外伝 覚醒の白炎 第7話『鋼鉄の翼、希望の初陣! 覚醒、ジャスティスガーディアン・オメガ!』
イレギュラーフィールドの歪んだ空の下、8人の戦士たちの決意の雄叫びが木霊した。天から降臨した白と赤の巨大な光柱が収まると、そこにはまだ起動していない鋼鉄の巨人が静かに佇んでいる。しかし、その威容は、この混沌の地に差し込む唯一の希望の光のように、圧倒的な存在感を放っていた。
「あれが……オメガ……!」バーニングレッド・オメガが、新たな力を得たその身で、感嘆の声を漏らす。その巨躯は、まるで古の神話に語られる守護神のごとき神々しさを湛えている。
だが、感慨に浸る時間は許されない。グラヴィトン・ロードの地を揺るがす咆哮と共に、格納庫の入り口や周囲の空間の裂け目から、おびただしい数の新型イレギュラーズ──《デモリッション・ドローン》とでも呼ぶべき重武装の人型機体が、まるで決壊したダムの水のように津波となって押し寄せてきた。その数は数百にも及び、赤い単眼センサーを一斉にレッドたちに向け、殺到してくる。ジャスティスガーディアン・オメガへの搭乗を阻止し、この場で希望の芽を完全に摘み取ろうという、エルゴスの冷徹にして悪辣な意志の表れだった。
「レッドたち、早よオメガを! こっちはもう長くはもたんぞ! あのデカブツ、さっきより動きが激しくなって、こっちの攻撃パターンを学習し始めとるわ!」
後方でグラヴィトン・ロード本体を引き続き足止めしているグリムから、焦燥感の滲む切迫した通信が入る。彼のブレイジング・ノヴァの炎も、ネビュロスの絶対零度の氷壁も、ヴェルミリオンの千変万化の幻術も、消耗し続けるグラヴィトン・ロードの執拗にして巧妙な猛攻の前に、徐々にその勢いを削がれ始めていた。
「くそっ、この数……! オメガに乗り込む前に、こいつらを片付けるしかねぇ!」バーニングレッド・オメガが、右手に構えた大型ガンブレード《バーニングブレイカー》を力強く握りしめ、叫ぶ。その声には、新たな力を得たことによる揺るぎない自信と、仲間たちを必ず守り抜くというリーダーとしての燃えるような決意が満ち溢れていた。
「各機、散開して迎撃開始! オメガへの道を、俺たちの手で切り開くぞ!」
バーニングレッド・オメガの号令一下、オメガフォームへとその身を進化させたジャスティスフェイスの戦士たちが、眼前に迫るデモリッション・ドローンの群れへと、希望の光を背負い勇猛果敢に突撃する。それは、彼らの新たなる力の初陣。そして、歪められた世界の運命を賭けた、決死の反撃の狼煙だった。
先陣を切ったのは、もちろんこのチームの揺るぎなきリーダーであるバーニングレッド・オメガだ。彼は《バーニングブレイカー》を瞬時にガンモードへと変形させ、圧縮された灼熱の炎のエネルギー弾を、雨のように連射する。《バーニングショット・ラピッドファイア》! 赤い閃光が敵編隊の先頭を正確に薙ぎ払い、数体のドローンをまとめて爆砕する。
「今の俺には、この新しい炎がある! たとえ白炎がかつてのように使えなくても、俺の魂はまだ、こんなところじゃ燃え尽きちゃいねぇんだよ!」
かつての白炎への葛藤を、新たな力への確信で振り払うかのように、彼は魂からの雄叫びを上げながら敵陣へと深く切り込んでいく。迫り来る敵のレーザー弾幕を、まるで踊るように紙一重で回避し、《バーニングブレイカー》を流れるようにブレードモードへと切り替え、燃え盛る炎を纏った必殺の斬撃を叩き込む。《バーニングスラッシュ・ボルテックス》! 螺旋を描く炎の刃が、周囲のドローンを次々と両断し、爆炎の中に消し去っていく。その勇猛果敢な姿は、まさに絶望を焼き尽くす烈火の不死鳥。
