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第26話 ゼクシアの断罪③

 サフィーロ達が行方不明になった次の日、ゼクシアとセリオン、ライオニールはその報を受けて食堂へ集まっていた。

生死は確認されていないが、アシュレイドの命令で捜索は打ち切られたとのことだ。


「ふっざけんな!あいつが…サフィが死ぬわけがねえだろうが!」


 ライオニールはテーブルを叩く。

荒っぽい行動は相変わらずでも、その言葉に元気はない。


「落ち着け…ライオニール…」


 セリオンはライオニールを止め、ゼクシアの方に目線を向けた。

姉のように慕ってくれていたフィル、

母のように愛してくれたグレイス、

そして、信頼していた仲間のサフィーロと、一気に3人も大切な人がいなくなったのだから…


「あ、いや…ゼクシア…」


 ライオニールはゼクシアの心情に気付き、言葉を失った。

ゼクシアはにっこりと笑った。


「私は大丈夫ですわ、ライオニール様。

ここで立ち止まっては、それこそ皆さんに顔向け出来ませんわ。

まぁ、道が崩れてしまった…というのを偶然と片付けるほど、私は甘くはありませんが…」


 セリオンもライオニールも同調する。


「おそらくゲオルグ伯爵…そして殿下も一枚噛んでいるのかもな…

フェルナンド様が亡くなれば、後次は自分だけだし、

グレイス王妃がいなくなれば、自分が国王に即位出来る…ということだろう」


「自分の天下のために家族も殺したってのかよ…

ふざけやがって…

そんな奴がこの国の王になるってのか…」


「人聞きが悪いことを言わないでくれないかな、野蛮人」


 ふと声のする方を見ると、アシュレイドとアイリス、そして見知らぬ男性が2人いた。

1人は髭を蓄えた50代くらいの男性…

まあ、誰なのかは概ね想像はつく。

もう1人は20代後半から30代くらいの若い男…

従者なのだろう、髭の男の後ろに立っている。


「誰が野蛮人だ!」


 ライオニールの返事にアシュレイドは鼻で笑った。


「これは失礼した。あまりにも品のない口調だったものでつい…な」


 ライオニールをなだめながら、ゼクシアは質問する。


「何のご用ですか?

私達としては何にも話すことはございません…と、以前お伝えしませんでしたか?」


「ずいぶんと冷たいものだな…まあ、いい。

今日は貴様らに重要なことを話すために

わざわざ来てやったのだ。

と、その前に…こいつはゲオルグ・ディネーブル伯爵だ。

アイリスとの婚約を機に、私の宰相として迎え入れることになったのだ」


 ゲオルグと呼ばれた男は礼をした。


「お初にお目にかかります。ゲオルグ・ディネーブルと申します。

後ろの男は従者のリブルです。どうぞお見知りおきを…」


 リブルと呼ばれた男もまた、軽く一礼をする。

ゲオルグはさらに話を続けた。


「では改めまして、国王がお目覚めにならないこと、

王妃が行方不明なこともありまして、アシュレイド様が急遽、国王に即位されることとなりました。

それに伴って、ゼクシア嬢とお父様であるレーベン侯爵の裁判の日が決まりました。

明日の戴冠式の後におふたりの裁判を執り行います。

そちらのお二方もご一緒に…」


「……ずいぶんと急だな…そんなに急ぐことでもあるのですか?」


 セリオンの質問にはアシュレイドが答えた。


「父も母も不在なのだ。

このまま玉座を空席とするわけにもいかないだろう…

残念ながら、我が威光を示すためにも、貴様ら反逆者には尊い犠牲になってもらおう」


 ゼクシアはため息をつき、ふとアイリスの方に声をかける。


「アイリスさん、よくずっと一緒にいられますわね。

悪いことは言いませんから、早いうちに貴女の方から見切りをつけた方がよろしいかと思いますよ?

いつか貴女が切り捨てられますから…」


 アシュレイドを挑発する意味も込めて嫌味たっぷりに言ったところ、すぐに乗ってきた。


「だまれ!貴様に何がわかる!私はこの国の時期国王だ!

その証拠に、貴様のかつての仲間も私を王として崇めているのだぞ」


 そう言うと後ろから1人の男が現れた。

赤い髪と赤い瞳…見覚えがある…

いや、見間違えるはずもない。


「……ローランド…様?」


 そこに立っていたのは紛れもなくローランドであった。

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