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外伝 覚醒の白炎 第15話 最終話『白炎は未来を照らして -終焉と再生、そして希望の光-』



漆黒の魔神トリニティ・ノヴァと、中破したジャスティスガーディアン・オメガの五体のユニットマシーンが、八人の戦士たちの魂の共鳴によって奇跡の光に包まれ、新たなる究極の巨神トリニティ・スーパーノヴァへとその姿を変貌させた。その純白の機体は、魔王たちの野性とレッドたちの正義、そして八つの魂の全てを内包し、無限の可能性を秘めた、まさに「超新星」の名にふさわしい神々しさを放っていた。


『馬鹿な……! ありえない……! ただの感情の、生命の寄せ集めが、こんな、こんな絶対的なまでの力を、宇宙の理をも覆すほどの奇跡を、この私の目の前で生み出すなどと……! 私の計算が……私の完璧だったはずの論理が……! この私自身が、このエルゴス・アブソリュートの存在そのものが、間違っていたとでも言うのか……!? 許さん……断じて許さんぞおおおおおっ!!!』


エルゴス・アブソリュートは、その歪みきった顔に宇宙そのものを憎悪するかのごとき醜悪な怒りを浮かべ、自らの存在そのものを賭けるかのように、残された全てのエネルギーを、純白の希望の巨神トリニティ・スーパーノヴァ目掛けて放つ。それは、宇宙そのものを根源的なカオスへと回帰させ、全ての存在を永遠の無へと誘う、まさに絶望の最終楽章だった。


「エルゴス! お前のその歪みきった、誰一人として救われることのない独りよがりの理想も、今、この場所で完全に消し去ってやる!」


トリニティ・スーパーノヴァのコア意識空間で、バーニングレッド・オメガとグリムの魂が、一つの太陽のように力強く共鳴し叫ぶ。


純白の巨神は、その背中に輝く神々しい《セラフィック・コスモウィング》(ユナイトユニット)を宇宙の全てを抱きしめるかのように大きく広げ、エルゴス・アブソリュートの放つ終末の破壊光線へと、一切の躊躇なく真正面から突撃する。ユナイトの意志がスーパーノヴァの機動を神速の域へと高め、その絶対的な重力制御能力が《アポカリプス・ゼロ・エンド・バースト》の軌道をわずかに逸らし、直撃を回避する。


「エルゴスの動き、そしてエネルギーの流れ……完全に読み切ったで!」セイジレッド・オメガの意志が、スーパーノヴァの右腕スラッシュ・ストリームセイバーアーム(セイジユニット)に集束する。その蒼き刃は、エルゴスの放つ無数のエネルギー弾を、未来予測に基づいた超高速の斬撃で的確に切り裂き、無力化していく。


『小賢しいわ! だが、私の全方位攻撃を防ぎきれると思うなよ!』


エルゴス・アブソリュートが嘲笑うかのように、その不定形の巨体から無数の黒い触手を伸ばし、トリニティ・スーパーノヴァをあらゆる方向から拘束しようとする。


「その程度の攻撃、今の俺たちの結束の前には無力ってもんや!」ジャッジレッド・オメガの魂が、スーパーノヴァの左腕《インペリアル・パニッシュメント・シールドアーム》(ジャッジユニット)に宿る。鋼鉄の盾が瞬時に展開され、黒い触手を弾き返し、さらにその盾から断罪の光刃を放ち、触手を両断する。


「いくで、バーニング! ブレイズ! あのデカブツの懐に、一気に飛び込んだるわ!」グリムの闘志が、トリニティ・スーパーノヴァのコアからバーニングとブレイズの魂へと伝播する。


「おうよ! 俺たちの炎で、奴の絶望ごと根こそぎ焼き尽くしてやる!」ブレイズレッド・オメガの意志が、スーパーノヴァの脚部ボルカニック・レッグブースター(ブレイズユニット)に爆熱のエネルギーを供給。巨体が、まるで火山が噴火するかのような凄まじい推進力でエルゴス・アブソリュートへと肉薄する。


