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筋肉理論ガチ勢ボディビルダー、異世界で無自覚チート化 〜魔力を“超回復”と誤解した結果、とんでもない事になっていた〜  作者: 出雲ゆずる


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第4章「理と肉体 ― アナボリカの胎動」

王都での解析により、剛の肉体の異質さが明らかになります。

魔力を“回復の燃料”として扱い、超回復を自動化しているという異常。


科学と魔力、そして筋肉が交わる落差を楽しむ章です。

― 王都研究棟にて ―


王都の中心、白銀の塔が天を突いていた。

王立魔導研究院――理の殿堂。

その一角に、リオナの研究室がある。


広い部屋の中央には、魔導陣が刻まれた床。

壁際には魔力測定器や結晶分析機がずらりと並ぶ。

だが今、その中に――明らかに異質なものがあった。


鉄のバー。

重りのついたシャフト。

そしてその傍らで、汗を滲ませながら深呼吸をする男がひとり。


「……信じられない。

 ここは魔導院よ? どうして“それ”を持ち込むの。」


リオナが呆れたように言った。

剛は淡々と、バーを見つめながら答える。


「データを取るんだろ? なら、動かさないと意味がない。」


「理論を先に立てるのが研究というものよ!」


「理論より先に、筋肉が反応するんだ。」

剛は短く言って、バーを握った。

手のひらに金属の冷たさが染みる。


リオナはため息をつき、魔導板を起動する。

「……じゃあ好きにして。計測は私が行う。」


剛はうなずき、静かに腰を落とした。

呼吸――深く、一定に。

魔力を持たないこの男の体が、魔導陣の上で音もなく動く。


「……3、2、1――」


デッドリフト。

鉄がうなり、床の魔導線が淡く光った。

リオナが思わず目を見張る。


「反応した……? 魔導陣が、共鳴してる……?」


剛は息を吐き、静かにバーを下ろす。

「ふぅ……いい負荷だな。」


「今の……魔力感知値が跳ね上がった。

 どうやって? あなた、マナを持たないのに!」


「さあな。」剛は軽く肩を回しながら答える。

「でも、力を出すときの感覚は変わらない。

 筋肉が力を発揮するとき、ほんの一瞬だけ――“世界が反応する”感じがするんだ。」


リオナの目が細くなる。

「世界が反応する?」


「うん。負荷をかけた瞬間、周囲の空気が軽くなる。

 あれ、多分……体の中で何かが“世界のリズム”と合ってるんだ。」


沈黙。

リオナは魔導板を見つめ、何かを計算しながら呟いた。

「……理論的にはありえない。でも……測定値は嘘をつかない。」


剛はタオルで首筋を拭いながら、穏やかに笑った。

「理屈より実感のほうが早い。

 鍛えるってのは、理を追い越すことだからな。」


リオナの胸に、小さなざらつきが走る。

理の中で生きてきた彼女には、それが理解できないはずだった。

だが、心のどこかで“羨ましい”と感じている自分がいた。


(この人は、考える前に“届いている”……)


リオナは無意識に呟く。

「……ねえ、剛。

 あなたの筋肉、私たちの理よりも“自由”なのかもしれない。」


剛は小さく笑った。

「自由かどうかは分からん。

 でも、鍛えた分だけ、嘘はつかない。

 ――筋肉は、努力の証だから。」


その言葉に、リオナの手が止まった。

測定器の光が、静かに脈動を刻んでいる。

それは、彼女自身の鼓動と同じリズムを刻んでいた。


(……この世界の理が、もし筋肉と共鳴するなら――)


