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外伝 覚醒の白炎 第13話『未来への意志、紅蓮の覚醒と漆黒の限界 -魂の共鳴、希望の光彩へ-』



エルゴス・シュタインがその歪みきった創造主としての、そして宇宙の法則そのものを書き換えんとする神にも等しい真の力を解放し、禁断の聖域サンクチュアリ・ゼロは、まさに終末の序曲が宇宙全体に響き渡るかのような、絶望的なまでの様相を呈していた。空間そのものがエルゴスの絶対的な意志に従って脈動し、まるで生きているかのように不気味に蠢き、次元の裂け目からは、彼が悠久の、そして孤独な時をかけて集積した無数の、それぞれの人生を、喜びを、悲しみを、そして愛を持っていたはずの「生命のデータ」が、もはや個々の魂の形を完全に失い、ただただ純粋な怨念と、出口のない絶望の奔流となって、まるで銀河を飲み込むブラックホールのように絶え間なく溢れ出し、ジャスティスガーディアン・オメガとトリニティ・ノヴァを、その全てを飲み込み、エルゴスの歪んだ、そしてあまりにも身勝手な「デジタル・エデン」の、冷たい礎石へと変えようと、憎悪と怨嗟の、そして永遠の苦しみの声を上げながら荒れ狂っている。それは、もはや物理的な戦闘という、あまりにも矮小な言葉では表現しきれない、存在そのものを賭けた、宇宙の法則、生命の根源、そして魂の尊厳を巡る、神話級の、そして絶対的な闘争だった。


『フハハハハ! どうした、どうしたのだ、哀れで、そして実に滑稽な虫けらども! これが私の創造する新たなる、そして完全なる宇宙の、荘厳なる胎動の息吹だ! お前たちのその矮小にして取るに足らぬ、この絶対的な、我が力の前に、何の役にも立たんことを、その絶望に染まりゆく魂の髄にまで、深く永遠に刻みつけてやるわ!』


エルゴスは、その異形の、エネルギー体へと昇華しつつある巨体から、さらに濃密にして禍々しい、宇宙の星々をも砕くほどの黒い雷光と、空間そのものを捻じ曲げ、あらゆる物理法則を、そして希望という概念すらも無効化する絶対的な重力波を、複雑にして悪意に満ちた形で融合させた、もはや回避不能にして防御不能の、全方位殲滅攻撃ジェノサイド・コズミック・ストリームを、まるで宇宙の終焉を告げる創造主の鉄槌のように、その異形の腕から容赦なく、そして愉悦の色を浮かべて放つ。それは、サンクチュアリ・ゼロの歪んだ空間全体を、彼の絶対的な悪意そのもので満たし尽くすかのような、筆舌に尽くしがたい、そして魂の奥底まで凍てつかせる、絶望的なまでの破壊の嵐だった。その一撃は、かつて彼らが辛うじて撃破したグラヴィトン・ロードやクロノ・イレイザーといったガーディアンたちの全能力を遥かに凌駕し、星々を砕き、銀河を消滅させるほどの、まさに宇宙の創造主を名乗るにふさわしい、次元を超えた、そして理解を超えた力の発露であった。


「くっ……! 全方位から来るぞ! ジャスティスガーディアン・オメガ、全残存エネルギーを、防御フィールドに一点集中させろ! 何としてもこの一撃だけは、この絶望だけは耐えきるぞ! 俺たちの未来は、俺たちの希望は、こんなところで、絶対に終わらせるわけにはいかないんだ!」


ジャスティスガーディアン・オメガのメインコクピットで、ユナイトレッド・オメガが、かつては常に冷静沈着だった白い顔貌を、今はただただ仲間を守りたいという一心からの苦痛と、そして不退転の決意に歪ませながら、もはや悲痛なまでの覚悟を込めて、魂の底から叫ぶ。彼の純白の六枚の光翼が、残された全エネルギーを、そして彼の魂そのものを最後の最後まで振り絞って、まるで最後の抵抗を見せる、傷ついた天使のように神々しいまでの、しかしどこか儚い輝きを放ち、ジャスティスガーディアン・オメガの周囲に、考えうる限り最強の、何重もの、そしてかつてないほどに強固な黄金色の多次元エネルギーシールドを、まるで最後の希望の城壁のように、エルゴスの絶対的な悪意の前に展開する。しかし、エルゴスの放つ《ジェノサイド・コズミック・ストリーム》は、仲間たちの想いが込められた希望の城壁すらも、いとも容易く、そして無慈悲に侵食し、バチバチと音を立てて、絶望的なまでの亀裂を、次から次へと走らせていく。その亀裂からは、エルゴスの歪んだ、無に帰す破壊のエネルギーが、まるで悪夢の奔流のように流れ込み、ジャスティスガーディアン・オメガの巨体を、その誇り高き装甲を、内側から破壊しようと、憎悪の牙を剥いて猛威を振るう。