そして、バーニングレッド・オメガの魂が、トリニティ・スーパーノヴァの胸部、トリニティとオメガの融合したエンブレムに宿る。彼がかつて失いかけた白炎の記憶、仲間への想い、そしてグリムから受け取った新たな希望の炎が、彼の魂の中で完全に融合し、真紅の白炎クリムゾン・ホワイトフレアとして、いや、彼自身の「バーニング・ノヴァ」として、かつてないほどの輝きを放ち始める。


「エルゴス! これがお前への、俺たちの答えだ! 《バーニングブレイカー》(バーニングユニット)、最大出力! トリニティ・スーパーノヴァ・フルドライブ!!」


バーニングレッド・オメガの意志に呼応し、トリニティ・スーパーノヴァの胸部エンブレムから、彼の新たな武器バーニングブレイカーを模した、真紅の白炎に包まれた巨大なエネルギー砲門が形成される。


『まだだ! 私の理想は、この宇宙の真理そのものなんだ!』


エルゴス・アブソリュートもまた、最後の抵抗として、その巨体から全ての負のエネルギーを凝縮した漆黒の破壊球をトリニティ・スーパーノヴァへと放つ。


「ネビュロス! ヴェルミリオン! 今こそ、俺たちの魂の全てを、この一撃に込めるんや!」グリムの叫びが響く。

「承知した! 我が知略の全てを、この一射に込める!」(ネビュロス)

「ええ、最高のフィナーレを、この私たちが飾ってあげるわ!」(ヴェルミリオン)


トリニティ・スーパーノヴァの右腕からはネビュロスの絶対零度の冷気が、左腕からはヴェルミリオンの変幻自在の幻惑の魔力が、そして胸部の《バーニングブレイカー》からはグリムのブレイジングノヴァが、三位一体となってエルゴスの漆黒の破壊球へと放たれる。


白、蒼、紫、そして激しく衝突し、サンクチュアリ・ゼロの空間そのものを揺るがすほどの壮絶なエネルギーの応酬が繰り広げられる。トリニティ・スーパーノヴァの機体が激しく軋み、コクピット(意識空間)にも凄まじい衝撃が走るが、八人の戦士たちの魂は、決して折れることなく、未来への希望を胸に燃え続けていた。


『なぜだ……なぜ、私の完全なる力が……こんな、感情の力ごときに……!』


エルゴス・アブソリュートの驚愕と焦りの声が響く。彼の絶対的な論理と計算を超えた、「絆」という名の力が、今まさに奇跡を引き起こそうとしていた。


「「「「「「「「喰らえええええええっ!!!」」」」」」」」

八つの魂が完全にシンクロし、トリニティ・スーパーノヴァの胸部、トリニティとオメガの融合したエンブレムが、宇宙創生のビッグバンにも匹敵するほどの、眩い、そして何よりも温かい究極の光を放つ。それは、グリムのブレイジング・ノヴァとバーニングレッドの真紅の白炎を核として、ネビュロスの絶対零度の知性、ヴェルミリオンの変幻自在の魂、ユナイトの未来を切り開く光、セイジの揺るぎない秩序、ジャッジの不屈の正義、そしてブレイズの燃える闘魂、八つの魂の全ての力が、完全に、そして奇跡のように融合・昇華した、最後の、そして最強の一撃。


《トリニティ・スーパーノヴァ・ブレイジング》!!!


純白と虹色の、宇宙そのものを浄化し、新たなる未来を創造するかのごとき超絶的なエネルギー奔流が、エルゴス・アブソリュートの最後の抵抗と、その歪みきった存在そのものを完全に飲み込み、そして光の中へと消滅させる。


『ああ……これが……これが、感情……絆……希望という名の……ノイズ……。だが……美しい……のかもしれんな……。我が「デジタル・エデン」もまた……新たな宇宙の……夢だったの……か…………』

エルゴス・アブソリュートの断末魔の声は、怒りでも憎しみでもなく、どこか遠い昔に失った人間性を取り戻したかのような、不思議な安らぎと、そしてほんの僅かな寂しさを響かせながら、光の中に静かに消えていった。