続いてユナイトレッド・オメガが、背中の六枚の光翼を優雅に広げ、戦場を神々しく舞う。手にした白金の指揮杖を一振りすると、彼の意志に呼応して周囲の重力場が自在に操作される。《グラビティ・フィールド・コントロール》! デモリッション・ドローンの編隊が互いに激しく衝突し、あるいはあらぬ方向へと吹き飛ばされ、自壊していく。
「イレギュラーズごときに、我々の未来への道を、この希望の光を阻ませはしない! 全機、私の戦術予測に続け! 勝利は目前だ!」
ユナイトレッド・オメガの的確にして冷静沈着な戦術指揮が、レッドたちの連携をより強固な、そして芸術的なものへと昇華させていく。
その完璧な指揮に応じ、セイジレッド・オメガが蒼きオーラを旋風のように纏いながら戦場を疾駆する。進化した双剣から放たれるのは、もはや常人の動体視力では捉えることすら不可能な、超光速の連続斬撃。《ストリームセイバー・ミリオンスティング》! 彼の双剣の閃きが煌めくたびに、複数のドローンがそのコアユニットを寸分違わぬ精度で貫かれ、美しい火花を散らして墜落していく。
「私の計算によれば、あなたたちの行動パターン、そして存在そのものが、この世界の調和に対するエラーです。無駄な抵抗は、おやめなさい」
ジャッジレッド・オメガは、その重厚にして神聖な白銀の装甲で仲間たちの盾となりながら、右手の《エクスキューションブレード》と左手の《ジャッジメントガーダー》を、まるで長年連れ添った手足のように巧みに駆使して押し寄せる敵を殲滅する。巨大な盾で敵の集中砲火を完全に受け止め、その衝撃エネルギーを自らの剣に転換し、より強力なカウンターの一撃として放つ。《ジャッジメント・リフレクションバースト》!
「我が正義の前に、そしてこの仲間たちの未来を阻む悪しき野望を持つ者どもよ、その罪を悔い、ひれ伏すがいい!」
そして、ブレイズレッド・オメガが、その身に宿す爆熱のエネルギーを両腕のトンファー型武器に極限まで集中させる。
「俺の魂ごと、テメェらまとめて宇宙の塵になりやがれぇ! 《ブレイズインパクト・ボルカニックラッシュ》!!」
炎の推進力を利用した超高速の連続打撃が、デモリッション・ドローンの分厚い重装甲を、まるで紙を破るように容赦なく打ち砕き、内部から爆発四散させる。その荒々しくも力強い姿は、まさに燃える闘魂の化身だった。
五人のレッドが、それぞれのオメガフォームの特性を最大限に活かした、息を呑むほどに美しい怒涛の連携攻撃を繰り広げる。セイジが敵編隊の弱点と構造的欠陥を瞬時に分析し、その戦術データを全機にリアルタイムで共有。ユナイトが的確な重力操作で敵の動きを完全に拘束し、孤立させる。ジャッジが鉄壁の防御陣形で味方の損害を最小限に抑えつつ、的確な反撃の機会を窺う。そして、バーニングとブレイズが、その一点集中の圧倒的な破壊力で、確実に敵の数を減らしていく。彼らの動きには一切の無駄がなく、まるで長年共に戦い続けてきたかのような、完璧なまでの調和と信頼関係を見せていた。
「よし、道が開けた! 今のうちだ! 全員、オメガに乗り込むぞ!」
デモリッション・ドローンの第一波を、予想以上の速さで殲滅し、わずかな、しかし決定的な時間を稼ぐことに成功したバーニングレッド・オメガの号令で、五人の戦士たちは格納庫内に聳え立つジャスティスガーディアン・オメガへと、未来への希望を胸に急ぐ。
オメガの巨大なメインハッチが、重厚な駆動音と共にゆっくりと開く。五人はそれぞれの専用コクピットへと滑り込むように搭乗。シートに身を沈めると同時に、彼らの精神、魂、そして新たなるオメガフォームの力が、ジャスティスガーディアン・オメガの深奥システムと完全にリンクしていく。
「ジャスティスガーディアン・オメガ、メインシステム起動シーケンス、開始!」ユナイトレッド・オメガが、その冷静な声で宣言する。
