幕間その2 アイリスの正体
私の名前はアイリス・ディネーブル
平民だったけど、このディネーブル伯爵家の養子になり、今年、グランシュタイン王国国立魔法学院に入学することになったの。
私の目標はただひとつ…
そう!ハーレムエンドを達成することよ!
何を隠そう、この私、
いわゆる異世界転生者なの。
しかもこのゲーム世界、スペリオール・ファンタジアは何周もやり尽くしているので攻略法はバッチリ!
サクッと攻略して、イケメンだらけのパラダイスを築くのよ!
と、張り切っていると、目の前から1人の少女が歩いてきた。
ゼクシア・クロムウェル
アイリスを虐める悪役令嬢、
彼女に虐められる可哀想な私を演出すれば、メインキャラの皆様も同情を買ってくださること間違いなし!
私はわざとゼクシアにぶつかりにいった。
「きゃ!」
と、わざとらしく転んで見せる。
本来なら、ゼクシアが平民出身の私を蔑んでくる…はずなのだが…
「大丈夫ですか?」
と、ゼクシアは手を差し伸べてきた。
「え…あ、はい…」
予想外の行動に戸惑ってしまったが、少し遅れて手を取った。
「あの、ありがとうございます、
私、アイリス・ディネーブルといいます」
と一礼すると、
「あら、ご丁寧にどうも。
私はゼクシア・クロムウェルと申します。
ぶつかってしまい申し訳ありませんでしたわ。
以後、お見知り置きを」
と、挨拶を返され、ではまた、と手を振って去ってしまった…
…あれあれ??
思ってたのと違うんだけど???
あ、そうか!
まだ学校が始まってないし、名前だけの自己紹介だから大してイベントにならないのか!
私ったらあわてんぼうなんだから。
と、頭をこづく。
「さぁ!これから私の物語がはじまるのよー!」
と気合を入れて、学校の方へ歩いて行く。