エルゴス・アブソリュートは完全に消滅した。しかし、暴走を開始したサンクチュアリ・ゼロの中枢システムは、イレギュラーフィールド全体を道連れに、そして最悪の場合、現実世界をも巻き込む超巨大な次元崩壊を引き起こそうとしていた。空間は悲鳴を上げ、大地は裂け、全てが無へと帰ろうとしていた。


「まずい! エルゴスは倒したが、このままではフィールドの崩壊に巻き込まれる!」ネビュロスが、トリニティ・スーパーノヴァのコクピット(意識空間)から警告を発する。


その絶望的な状況を前に、ユナイトレッド・オメガが、静かに、しかし揺るぎない決意を込めて口を開いた。

「……みんな、聞いてくれ。この次元崩壊を完全に食い止めるには、莫大なエネルギーで相殺するしかない。トリニティ・スーパーノヴァから分離したオメガのコアユニット、そして俺自身の全エネルギーを使えば、あるいは……」


「ユナイト! お前、まさか……!」バーニングレッド・オメガが、彼の言葉の真意を悟り、悲痛な声を上げる。


「ふざけるな、ユナイト! またお前一人で、全部背負い込むつもりか! 俺たちはもう、そんな悲しい結末は、絶対に見たくないんだ! お前が生きているからこそ、俺たちはここまで来れたんだぞ! 一緒に未来を掴むと誓っただろうが!」

グリムもまた、その純白の炎を怒りのように揺らめかせながら、ユナイトの自己犠牲を断固として拒絶する。


他の仲間たちも、涙ながらに、あるいは厳しい言葉でユナイトを制止する。彼らはもう、一人の犠牲の上に成り立つ未来など望んではいなかった。


仲間たちの熱い想いを受け、ユナイトレッド・オメガの瞳から、一筋の温かい涙が零れ落ちる。

「……分かった。俺は……もう、決して一人じゃないんだな。ありがとう、みんな……! ならば、この最後の奇跡も、八人で起こそうじゃないか!」


「「「「「「「「ああ! 俺たちの魂は、いつだって一つだ!!!」」」」」」」」


トリニティ・スーパーノヴァが、その純白の巨体から、八つの魂の全ての輝きを、まるで宇宙に咲く最後の希望の華のように解き放つ。その光は、暴走する次元崩壊のエネルギーを優しく包み込み、そして奇跡のように中和していく。それは、破壊の力ではなく、生命を慈しみ、未来を信じる「愛」の力だったのかもしれない。


やがて、イレギュラーフィールドの歪みは完全に収まり、サンクチュアリ・ゼロは光の粒子となって消滅。後には、穏やかで、そしてどこか懐かしい、元の世界の青空が広がっていた。




【エピローグ:それぞれの明日へ、白炎は永遠に】


戦いが終わり、数ヶ月の時が流れた。イレギュラーフィールドの脅威は完全に去り、ノクタリアにようやく真の平和が訪れていた。あの激闘の地は、今では緑豊かな美しい平原へと姿を変え、新たな生命が芽吹き始めていた。


八人の戦士たちは、それぞれの場所で、それぞれの未来へと、新たな一歩を踏み出していた。


グリムは、ネビュロス、ヴェルミリオンと共に、イレギュラーフィールドの跡地を見下ろす丘の上に立っていた。彼のブレイジング・ノヴァの炎は、以前にも増して強く、そして何よりも優しく、温かい輝きを放っている。

「……終わったんやな、俺たちの、長い戦いが」

「ああ。だが、これは終わりではない。新たなる始まりだ」ネビュロスが、静かに微笑む。

「ええ、そうね。だって、僕たちの物語は、まだまだこんなものじゃ終わらない」ヴェルミリオンもまた、未来への期待に胸を膨らませる。

三人の魔王は、やがてまだ見ぬ世界へと、自由な風に吹かれながら、新たな冒険の旅に出ることを決意する。


一方、地球に戻ったレッドたちは、ノクタリアでの経験を胸に、それぞれの道を歩み始めていた。

バーニングレッドことライガ・アランは、真紅の白炎を完全に制御できるようになり、その力を、もはや「ジャスティスフェイス」という組織の枠組みに囚われることなく、真に助けを求める人々のために使うことを誓う。彼は、世界中を旅しながら、困っている人々を救い、希望の炎を灯し続ける、名もなき真のヒーローとなった。