「全エネルギーライン、接続確認! パワーフロー、オールグリーン! 第一次臨界点突破!」セイジレッド・オメガが、コンソールに表示される複雑な計器を確認しながら、的確に報告。
「機体装甲及び全武装システム、オンライン! いつでも出撃可能だ!」ジャッジレッド・オメガが、その力強い声で応じる。
「コアエンジン内エネルギー充填率、120%オーバー! 全リミッター、一時解除承認!」ブレイズレッド・オメガが、メインスロットルレバーを興奮気味に握りしめる。
「いくぞ、オメガ! 俺たちの、そしてノクタリアの未来を、その鋼鉄の拳で掴み取れ!」バーニングレッド・オメガが、魂からの叫びを上げる。
五人のレッドの魂が、オメガという一つの器の中で、未来への祈りのように、完全に一つになった瞬間。
まるで新たな太陽が、混沌の闇を裂いて誕生するかのように、ジャスティスガーディアン・オメガの胸部コアが、眩い赤と黒の混じり合った神々しい光を激しく放ち始めた。
そして、その巨大な両目が、宿命を打ち破る意志を宿して、カッと見開かれた。
イレギュラーフィールドの大地を揺るがすほどの重低音と共に、忘れ去られた伝説の巨神が、幾星霜の眠りから覚めるように、ゆっくりとその鋼鉄の巨体をもたげ、今、戦場にその威容を現す。
ナレーション:
「見よ、あれこそは、絶望の淵に咲いた最後の希望。
鋼鉄の翼が、今、混沌の空を超え、輝かしい未来へと羽ばたく。
その胸に刻まれし赤と黒のコアは、あらゆる困難を打ち破る、不屈の魂の紋章。
新たなる時代の希望を背負いし騎士──
《ジャスティスガーディアン・オメガ》、ここに覚醒!!」
ジャスティスガーディアン・オメガの雄々しい姿が、イレギュラーフィールドの暗雲を切り裂くように、戦場にその威容を現す。その姿は、まさに絶望の中に咲いた希望の象徴。
「オメガ、発進!!」
バーニングレッド・オメガの魂の号令と共に、オメガの背部に搭載された超高出力スラスターが、青白い閃光を伴って轟音を立てて点火。鋼鉄の巨体が、まるで重力の枷から解き放たれたかのように猛然と加速し、立ちはだかるグラヴィトン・ロードへと真っ直ぐに突撃する。
「小賢しい……! だが、その程度で、この私を止められると思うな!」
ジャスティスガーディアン・オメガの出現に、グラヴィトン・ロードもその警戒レベルを最大に引き上げ、その無数の赤い複眼を、より一層不気味に光らせる。そして、これまでとは明らかに異なる、より狡猾で強力な、そして予測不可能な新たな攻撃パターンを見せてきた。フィールド全体に超高密度の重力場を展開し、オメガの巨体そのものの動きを鈍らせようとする《ヘヴィプレッシャー・フィールド》。さらに、その背中に蠢く複数の巨大な触手から、追尾性能と破壊力を極限まで増した《グラヴィトン・ミサイル》を、まるで流星雨のように無数に発射してくる。
ジャスティスガーディアン・オメガは初陣であり、レッド5人の連携もまだ完全には最適化されていない。グラヴィトン・ロードの苛烈な猛攻に、巨体が激しく揺れ、コクピット内に衝撃と警告音が絶え間なく鳴り響く。
「くっ……! なんて途轍もないパワーだ、オメガのプライマリ装甲が、悲鳴を上げて軋んでるぞ!」ブレイズが、衝撃でシートベルトに身体を打ち付けられながら、悲鳴に近い声を上げる。
「敵の動きが予測できない! こちらの思考パターン、戦術アルゴリズムを、まるでリアルタイムで逆手に取って読んでいるかのようだ!」セイジの額にも、かつてないほどの冷や汗が滲む。
「焦るな! オメガの真価はこんなものではないはずだ! 俺たち五人の魂を、そして互いを心の底から信じろ! それが、この巨人を真に目覚めさせる唯一の鍵だ!」バーニングが、激しく揺れるコクピットで必死に仲間たちを鼓舞する。