彼女の中で、何かが確かに芽生え始めていた。


― 栄養補給 ―


「これは“スカイラン”という魔鳥の胸肉。

 脂肪が極端に少ないの。ぱさぱさで、

 魔導士には不人気だけど……。」


剛は肉を一口噛んだ。

淡白でクセがなく、繊維がきれいにほぐれる。


「……うん、良質だ。

 無駄な脂がほとんどない。

 これは鍛えるやつが食う肉だ。」


リオナは小さく頷きつつ、別皿を示した。


「それは“ナウル獣”の赤身肉。固すぎて、普通はだれも食べないけど……。」


剛は噛みしめ、すぐに感触を分析する。


「繊維が詰まってる。

 脂肪が削げ落ちてるタイプの野生肉だな。

 動きが激しい生物の肉はたいていこうなる。

 ……タンパク質の密度は高い。」


リオナは目を丸くした。

「ただ固いだけと思ってたけど……そんな見方があるのね。」


剛は穏やかに笑った。


「肉は“その生き物の生き方”を食うんだよ。

 固いのは、それだけよく動いてる証拠だ。」


次に穀物の皿を手にした。

見たことのない穀粒が、香ばしい匂いを放っている。


「“リント穀”。

 魔導士は試験前に食べるわ。

 理由は……何か、とにかく元気になるって。」


剛はひと口。

噛むほどに甘みが広がる。


(これは……糖質の入り方がスムーズだ。

 血糖が急上昇しないタイプの炭水化物かもな。)


「いい主食だ。

 エネルギーがしっかり出る。

 明日のパフォーマンスも安定するはずだ。」


リオナはまたひとつメモを取る。


最後に草のサラダ。

緑や紫の葉が盛られている。


剛は口に運んで、眉をひそめる。


「苦いな。でも……“効きそうな苦さ”だ。」


「“活力草”って呼ばれてるわ。」

リオナは続ける。

「魔力の流れを整えるって言われてるけど……無マナのあなたにはどうなのかしら。」


剛は何度か咀嚼して確かめる。


「……ビタミンやミネラルが豊富に入ってそうだな。

 味に密度がある。

 ただ、魔力どうこうってより……

 栄養バランスが全体的に良いように感じる。」


「バランス……?」

「体が“欲しがる味”ってのがあるんだよ。

 疲れてるときは特に分かりやすい。」


リオナはその言葉を聞き、思わず剛を見つめた。


(この人……ただ食べているんじゃない。

 身体の声を聞きながら評価している……)


食べ終えた剛は、軽く息を整えながら結論をまとめた。


「この世界の食材は……意外と筋肉向きだな。

 タンパクも炭水化物も、自然のバランスが悪くない。

 悪くないどころか――“効率的”かもしれない。」


リオナは驚きと興味が入り混じった目で剛を見た。


「あなた……食事の分析まで理論を伴ってるのね。」


剛は照れもせずに答えた。


「体を作るってのは、“研究”だからな。

 トレーニングも、栄養も、全部セットだ。」


リオナの胸に、またひとつ新しい火が灯った。


(……筋肉は、理を持っている。

 それを証明できるのがこの男なのかもしれない。)

 

― 実験中の異常反応 ―


「では、次は魔力結晶との反応を見ましょう。」

食堂から戻ると、リオナは興奮を抑えきれない様子で言った。


研究室の中央には、淡く光る青い結晶――

魔力結晶マナ・コア」が台座に固定されている。


リオナは説明しながら準備を進めた。


「魔導士は魔力を“外部から取り込む”ことで術を発動するわ。

 この結晶はその純粋な魔力の塊。

 無マナのあなたが触れてどんな反応が出るか――理論的には“何も起きない”はず。」


剛は深い呼吸で身体を整える。


(魔力ってのはよく分からんが……

 外からのエネルギーをどう扱うかは、体が教えてくれる。)


リオナは慎重に告げた。


「剛、結晶に手を近づけて。

 絶対に触れないで、1センチ手前で止めて。」


剛は黙ってうなずき、手を伸ばした。


研究室の空気が、一瞬で変わった。


リオナ:「――え?」


結晶に触れる前。

ただそれだけで、光が大きく脈動した。


「なっ……ありえない……!」

リオナが魔導板を凝視する。


剛は一拍遅れて、眉をしかめた。


(空気が……ぬるい?

