中間試験日、俺だけは免除でもいいと思うんだけど…
「ナナシ君?いますか?」
2冊目の禁書は何にしようか考えていた所、旧図書館の外から自分を呼ぶ声がした。
「はいなんでしょう」
「きゃっ!?ナナシ君!?」
「はい、ナナシです」
目の前にはいつぞやの入学試験官先生が立っていた。そういえば名前聞いてなかったな…後で聞こ
「貴方それ…転移魔法?」
「そうですね、覚えました」
「え!?いつ?」
「数ヶ月前に」
「ど、どうやって…?」
「…内緒です。それで先生どうしたんですか?」
「えと、来週から中間試験の期間だから、内容を伝えにきたの」
「ああ、ありがとうございます」
「中入っても良い?」
「…まだ散らかっているので、良ければ新しく街に出来たカフェに行きませんか?」
「え、カフェってあの、スイーツの?」
「はい、カフェ〈スウィートログ〉です」
「でもあそこって予約しなきゃ…」
「まま、行きましょう」
先生の手を取り、有無を言わさず指を鳴らす。一瞬にして2人はカフェウィートログの目の前に辿り着いた。
「あ!ナナシさん!いらっしゃいませ!」
「2人なんだけど、入れる?」
「はい、いつもの防音席で大丈夫ですか?」
「うん、よろしく」
「はい、ナナシ様ご来店です」
「「「お帰りなさいませご主人様」」」
「いやこれやめようよ、恥ずかしいよ」
「ご遠慮なさらないでください、ナナシ様あってのこの店なのですから」
「そんな事ないよ?ただコーヒーが飲みたくて、後甘い物が食べたくて勝手にアイデア出しただけだよ?」
「ナナシ様!いらっしゃいませ!後まかせて」
「分かりましたオーナー」
明るく活発的な一般店員とは違い、茶色と緑を基調としたシックで落ち着いた服装を着た店長が2人を奥の席へと連れて行く。この店も元はしがない喫茶店だったが、ナナシのアイデアにより今では王都にまで店を構えるほどの規模のチェーン店に進化した。なぜ「新しく出来た」と言うと、元々の創設者がナナシの提案でこの街では既存の喫茶店を売却し、その金で世界各国を渡り歩いた後、南方のコーヒー豆が取れる地域で〈スウィートログ〉を初めて開いたからだ。そうして全国へ店舗を広げた後、創設者兼オーナーである彼女は再びこの街へ戻ってきて、ようやっと100店舗目を開いたのである。
「それじゃあ、ご注文は?」
「店長直々のブレンドで」
「言ってくれるわね、修行の結果見てなさいよ」
「おうとも」
「えと、わ、私はアイスラテを」
「承りました」
数分後、注文のコーヒーとアイスラテが届いたので、早速防音機能を起動して、2人は話を始めた。
「ナナシ君、中間試験についですが、試験内容は簡単です。学校内に小さなダンジョンがあるので、そこを踏破してきてください」
「それで上級クラスを維持できるのか?」
「はい、上級クラス生徒なら踏破できる前提の難易度です」
「パーティで?」
「パーティで」
「1人は?」
「かなり危ないです」
「分かった。いつ行けば良いんだ?」
「来週の金曜日に部屋まで迎えにきます。その日までに数日分の食料やダンジョウ踏破に必要な装備等を用意してください」
「分かった」
「それと…」
「ん?まだ何か用意が?」
「ケーキをいただいても?」
「…店長を呼んできます」
お手洗いに行くフリをして店長を呼び、あらかじめ多めに支払いを済ませてからひと足先に部屋に戻るナナシ。マリアの姿が見えないので、部屋を少し探してみると、どうやら自室で教本を読み進めていたようだ。
「ただいまマリア」
「あっ!ナナシ!おかえり!」
「それは?」
「6年生の教科書だよ。もう読み終えたから、今は模擬魔法試験の内容を確認してる」
「へー、6年生はそんなのあるんだ」
「そうみたい、でも全種類の中級魔法と何かの上級魔法1つだけで良いから私は既に卒業してるみたい」
「ふーん、ならマリア、俺の仕事に手伝いするか?」
「え!?いいの!する!」
「それと来週は学校のダンジョン行くから、3日間外で寝泊まりする準備を金曜日までにしておいてな」
「はーい!」
そう言うとマリアはすぐにドタドタと支度の準備を始めた。
「ご主人は?」
「俺はもう少し仕事してくる。後少しで解読が終わりそうなんだ」
「分かりました、夕飯作っちゃいますね」
「うん、ありがとう」
「はーい」
再び旧図書館に戻るナナシ。結局その日は2冊目の禁書を選び終えたところで、夜になったので寮に戻る事にした。