地上でグラヴィトン・ロードの注意を引きつけ、その攻撃を捌いていたダークトリニティが、オメガの苦戦を見て、的確な戦術アドバイスと、捨て身の覚悟での援護攻撃を敢行する。
グリムが、ブレイジング・ノヴァの炎を極限まで凝縮した灼熱の弾丸を、グラヴィトン・ロードの最も脆弱と思われるセンサー部分に正確に叩き込みながら叫ぶ。「奴の左肩関節の付け根、そこがアイツの複雑な攻撃モーションの起点になっとる! 装甲も他の部位に比べて明らかに薄いぞ! そこを集中して狙え、バーニング! お前の新しい力なら、必ず貫けるはずや!」
ネビュロスが、絶対零度の冷気で巨大な氷の槍を瞬時に形成し、グラヴィトン・ロードの足元に寸分の狂いもなく打ち込む。必殺の拘束技!「敵の重力波攻撃には、約0.8秒のチャージタイムと、特有のエネルギー集積パターンがある。そのコンマ数秒の予備動作を完全に見極め、カウンターの一撃を叩き込め、ユナイト!」
ヴェルミリオンが、無数の幻影の蝶をグラヴィトン・ロードの周囲に展開させ、その巨大な複数の目玉を、まるで万華鏡のような幻惑の世界へと誘う。《カレイド・ファンタズム・イリュージョン》!「あの巨大な目玉、そのうちのいくつかは特に幻術に対する耐性が低いみたいね。僕がその感覚を徹底的に攪乱してあげるから、そのほんの一瞬の隙に、あなたたちの最大の弱点を正確に突いて!」
ダークトリニティの捨て身とも言える決死の援護を受け、レッド5人は徐々にジャスティスガーディアン・オメガの操縦と、それぞれのオメガフォームでの戦闘連携に慣れていく。ユナイトの的確な状況判断と神業的な重力制御による変幻自在の機動サポート、セイジの超高速戦術分析と敵の行動パターンの完全な弱点指摘、ジャッジの鉄壁の防御フィールド展開と的確なダメージコントロール、そしてバーニングとブレイズの魂を燃やす爆発的な攻撃力が、まるで一つの生命体のように、徐々に、しかし確実に噛み合い始める。
「見えてきたぞ……! あの鉄クズ化け物の動きのクセが、そして、俺たちが魂ごと叩き込むべき、たった一つの隙間が!」バーニングレッド・オメガが、その赤い瞳に揺るぎない確信の光を宿らせて叫ぶ。
レッド5人の心が、そして魂が、オメガという媒体を通じて完全に一つになった瞬間、ジャスティスガーディアン・オメガの内に秘められていた真の潜在能力が、まるで堰を切った奔流のように解放され始める。機体の動きはより滑らかに、より力強く、そしてその巨体は神々しいまでのオーラを放ち始める。
「いくぞ、みんな! 俺たちの、そしてこのジャスティスガーディアン・オメガの本当の力、あの鉄クズ野郎に、未来永劫忘れられないように思い知らせてやる!」
ユナイトの意志がオメガの機動システムと完全に同調し、巨体が重力の枷から解き放たれたかのように軽やかに、そして神速で舞い、グラヴィトン・ロードの予測不能な攻撃を紙一重で回避していく。
「《アルティメット・グラビティ・マニューバ》! オメガの機動、最大戦闘モードへと移行!」
セイジの意志がオメガの精密射撃システムと直結し、両腕から複数のエネルギー刃が射出され、グラヴィトン・ロードの装甲の隙間や関節部といった複数の弱点を、寸分違わぬ精度で同時に破壊していく。
「《セイクリッド・マルチプレックス・ストライク》!」
ジャッジの意志がオメガの防御システムを最大化し、魂の力を防御フィールドへと変換、仲間たちを敵のあらゆる反撃から完全に守護する。
「《インペリアル・ガーディアン・ソウル》! 我が魂の盾、未来永劫砕けるものか!」
ブレイズの燃える闘魂がオメガのブースターシステムと共鳴し、両肩部から爆炎を激しく噴射させながら、グラヴィトン・ロードの懐へと隕石のように突貫する!