 いや、違う。

 俺の体温に“同調してる”みたいな……。)


淡い青光が、剛の指先を照らす。

本来なら魔力を持たない剛には反応しないはずの結晶が、

彼の手に吸い寄せられるように震えていた。


リオナは声を失っていた。

だが、次の瞬間――


「だめ! それ以上近づけないで!」


叫んだ時には遅かった。

結晶の光が、剛の指先に触れたのだ。


バチッ


空気が弾けた。

床の魔導陣が一斉に光り、研究室全体が揺れる。


剛の身体を中心に、波紋のような光の円が広がった。


「剛! 手を離して! 魔力に焼かれるわ!」


けれど剛は、焼けつく痛みを感じていなかった。


むしろ――


(……体の内側が“走る”ような感じだ。)


剛は結晶に触れた瞬間、体の内側に走る熱に目を細めた。


……これは、


あの、オールアウト直後の感覚。

筋繊維が限界まで動ききって、

筋肉が、自分のものじゃないみたいに重い。命令しても、もう動かない。筋繊維が歓喜して弾ける。あの一瞬の静寂。


しかし、何故か結果として体が軽く感じる。

微細な熱が筋膜の下で脈打つあの感覚――

それが今、全身で起きている。


リオナが震える声で叫ぶ。


「剛! 痛みは? 焼かれているはずなのに!」


「……いや、違う。」


剛は深い呼吸とともに、ゆっくり言葉を紡いだ。


「これは“危険な熱”じゃない。

 修復が一気に始まった時の熱だ。」


「修復……?」


剛は自分の腕を見つめ、分析するように続けた。


剛は息を吸い、ゆっくり吐き出した。

体内を走る熱は、痛みとはまったく違う。

まるで筋繊維一本一本が“歓喜している”ような感覚。


「……リオナ。この感覚、分かるか?」


「分からないわよ! どうなって――」


剛は笑った。

本当に嬉しそうに。


「これ、最高だ。」


リオナは言葉を失った。


剛は拳を握りしめ、その震えを確かめるように語る。


「魔力を“超回復の燃料”として認識してる。

 だから痛みも損傷も感じねぇ。

 全部、“成長”に変換されてる。」


そこまで言った後で、剛の目は子どものように輝いた。


「リオナ……分かるか?

 こんな状態、トレーニーなら喉から手が出るほど欲しいんだよ。

 疲労ゼロで、正確に負荷だけが乗る。

 回復が追いつくどころか、追い越してる。

 破壊すら“成長の材料”に化けてるんだ。」


胸に手を当てる。

鼓動は落ち着いているのに、身体の奥だけが熱い。


「これ……本当に最高だ。

 俺がずっと求めてた“完璧な状態”。

 “筋肉が、俺の意思より前に成長してる”感覚だ。」


リオナが震える声で呟く。


「……嬉しいの? この現象が?」


剛は迷いなく答えた。


「嬉しいに決まってるだろ。

筋トレの常識は痛みなくして成長なしだ。 

それが、痛みなし。疲労なし。

 負荷に正直に反応する筋肉。

 これ以上の幸福があるか?」


リオナは息を呑んだ。

この男にとって、肉体はただの身体ではない。

“魂そのもの”なのだと理解する。


剛は続ける。


「俺はな、リオナ。

 鍛えるたびに思ってたんだ。

 『もっと成長したい』って。

 でも体には限界がある。

 回復にも時間がいる。」


指先に宿る青い光を見つめる。


「その限界を……今、超えたんだよ。

 こんなの、夢みたいだ。

 夢でしか見たことがねぇ領域に、今、俺は立ってる。」


リオナは言葉を返せなかった。

目の前の男が、人間なのかどうか。

それすら揺らぐほどの“輝き”があった。


剛は笑った。

まるで初めて大会で優勝した少年のような、

純粋な、真っ直ぐな笑みだった。


― 封印派の乱入 ―


研究室の空気がまだ震えていた。

魔力結晶の光は完全に消え、

剛の体だけが淡く、内部から発光しているように見える。


リオナは呆然と呟いた。


「……剛。

 あなたの身体は、もはや魔力の“外側”じゃない。

 理の階層そのものに触れている……!」


剛はただ、興奮したまま息を整えていた。


「こんなことが起きるなんて……!」

リオナの声が震える。


その瞬間――


カンッッッ!!


