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正義撲滅 魔王戦隊ダークトリニティ  作者: DD22


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第32話『炎に抗いし者─グリムの過去』



かつてノクタリア西方に“赤の村”と呼ばれた魔族の集落があった。自然と共に暮らす小さな村で、住民たちは穏やかな日常を送り、火の精霊に感謝を捧げながら慎ましく生きていた。


少年──後に“グリム”と名乗る者も、そこにいた。母と二人で暮らし、貧しいながらも小さな幸せの中で日々を重ねていた。


彼女は優しかった。働きながら火を扱う技を教え、本を読み聞かせてくれた。 「力はな、人を傷つけるためやなくて、守るためにあるんや」 その言葉は、少年にとって人生最初の“正義”だった。


◆ 正義の名の下に


ある日、空から紅い閃光が降ってきた。 それはジャスティスフェイスの特殊部隊による「魔力無害化作戦」だった。


表向きは“潜在的脅威排除のための秩序強化”──だが実際は、「魔族の村だから」という理由だけで選ばれた一方的な制圧だった。


少年の目の前で、村は炎に包まれた。 母は、彼をかばいながら倒れ、二度と目を開かなかった。


火を信じ、火と共に生きてきた者たちが、 “正義”という名の火によって焼かれた。


彼の心の奥に、その瞬間、何かがひび割れた。


◆ 燃えるものと、残ったもの


その後、彼は生き残った魔族として監視対象に置かれ、廃村でひっそりと暮らしていた。 働くことも、笑うことも、許されない場所。


ある日、街で聞いた言葉。 「魔族って、危険らしいよ。あの村も、正義の戦隊に浄化されて正解だったよね」


何も知らない“普通の人間”の口から発せられたその言葉に、彼は笑った。 「せやな……そっちが“正義”なら、俺は“悪”でかまへんわ」


その夜から彼は“火”の修練を始めた。 火を操る魔族としての血を受け継ぐ体を極限まで鍛え、 誰かを守るためでなく、ただ「間違った正義」に抗う力を持つために。


◆ 魔王という選択


ある年、再びノクタリアで魔獣災害が起きた。 人々が逃げ惑う中で、彼は単身で現れ、圧倒的な火力で魔獣を消し去った。 その姿を見た者は、畏れと同時にこう囁いた。


「あの男は……まるで“魔王”だ」


その言葉を耳にしたとき、彼は初めてこう言った。 「ええよ。“魔王”で。 正義に焼かれたこの身体で、正義に抗うんやったら、それぐらいがちょうどええ」


◆ 正義への反逆


彼が名乗った“グリム”という名は、古い魔族の言葉で「語る者」「抗う者」を意味する。 かつて母がくれた小さな本に、そう書かれていた。


それは、自分の怒りに名前を与えるという決意だった。 誰かの価値観に従うのではなく、自分の信じるもののために立つという覚悟だった。


そして今──彼は魔王戦隊として、再び“炎”を使う。 だがそれは、かつてのように人を焼く炎ではない。


“誰にも屈しない”という意志を燃やす、抗いの火である。



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(第33話 ネビュロス編へ続く)


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