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レイセという町

 ケイとシェルは、緑色の光を放つ魔法でワープする。


「うわあ……」


 その先で見た光景に、ケイは感嘆の声をあげた。レンガ造りの建物、多くの露店、魔法使いや剣士を思わせる格好の人々、甲冑を全身にまとった兵士もちらほら見られる。また中には犬のような耳としっぽを付けた者までいる。まさに、ファンタジー世界に出てくる町そのものだった。


「果物を売ってる露店、めっちゃ見たことあるー!」


 ケイはとある露店の前まで走り、商品をマジマジと見る。


「勝手に取るなよ。これは……」


「分かってるって。売り物だから、お金が必要なんでしょ。オレの世界にもそういうのあるから」


 ケイは少し得意げに話した。実際、商品の前には、その商品の名前と値段と思われる数字、


「このリンゴは……150『ペン』?」


通貨の単位らしき文字も見られた。


「ペンって、お金の単位?」


「ああ」


 そしてシェルは、この世界の通貨こと「ペン」を見せる。


(ペンて言うより、ただの棒だな)


 形状は細長い棒で、大きさによって価値が異なるようだった。1ペンが一番小さく、1センチくらいしかない。100ペンで3センチくらいだった。


 ケイがジロジロ見ていたのもあり、シェルはその店のリンゴを1つ買い、ケイに渡す。


「リンゴをかじりながら町を探索する、ロマンだねえ……」


 ケイはリンゴを丸かじりしながら辺りを見渡す。そしてふと、気になる店を見つけた。


「魔法屋?」


 店の看板には確かにそう書かれていた。


「入ってみるか?」


「うん!」


 シェルにも言われ、2人は中へ。魔法屋と言うだけあって、怪しげな雰囲気が漂っていた。店内には大きめの棚があり、そこには大小様々なサイズの瓶がある。瓶の中に入っている光の色も多種多様であった。例えば赤い光が入った小瓶には「火の魔法。500ペン」。大きい瓶には「1000ペン」と。また水魔法や風魔法といった属性魔法の他、速く走れる魔法や回復魔法等、補助に使えそうなものもたくさんあった。


「あ、さっきのワープ魔法って、これ?」


 ケイが指さしたのは、緑色の光が入った小瓶。「移動魔法(中)。5000ペン」と商品説明に書かれていた。シェルもうなずく。


(ペンと円て大体同じくらいの価値だろうから、5000円で瞬間移動できるのか。でも5000円かー)


 お金は持っていないケイだが、実際自分なら買うかどうか、悩んでいた。そしてそれ以外の瓶もジロジロとなめまわすように見る。


「おいおい、買うのかね、買わんのかね」


 するとこの店の店主らしき老人が、声をかけてきた。黒いローブを被っており、まさに魔法使いという雰囲気を醸し出していた。


「すまないな。また後で来ることになると思うから、今はこれで」


 シェルはそう言って、ケイを連れて店を出る。


「まったく……」


 店主はやれやれといった表情を見せたが、そこまで怒っているようにも見えなかった。




 ――魔法屋を後にしたケイとシェルは、再び町を巡る。その中でシェルはこの町のことについて話した。元々この地はモンスターが多く、人が住むには不便だったこと。そこにとある神が現れて結界を張り、モンスターから身を守れる土地を作ったこと。そこから発展していったのが、この町とのこと。


「あの巨大なワシもそうだったけど、そういう守り神が基本的にいる感じなの?」


「そうだな……、必ずというわけではないが、いることが多い。それこそ獣の姿をしていたり、姿は見えず加護だけがその地に残っていたりと様々だが」


「へえー。てか今さらだけど、神様ってこの世界なら実在するものなんだよな」


 最初からファンタジーな世界だと思って過ごしていたためあまり深く考えていなかったケイだが、改めてそのような話を聞くと、本当に神様という存在がこの世界にはいるのだと思った。




――町巡りをし、その中で色々な人を見かける中、ふとケイは思った。


「オレの服、ただの村人みたいじゃん! 全然魔法使いっぽくない!」


 せっかくファンタジーな世界に来ているのに、自分の着ているものが簡素なものだと。魔法使いらしき人はローブを被っているし、剣を持っている人はアーマーやマントを身に着けている。獣人は存在自体がファンタジーだが、それだけでなく胸当てや弓などそれっぽいものを付けているのだ。


「それじゃあ……」


 シェルが何か言いかけた時、何かがすごい勢いでこちらに飛んできた。手のひらサイズで、羽の生えた人型の生き物、妖精だ。


「シェル見つけたー! グレンが呼んでるからさっさと来て!」


 その妖精は赤いロングヘア―にかわいらしい女の子の外見をしており、声も甲高い。


「ん、その子誰?」


 そしてケイの存在にも気づいたようだった。


「前に話した、ガイコツの魔物を倒した張本に」

「へーこの子がねー。丁度いいからアンタも来てよ。人手不足で仕方がないんだから。もうさー、人は減るばっかりなのにモンスターは増えるし、よく分からない魔物は増えるしさー。最悪ったら最悪!」


 その妖精はシェルが話し終わる前に話し出す。


「すっごいおしゃべりな妖精……」


 ケイはボソッとそうこぼす。


「……」


 シェルはケイの方を見て、何も言わなかった。


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