鋭い金属音が研究室に響いた。


床の魔導陣が赤く染まり、

壁面の魔導紋が一斉に起動する。


リオナの顔色が真っ青になる。


「……やばい。

 研究棟全域の“結界警戒層”が起動した。」


剛:「つまり?」


リオナは血の気が引いた声で答えた。


「封印派が来る。

 あなたの存在が“危険因子”として記録された。

 このままだと――拘束、下手をすれば処分される。」


剛:「……は?」


次の瞬間。


バンッ!!


研究棟の大扉が吹き飛ぶように開き、

黒衣の魔導師たちが雪崩れ込んできた。


胸には金色の紋章――封印派シール・オーダー


中央に立つ老人が、杖を突き立てながら低い声を放つ。


「神谷剛……!

 貴様は理の秩序を乱す“異端”と認定する。」


剛は眉をひそめた。


(……やっぱこうなるか。)


老人は続けた。


「魔力結晶の沈黙、床陣の暴走、波動値の異常上昇。

 どれも貴様が“世界の理”から逸脱した証拠だ。」


リオナが叫ぶ。


「待って! 彼は危険じゃない!

 ただ未知の現象を――」


「黙れ、リオナ・ヴァルティア。」

老人の声は不気味なほど冷静だった。

「お前の報告は確認済みだ。

 だがそれは、お前自身が“汚染”されている可能性を示す。」


リオナの肩が震えた。


剛はゆっくりと老人を見た。


「汚染?

 俺と話しただけで汚染扱いか?」


老人は杖を向ける。


「理の外側に触れた者は、すべて封じねばならぬ。

 お前は既に“魔力の理”に干渉した。

 それだけで十分だ。」


剛は短く笑った。


「……理がどうとか知らねぇけどよ。

 こっちは何も奪ってねぇ。

 ただ鍛えて、動いただけだ。」


「その“動き”が脅威なのだ。」


老人が杖を振り下ろす。


――封雷結界、展開。


床の魔導陣が一斉に輝き、

天井から巨大な魔導障壁が剛へ降り注いだ。


リオナが叫ぶ。


「剛!! 動かないで!

 その結界は“理そのものを押し潰す”制圧魔法よ!!」


剛はわずかに膝を落とし、息を整えた。


結界の重圧が肩にのしかかる。

骨がきしむ音がする。


(……重てぇな。

 でも――)


剛はニッと笑った。


「重いなら……支えるだけだろ。」


呼吸。

腹圧。

脊柱を一本の軸に。


剛はその結界を、

まるでスクワットのバーベルのように受け止めた。


老人が絶句する。


「何……だと……!?

 封雷結界を“持ちこたえる”だと!?」


リオナも震えながら声を上げた。


「だから言ったのよ!!

 彼は理を壊すんじゃない!

 “従わせる”力を持っているの!!」


剛は呼吸を整えつつ、結界を押し返す。


グググッ……


結界の光が歪む。


「な、なぜ……!?」

「無マナの肉体が、結界を弾いている……!?」


綺麗に垂直方向の負荷は、まるでスミスマシンの様だ。

剛はゆっくりと、しかし確実に結界を押し返した。


「悪いが……

 俺は重さで潰れるような筋肉じゃない。」


老人が叫ぶ。


「封印派、全員で押し込め!!