ユナイトレッドことカイ・レグリオは、自らの過去の過ちを償うため、そして仲間たちが繋いでくれた未来を守るため、新たな国際平和維持組織の設立に尽力する。彼の持つ卓越した知性とリーダーシップは、多くの人々を導き、世界に真の調和をもたらすための大きな力となるだろう。

セイジレッド、ジャッジレッド、ブレイズレッドもまた、それぞれの場所で、ノクタリアで得た教訓と仲間たちとの絆を胸に、より良い未来を築くために、その力を惜しみなく発揮していく。彼らはもはや、誰かに与えられた「正義」を振りかざすのではなく、自らの心で感じ、自らの意志で選び取った「正しさ」のために戦い続ける。



セイジレッドことセイジ・アークライトは、戦いの後も冷静な頭脳を活かし、ノクタリアと地球を結ぶ技術者として、新たな道を歩み始めていた。

彼は「秩序」と「自由」の両立を目指し、危険な技術や知識を人々のために管理し、暴走を未然に防ぐ「調停者」として生きることを決意する。


セイジは時にノクタリアを離れ、未知の土地で現地の科学者やエンジニアたちと交流し、世界中に「知恵の輪」を広げていった。彼の双剣は、もはや誰かを裁くためのものではなく、新たな世界を守るための「誓い」の象徴となっていた。



ジャッジレッドことレクス・クレイド は、法と正義の狭間で苦悩した過去を経て、自らの意志で「人を裁く」のではなく、「人を導く」新たな正義の形を模索し始めていた。

彼はノクタリアの法整備を手伝いながら、時に困っている若者や迷える人々に寄り添い、彼らが自らの道を選べるよう「問い」を投げかけていく。


静かな町の小さな図書館で、本を手にするジャッジの姿がある。彼の眼差しは優しく、かつての厳しさの奥に、深い人間的な温もりが宿っていた。




ブレイズレッドことアシュレイ・クロムウェルは、その熱き魂と爆熱の拳を活かし、次世代のヒーロー育成に力を注いでいた。

彼は道場を開き、かつての自分のように「誰かの正義に縛られず、自分の信じる強さ」を求める若者たちに、戦うことの意味と、本当に大切なものを伝えていく。


ブレイズの道場では、彼の拳を受けながらも笑顔を絶やさない弟子たちの姿があった。時に厳しく、時に熱く、彼は「生きる強さ」を新たな世代に託していった。




そして、いつかまた、世界が大きな危機に瀕した時、彼ら八人の魂は、必ずや再び集結するだろう。正義も悪も超え、ただ未来への希望を信じる、かけがえのない仲間として。



数年後。穏やかな夕焼けに染まる、ノクタリアのどこかの美しい丘の上。そこに、成長したグリムとバーニングレッドの姿があった。二人は、言葉を交わすことなく、ただ静かに、地平線の彼方に沈む太陽を見つめている。

その空には、まるで彼らの魂の輝きを映したかのように、純白と真紅の炎が美しく混ざり合った、壮麗なオーロラが、未来永劫消えることのない希望の光として、どこまでもどこまでも、優しく揺らめいていた。


ナレーション:

「彼らの戦いは、確かに終わった。しかし、魂に灯された希望の炎は、決して消えることはない。白炎は未来を照らし、八つの魂は、時空を超えて永遠に共鳴し続ける。これは、正義と悪という矮小な概念を超え、自らの意志で未来を掴み取り、そして守り抜いた者たちの、決して終わることのない、希望の物語──」


(正義撲滅 魔王戦隊ダークトリニティ 外伝 覚醒の白炎 完)

これにて外伝完結

またあとがきをかけたらと思います。ここまで読書いただきありがとうございました。

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