幕間その1 学園長のお仕事?
ゼクシアが部屋を後にしてから、グレイスは再びマーレインに姿を変え、仕事に戻ろうとする。
まず、ゼクシアに別れ際に相談されたこと…
にわかには信じがたい…いや、信じたくもないが
ゼクシアは嘘をつくようなことはしない。
「裏どりは…しておきませんとね」
と言うと、自身の仕事用の机にある、通信連絡用の水晶に魔力を注いだ。
「王妃様、いかがいたしましたか?」
相手はグレイス専属の従者である。
グレイス=マーレインであることを知る数少ない人物の1人である。
「すぐにこの人物達の身辺調査を行いなさい。くれぐれもバレないように…ね」
かしこまりました、と通信は切れる。
「はぁ……」
グレイスはため息をついた。
本当はゼクシアを全面的に味方してあげたいのだが、立場上、そうするわけにもいかない。
ただ、事実でないことを願うだけだ。
と、憂いていると、外から大きな衝撃音が聞こえる。
魔獣が出現したようだ。
「ああ、またゼクシアちゃんが戦いに行くのね…」
こうしちゃいられない!と、
マーレインは再び映像記録用の魔道具を起動させ、音のあった方へ飛ばした。
その映像は記録できるが、今直接見ることも出来る。
手元の水晶に映像を映した。
ゼクシアが魔獣と戦っている。
心配だが…これはあくまで調査…
そう、魔獣の調査の一環だ。
後で王妃命令で魔獣の死骸も回収させるし…
そう自分に言い聞かせて、映像に目をやる。
ヒヤヒヤはしたが無事に勝利したようだ。
ホッと胸を撫で下ろしていると、聖剣神からゼクシアが出てきて、こちらを向いた。
「何のつもりかしら」
と疑問に思っていると、満面の笑みでVサインをしていた。
「くぅぅぅぅ……!!」
かわいい…あまりにもかわいい…!
マーレインはいきなり、バン!と机に突っ伏して、両手をバンバンと叩き悶えていた。
防音魔法は…とっくに解けている…