 この異端者を拘束しろ!!」


黒衣たちが一斉に詠唱を始める。


リオナが剛の腕を掴んだ。


「剛、逃げるわよ!!

 いくらあなたでも、数人がかりの封印魔法は――!」


剛は一瞬迷い、しかし頷いた。


「分かった。行くぞ。」


リオナは魔導陣を蹴って走り出す。


「こっち! 裏の転移門まで!」


剛は後ろを振り返り、黒衣たちを一瞥して言い放つ。


「悪いな。

 筋肉は、自由じゃないと育たねぇんだ。」


黒衣たちが怒号を上げる。


「逃がすな!!」

「理の外側の異端を放置するな!!」


研究棟が赤く光り、警報が鳴り響く。


剛とリオナは光の走る廊下を駆け抜けた。


追跡が始まる。

ここから物語は、王都脱出編へ――。


― 逃走直前の対話


赤い警報光が研究棟の壁を走り、

封印派の足音が廊下に響く。


リオナは剛の腕を掴んだまま走る。

だが、転移門の前で突然立ち止まった。


「剛……」

振り向いたリオナの顔は、怒りでも恐怖でもない。

もっと複雑な色をしていた。


剛は息を整えながら問う。


「どうした。早く行くぞ。」


リオナは唇を噛んだ。

一度閉じた目を開き、まっすぐ剛を見た。


「……あなたは怖くないの?」

「何がだ?」


「国に追われるのよ。

 “理を壊す存在”として、拘束されるのよ。

 あなたの存在そのものが脅威だって……

 そう言われて……それでも……」


剛は息を吸い、静かに言った。


「リオナ。

 俺は筋トレの邪魔をされるのが一番怖い。

 それ以外はどうでもいい。」


リオナの目が揺れる。


「どうでも……いい……?」


剛は続ける。


「誰にどう思われようが、俺は鍛える。

 動いて、食って、寝て、また鍛える。

 それが俺の生き方だ。

 世界がどう変わろうが――

 筋肉だけは裏切らない。」


その言葉に、リオナの胸の奥が強く脈打った。


(この人は……

 “理を超えた存在”なんかじゃない……

 ただ、自分の生き方を貫いているだけ……!

 それが“理に届いてしまった”だけなんだ……)


「……だからって……あなたを失いたくはない。」

リオナは声を震わせた。


剛はわずかに目を細める。


「失わねぇよ。

 俺は勝手に消えたりしない。

 筋肉は継続の象徴だろ?」


「そんな理屈ある!? あなた、追われて――!」


剛は静かに言葉を差し込んだ。


「リオナ。

 さっきの実験で、お前だけは俺を見捨てなかった。」


リオナの呼吸が止まる。


「“危険因子”って言われても、

 お前は俺の横に立ってた。

 あれが答えだ。

 俺はお前を信じる。」


リオナの胸に熱が広がる。

逃走中なのに、涙が出そうになる。


「……剛。

 どうしてそんなに真っ直ぐ言えるの?」


剛は淡々と言った。


「筋肉は嘘つけねぇだろ。」


その瞬間――

リオナは確信した。


この男は、理ではなく“生き方”で世界を変えていく。

 そして私は、その変化の目撃者になる。


封印派の足音が迫る。


リオナは剛の手を取り、強く引いた。


「……行くわよ、剛。

 絶対に、逃げ切る。」


剛はうなずき、短く笑った。


「当たり前だ。

 逃げるんじゃない。

 “進む”んだ。」


二人は転移門へ飛び込む。

直後、封印派が廊下に雪崩れ込む。


光が収束し、二人の姿は王都から消えた。


新しい“理”が、この瞬間誕生した。



封印派の介入により、剛とリオナは逃走を余儀なくされます。

ここで剛は初めて「世界から敵視される重さ」を知ります。


次章では、オーク族という“筋肉の価値観”を持つ種族が登場し、

剛の筋肉が歓迎される異文化交流が始まります。

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