第2話『悪の名に誓って』
燃え尽きた村の残骸。灰の中で立ち尽くす魔王たちの前に、正義を掲げた五人の影が降り立つ。
聖断戦隊ジャスティスフェイス。彼らは、何一つ迷いを見せずに断言する。
バーニングレッド:
「我らが裁くは、悪の存在。貴様ら魔王の存在そのものが、世界の歪みなのだ!」
ユナイトレッド:
「これは“浄化”だ。命を奪うことではない。“救済”だ。」
だが彼らはまだ動かない。五人のうち、前に出たのは三人。
ジャッジレッド、セイジレッド、ブレイズレッド。
三人は構えを取り、戦闘態勢に入る。バーニングとユナイトはその後方で、状況を静かに見つめていた。
グリムは静かに前へ出る。その瞳には怒りでも悲しみでもなく、確かな決意が宿っていた。
グリム:
「……正義ってのはな、声の大きいやつの都合や。だから俺は“悪”を名乗る。“守るために”な。」
彼の背後を、氷の気配が支える。ネビュロスが歩み出る。
ネビュロス:
「論理で裁く者に欠けているものがあるとすれば、それは“想像力”だ。お前たちは誰の悲鳴も想像できないんだな。」
続いて、ヴェルミリオンが微笑みながら幻影の蝶と共に舞う。
ヴェルミリオン:
「君たちは自分の“正しさ”で人を殺す。
僕たちは、“悪”で誰かの未来を守る。それだけの違いだよ。」
空気が震え、魔力が膨れ上がる。
魔王戦隊ダークトリニティ、完全覚醒。
三人の背後に、それぞれの象徴――炎、氷、幻影の紋章が現れる。
グリム:
「魔王戦隊、ダークトリニティ――ここに誕生や!」
三人が同時に構えを取る。その姿は、“悪”を名乗るに相応しい気高さを帯びていた。
一方、ジャスティスフェイスの三人もそれぞれの“正義”の定義で構えを取る。
ジャッジレッド:
「裁定下すは我なり!」
セイジレッド:
「正義に反論など、無意味だ。」
ブレイズレッド:
「悪って言われたら燃やすしかないっしょ!」
その背後で、バーニングとユナイトは動かず、静かに状況を見守っていた。
光と闇、赤と黒――二つの勢力がぶつかる、その瞬間。
交錯する魔力と正義の波動。
戦いの火蓋が、ついに切って落とされた。
(第3話へ続く)