「馬鹿な……! ジャスティスガーディアン・オメガの、我々レッド5人の魂を乗せた最大防御出力をもってしても、このエルゴスの攻撃を、完全に防ぎきれないというのか……!? これほどのエネルギー量……これほどの破壊力……私の計算が、私の戦術予測が、全く、全く追いつかない……!」

セイジレッド・オメガが、メインコンソールに表示される、もはや計測不能なほどの絶望的な数値と、まるで滝のように急速に低下していくシールドエネルギーの残量に、その常に冷静沈着だった表情を、初めて明確な戦慄と、焦燥の色に染め上げる。彼の誇るべき、勝利に導いてきた超高速演算能力をもってしても、このエルゴスの、宇宙の理すらも捻じ曲げる絶対的な攻撃を防ぎきるができない。


「う、うおおおおおっ! 俺たちの未来は、俺たちの、仲間たちと共に掴み取るはずだった希望は、こんなところ、歪みきった自己満足のために、絶対に、絶対に終わらせてたまるかぁぁぁっ!!」

ブレイズレッド・オメガが、その魂の全てを、そして仲間たちへの想いの全てを込めて、両腕に装着された《ブレイズインパクト》から、自らの生命エネルギーそのものを、まるで最後の灯火のように燃焼させるかのような、決死の爆熱エネルギーを、荒れ狂う嵐の中で逆噴射させ、かろうじて展開されている黄金色のエネルギーシールドの内側から、エルゴスの放つ《ジェノサイド・コズミック・ストリーム》の、全てを飲み込む圧倒的なエネルギー奔流を、無謀にも、強引に押し返そうと試みる。しかし、あまりにも壮絶で、エルゴスの《ジェノサイド・コズミック・ストリーム》の、宇宙そのものを揺るがす絶望的なまでの奔流は、ジャスティスガーディアン・オメガの巨体を、まるで嵐の中の木の葉のように、容赦なく打ち据え、その誇り高き白銀の装甲を、その内部構造を、そしてそこに宿るレッドたちの魂を、根こそぎ破壊していく。


「ぐあああああっ!」

「うわああああああっ!」

「お、おのれえええええっ! このままでは……!」

「まだだ……まだ、諦めるわけには……いかないんだ……っ!」


もはや衝撃という言葉では生易しいほどの絶対的な破壊の奔流が、ジャスティスガーディアン・オメガの複数のコクピットを同時に、そして容赦なく襲い、レッドたちはそれぞれのシートに、まるで意思を持たない、壊れた人形のように激しく、そして何度も何度も叩きつけられる。メインモニターは無数の火花を散らして完全にブラックアウトし、予備電源すらも落ち、かろうじて機能していた生命維持装置の、警告音が、サンクチュアリ・ゼロの歪んだ空間に虚しく、そして絶望的に鳴り響く。ジャスティスガーディアン・オメガは、そのあまりにも強大な、力の前に、もはやその誇り高き巨体を維持することすらできずに大きく傾き、右腕と左脚を無惨にもぎ取られ、黒煙をもうもうと上げながら、ついに片膝を、そして両膝をついて、その美しい白銀の装甲の至る所が焼け焦げ、溶解し、内部の複雑なメカニズムや、断線したエネルギーラインが痛々しく剥き出しになった。もはや戦闘続行は完全に不可能、いや、奇跡でも起きない限り、生存すらも絶望的と言える状態だった。


一方、漆黒の魔神トリニティ・ノヴァもまた、エルゴスの放つ、宇宙の法則そのものを捻じ曲げる《ジェノサイド・コズミック・ストリーム》の前に、ジャスティスガーディアン・オメガと同様、あるいはそれ以上の、まさに絶望的なまでの苦戦を強いられていた。グリム、ネビュロス、ヴェルミリオンの三人の魔王は、その精神と魂を、まさに燃え尽きる寸前の極限の極限まで集中させ、トリニティ・ノヴァの内に秘められた全ての、そして未知なる能力を解放し、この宇宙的規模の破壊の嵐に、最後の最後まで必死の抵抗を試みる。


