来訪者
ある日の朝、ケイはまた森の中を散策していた。
「んー」
モンスターの姿も見えず、ケイは伸びをする。空気がとてもすんでいて、特に朝日のこもれびはとてもきれいだった。
(空気はうまいし、食べ物も全部おいしく感じる。苦しさもない。いくらでも動ける。何より魔法が使える! モンスターと戦える! 現実にはない変な植物もいっぱいある! すっごく楽しい!)
まだこの森の端までは行けておらず、森の外には出られていないケイだが、超が付くほど健康で元気な体、そして何よりファンタジーな世界に喜びを抑えきれないでいた。
「あ」
散策の途中、ケイはひょうたんによく似た植物を見つける。手にとってみると軽く、中はすでに空洞だった。
(水汲みに使えるかな)
ケイは一旦泉に戻り、水を汲んでみた。木の枝を折って蓋代わりにすれば水もこぼれない。蓋を開けて水を飲んでも、特に味の変化もない。
(これは便利だ)
せっかくだからと、ケイはひょうたんを持って、また泉が見えなくなるまで歩く。
なんてことない、いつもの森の中。今日もモンスターと戦って、木の実や豆を食べて……そのはずだった。しかし突然、ケイの目の前に黒い大きな光が現れたのだ。
「うわ!」
ケイはそれに驚き、ひょうたんを落としてしまう。蓋も空いてしまい、中から水がもれてしまった。しかし、それ以上に衝撃的なことが、ケイの目の前に広がる。
(だ、誰⁉)
突然、剣士と、死神のような存在――ガイコツのような見た目で、黒いローブを被り、手には大きな鎌――が、姿を現したのだ。剣士はケイに対して背を向けているが、それでもボロボロの状態なのが分かる。
「え……」
ケイが言葉を発した瞬間、その剣士はすぐさまケイの方を見る、その表情は驚いているようだった。そしてその隙に、ガイコツは剣士に鎌を振りかざす。しかしその鎌は剣士に当たる前に、何かに阻まれた。
「ま、間に合った……」
ケイが、剣士とガイコツの間にバリアを張ったのだ。ガイコツは鎌をはじかれ、後方に引く。その瞬間にケイはバリアを解除し、ビームを放った。ビームはガイコツの右腕を打ち抜く。ガイコツがひるんでいる隙に、ケイはビームを連発する。反撃させる間もなく、ただひたすら連射していった。
(何かよく分からないけど、倒さなきゃいけないんだよな……)
そして何十発も打ち、ガイコツをハチの巣状にすると、ガイコツはローブと鎌もろとも、砂になって消えてしまった。
(何だったんだ、今の……)
目の前の脅威が消えて、ケイは少し冷静になる。
――「うっ……」
しかし、同じく突然現れた剣士が倒れこんでしまい、ケイはまたパニックになる。
「え、ええっと手当て手当て! でもどーすれば……あ、泉の水! ナイス異世界!」
混乱する頭の中、とりあえず剣士を背負って運ぼうとする。不幸中の幸いか、その剣士はアーマーのような重い装備はしておらず、ギリギリ動かせる重さだった。ただそれでも自分よりずっと背の高い戦士を運ぶのは簡単なことではなく、足は少しひきづっていた。