「《ボルカニック・インパクト・フルドライブ》! この一撃に、俺の魂の全部を賭ける!」
そして、バーニングレッド・オメガが、戦局のクライマックスを告げるように、右手に構えた《バーニングブレイカー》を天に掲げた。その意志に呼応し、ジャスティスガーディアン・オメガの機体各部が共鳴するように輝きを増す。ブレードモードから、最大戦力を発揮する重砲撃形態であるキャノンモードへと《バーニングブレイカー》が最終変形を遂げる。
地上からは、ダークトリニティの三人が最後の力を振り絞り、希望のエネルギーをオメガへと送り込む。グリムのブレイジング・ノヴァの純白の炎が、ネビュロスの絶対零度の冷気が、そしてヴェルミリオンの幻惑の魔力が、三条の光の奔流となって天へと昇り、ジャスティスガーディアン・オメガの周囲、そしてバーニングレッド・オメガが構える《バーニングブレイカー》の巨大な銃口へと吸い込まれていく。
赤、白、蒼、紫──四色の聖なるエネルギーが《バーニングブレイカー》の内部で激しく混ざり合い、まるで銀河の渦のように、壮麗かつ破壊的な光の渦を形成する。それはもはや、個人の武器の範疇を超えた、仲間たちの魂と希望そのものを凝縮したエネルギー体だった。バーニングレッド・オメガの瞳が、その輝きを反射して燃えるように光る。
「喰らえ! これが俺たちの、いや、ここにいる八人全員の、未来を信じる希望の力だ! 友情と絆が織りなす、未来への最終奥義! 行くぞ、オメガ! 《オメガ・ユニゾン・バーニング・バスター》!!」
バーニングレッド・オメガの魂の叫びが、ジャスティスガーディアン・オメガのシステム全体に響き渡る。彼が《バーニングブレイカー》のトリガーを引くのと完全に同調し、ジャスティスガーディアン・オメガの胸部中央に位置する巨大なエネルギーコアが、極限まで圧縮された四色の超絶エネルギーを解放! それは一条の、世界を浄化するかのごとき巨大な光の奔流となって、グラヴィトン・ロードのコアを真正面から直撃する。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!」
巨大な爆発がイレギュラーフィールドの空を純白に染め上げ、グラヴィトン・ロードは断末魔の絶叫を上げながら、その巨体を維持できずに光の粒子となって、まるで雪が溶けるように静かに消滅していく。
激しい戦闘が終わり、戦場にしばしの静寂が訪れる。ジャスティスガーディアン・オメガは、その巨体を大地に静かに降ろし、まるで役目を終えたことを安堵したかのように、穏やかなシステム音を響かせた。コクピット内のレッドたち、そして地上で見守っていたダークトリニティのメンバーたちは、互いの健闘を称え合い、この困難な戦いの勝利の喜びを、魂の底から分かち合った。
しかし、イレギュラーフィールドの歪みはまだ完全には収まっていない。遠く、フィールドのさらに奥深くから、グラヴィトン・ロード以上の、より強大で、そして底知れぬほどに不気味なエネルギーの波動が、まるで地獄の底からの呼び声のように感じられた。
「やったな……! だが、どうやらまだ、この悪夢は終わったわけじゃなさそうだぜ」ネビュロスが、その鋭い視線をフィールドの深淵へと向け、警戒を解くことなく眉をひそめる。
(第8話『深淵への道標と不穏な影』へ続く)