「舐めるなよ、エルゴス! 俺たちの、いや、このトリニティ・ノヴァの魂の力は、お前のその歪みきった、空っぽな計算なんぞじゃ、絶対に、絶対に測れねぇんだよ!」

グリムのブレイジング・ノヴァの純白の炎が、トリニティ・ノヴァの漆黒の装甲から、まるで最後の抵抗を見せる、傷つきながらも誇り高い太陽のように、神々しいまでの破壊の奔流となって激しく噴き出し、エルゴスの放つ黒い雷光と虚空で激しく衝突する。魔王の魂を込めた究極の炎技、《トリニティ・ノヴァ・フレアバースト》!


「我が絶対零度の氷壁、そして我が叡智の全てを、この一撃に賭ける! 貴様のその生命そのものを冒涜する醜悪な野望を、この場で完全に凍てつかせてくれる!」

ネビュロスの絶対的な意志が、トリニティ・ノヴァの周囲に、宇宙の極寒そのものを、絶対零度の多次元氷結シールド《クリスタル・ウォール・イージス》を展開し、エルゴスの《ジェノサイド・コズミック・ストリーム》の直撃を、その身を賭して、そして仲間たちの未来を信じて防ごうとする。


「美しい、そして永遠の悪夢を、あなたにプレゼントしてあげるわ、エルゴス。あなたのその歪みきった、救いようのない理想が、いかに脆く、そして儚い、ただの砂上の楼閣であったかということをね!」

ヴェルミリオンの妖艶にして強力な、そしてどこか物悲しい幻術が、トリニティ・ノヴァの周囲に、まるで宇宙そのものを映し出すかのような無数の、幻影の鏡面を作り出し、エルゴスの攻撃エネルギーを複雑に、そして予測不能なまでに乱反射させ、その恐るべき威力を、ほんのわずかでも減衰させようと、最後の最後まで必死に試みる。防御幻術ミラージュ・プリズムエンドレス


三人の魔王は、それぞれの持てる力の全てを出し切り、トリニティ・ノヴァの内に秘められていた潜在能力を、まさに限界のその先、魂が燃え尽きる寸前まで引き出して、一歩たりとも引くことなく耐えていた。しかし、エルゴスの力は、この彼自身の精神宇宙とも言える、絶対的な領域であるサンクチュアリ・ゼロにおいては、まさに無限とも思えるほどに強大であり、そして底なしだった。トリニティ・ノヴァの誇り高き漆黒の装甲にも、徐々に、修復不可能なほどの亀裂が走り、その表面を流れる、三人の魔王の魂の象徴である純白のエネルギーラインの神々しい輝きにも、明らかな、陰りが見え始めていた。


「くっ……! さすがに、こいつの馬鹿げた力は……規格外……! このままでは、トリニティ・ノヴァのエネルギーコアが、も、もう……限界やわ……!」

グリムの額に、これまでのどんな戦いでも見せたことのない、大量の、そして血の混じった苦悶の汗が滝のように滲む。


『フハハハハ! どうした、どうした、哀れな魔王ども! それが貴様らの、魂の限界か? ジャスティスフェイスの哀れな残党どもは、既にあそこで無様に沈黙したようだが、貴様らもすぐに、あの醜い鉄クズ共と同じ、惨めで滑稽な運命を辿るのだ。私の創造する完璧にして完全なる、そして永遠の「デジタル・エデン」に、お前たちのような、目障りな要素は、一片たりとも不要なのだからな! 消えろ、宇宙のゴミどもめが!』



その、エルゴスの絶対的な勝利宣言とも取れる、そして何よりも仲間たちを、その誇りを、その魂を侮辱する言葉を聞いた瞬間だった。


「まだだ……! 俺たちの戦いは……まだ、こんなところじゃ、絶対に終わらないんだ……!」


黒煙を上げるジャスティスガーディアン・オメガの、完全に沈黙したと思われたメインコクピットから、バーニングレッド・オメガの、か細い、しかしその奥に決して折れることのない、最後の叫びが、サンクチュアリ・ゼロの絶望的な空間に力強く響き渡った。


