリンはそんなアヤカの姿を見てげらげらと笑っている。そしてマリアの後ろに隠れた俺はゴブリンの姿を一目見ようと顔を出すと…
「ひっ!ば…化け物ぉおお!」
なぜか魔族言語を話しながらゴブリン達は俺の姿を見た瞬間一目散に逃げ出した。
「えっ…?」
ワクワク波乱の一悶着があるかと思ったら、敵前逃亡しやがったぞあのゴブリン共…