「バーニング……! 無茶だ、もうお前の身体も、そしてこのジャスティスガーディアン・オメガの機体も……もう、とっくの昔に限界を超えている……! これ以上は……!」

隣のコクピットから、ユナイトレッド・オメガが、彼の、そのあまりにも無謀とも思える行動を、必死に、そして悲痛な声で止めようとする。



「ユナイト……俺は、もう二度と……仲間を見捨てて、自分だけ生き残るなんて真似はしねぇ……! たとえこの身が燃え尽きようとも……お前たちが繋いでくれた未来への道を……俺が、この手で切り開くんだ!」


バーニングレッド・オメガの瞳に、かつての白炎とは異なる、しかしそれ以上に強く激しい、新たな炎が宿り始めていた。それは、仲間を守りたいという純粋にして強烈な意志、リーダーとしての責任感、そしてグリムのブレイジング・ノヴァの輝きを目の当たりにしたことで生まれた、新たなる希望の光。


「俺の魂よ……! 今こそ、限界を超えて燃え上がれえええええっ!!!」


彼の魂の叫びに呼応するように、バーニングレッド・オメガの全身から、そして中破したオメガの機体から、真紅の炎と純白の光が融合したかのような、神々しくも力強いオーラが激しく噴き出した。


それは、かつて彼が失い乗り越えたはずの白炎が、仲間の想いと未来への希望、そしてオメガフォームの力と完全に共鳴し、より高次元の力へと奇跡の昇華・覚醒を遂げた瞬間。その炎は、破壊の赤でもなく、浄化の白でもない。絶望を打ち破り、仲間を守り抜き、未来を創造するための、彼だけの唯一無二の究極の炎──「真紅の白炎クリムゾン・ホワイトフレア」! あるいは、彼自身の魂そのものが燃え盛る、究極の「バーニング・ノヴァ」とも呼ぶべき、奇跡の力の顕現だった。


「なんや……! あの力は……バーニング自身の、魂の本当の色かいな……!」

トリニティ・ノヴァの意識空間で、グリムがその神々しい輝きに驚愕と称賛の念を抱く。


真紅の白炎を纏ったバーニングレッド・オメガは、オメガのコントロールシステムを魂の意志で直接掌握する。中破していたはずのオメガの機体が、彼の新たな力に呼応し、再び強大なエネルギーを漲らせていく。


「いくぞ、オメガ! これが、俺たちの最後の、そして最強の、未来への一撃だ!」


オメガが真紅の白炎のオーラを推進力とし、再びその傷ついた巨体を持ち上げる。その両腕には、レッド5人の武器のエネルギーが融合し、新たなる最強武装《オメガ・ブレイジングジャスティス・ゴッドカリバー》が形成されていた。


『小賢しい……! まだそのような力が残っていたとはな! だが無駄だ!』

エルゴスは、バーニングレッド・オメガの覚醒に一瞬眉をひそめるが、すぐに絶対的な自信を取り戻し、さらに強大な《ジェノサイド・コズミック・ストリーム》を放つ。


「エルゴス! お前の歪んだ理想は、俺たちがここで終わらせる! 喰らえええええっ! これが俺の、いや、俺たちジャスティスフェイスの、未来への誓いだ! 《バーニング・ノヴァ・オメガ・》!!!」


バーニングレッド・オメガの魂の絶叫と共に、オメガが《オメガ・ブレイジングジャスティス・ゴッドカリバー》を振り下ろす。真紅の白炎とレッド5人の魂の力が凝縮されたその一撃は、エルゴスの《ジェノサイド・コズミック・ストリーム》を両断し、エルゴス本体へと迫る。


『馬鹿な……! この私が……こんな感情の力ごときに……! ありえん! ありえんぞおおおおおっ!!!』

エルゴスの狼狽と焦りに満ちた絶叫が響き渡る。


ついに、バーニングレッド・オメガ渾身の一撃が、エルゴスの異形の巨体を貫いた。


しかし、エルゴスはまだ完全には倒れていなかった。その身体は激しく明滅し崩壊を始めていたが、その瞳にはなおも狂信的な光が宿っている。

「まだだ……! まだ、私の理想は……終わらん……!」

エルゴスは最後の力を振り絞り、サンクチュアリ・ゼロの中枢システムを暴走させ、イレギュラーフィールド全体を巻き込む超巨大な次元崩壊を引き起こそうとする。


(第14話『集え八つの魂、奇跡の超新星 』へ続く)

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