第23話 5人で戦いますわ
外に出た5人を待っていたのは想像を超えた相手であった。
巨大な翼…長い尻尾と首…鋭い牙と爪…頑丈そうな鱗…
そう、伝説に名高いドラゴンそのものである。
予想だにしない相手にライオニールは驚いた。
「…うそだろ…こんなのまで作れるってのかよ…」
全員が警戒している最中、ただひとり…ゼクシアだけは目をキラキラと輝かせていた。
「ド、ドラゴン…!ドラゴンですわぁ〜!
すごい!すごい!カッコいい〜!!」
「…あの、ゼクシア?感動してる場合じゃないと思うよ?」
ローランドが冷静に諭す。
他の3人は思わずクスッと笑ってしまった。
「ど、どうしましたの?皆様」
「いやぁ、ゼクシアはさすがだなって。ねぇ、ライ」
「まったくだぜ、緊張感なさすぎだろ。なあ、セリオン」
「ああ、だがそれでいいのかもしれないな…
これは勝てない相手じゃない。
みんなで力を合わせれば倒せる。
行こう!ゼクシア!」
「ええ!行きますわよ!みなさん!」
魔獣の咆哮が響き渡り、5体の聖剣神が散開する。
魔獣の口から火が漏れ出るのが見えた。
ブルーセリオンは氷の弾丸を撃ち、注意を惹きつける。
「こっちだ!」
魔獣は挑発に乗り、ブルーセリオンの方へ炎を吐く。
「ブリザードウォール!」
ブルーセリオンは氷の壁で炎を防ぐ。
次第に氷は溶けていくが、セリオンは焦ることなく壁を魔法で強固なものにしていく。
「僕は囮さ…頼むぞ、みんな!」
ブルーセリオンに注意がいっているところに、ライオサンダーとウィンドファルコンが翼を切断する。
そして、首をゼクスカイザーが、尻尾をフレイムセイヴァーが剣で両断した。
「なんだ?あっけねえじゃねえか」
ライオニールが余裕を見せていると、魔獣の切断された全ての部位が一瞬のうちに生えてきた。
「なに!?なんて再生スピードだ!?」
セリオンが驚く間もなく、再び炎のブレスがブルーセリオンを襲う。
再びブリザードウォールで防ごうとするが、先ほどよりも溶ける速度が早くなっていた。
「くっ!…防ぎきれない…!」
「ソニックブーストナッコォ!」
ゼクスカイザーが魔獣の真下から腕を飛ばして顔面に攻撃を仕掛ける。
ゼクスカイザーの拳は顎に直撃し、ブレスは中断された。
「セリオン様!ご無事ですか!?」
「ああ、すまない、ゼクシア。
みんな気をつけろ!炎の威力がさっきとは桁違いだ!」
「なるほど…もしかしたら再生するたびに強くなる魔獣なのかもしれないね。
よく見ると、さっきより禍々しくなってる気がするよ」
サフィーロは空から魔獣を観察した。
よく見ると、再生した部位はどれも先程より鋭くトゲトゲしくなっているように見える。
「どうするんだ?ゼクシア」
ライオニールに聞かれ、ゼクシアは少し考えた。
「ならば、強くなられる前に一気に決めるとしましょう。
それとせっかくですし、こちらも奥の手を切らせてもらいましょうか」
「…奥の手?何のことだ?」
ライオニールの問いには答えず、ゼクシアは指示を飛ばす。
「ローランド様、セリオン様、奴の翼をお願い致します。
傷口を凍らせれば再生はできないと思います。
その間にサフィーロ様とライオニール様はこちらへ」
「でもブレス攻撃はどうするのさ?」
サフィーロの問いに、ゼクシアはすぐさま返す。
「お任せください。ちょっとの間、お口にチャック、ですわ」
ゼクシアは人差し指を口元に当てる。
意味のわからない発言を聞き返す暇もなく、魔獣は再び炎を吐き出す体制になる。
「させませんわ!スピンネット!」
ゼクスカイザーは網を口元に向かって放った。
魔獣はの口は網で絡まり、なんとか取り除こうともがき始める。
「今だ!!」
フレイムセイヴァーが両翼を切断し、ブルーセリオンが凍らせる。
「これですぐに再生は出来まい!」
ブルーセリオンが今度は足元を凍らせにかかる。
フレイムセイヴァーはゼクスカイザーの前に立ち、盾を構える。
「それでゼクシア?どうするの?」
サフィーロが聞く。
「もちろん、合体しますわよ!」
「お?合体か!久しぶりだな!当然、俺様とだよな?」
「いやいや、僕でしょ?ライは譲らないよ」
ライオニールとサフィーロが言い争いを始めてしまった。
「…ゼクシア、どっちと合体するんだい?」
ローランドの問いにゼクシアは嬉しそうに答える。
「ふふ、もちろん!おふたりとも、ですわ!」
「「「………はい?」」」
発言の意味がわからず3人はキョトンとした返事を返すしかなかった。
ゼクシアは構うことなく合体準備に入る。
「いきますわよ!超!風雷合体!!」
ゼクシアの叫びと共に、ライオサンダー、ウィンドファルコン両機が腕に変形する。
ライオサンダーは右腕に、
ウィンドファルコンは左腕と背中に合体した。
すると、ゼクスカイザーの頭上に王冠のようなものが現れ、それを両手で掴み被った。
ゼクスカイザーの口元がマスクのようなもので覆われた。
「キング!ゼクス!カイ!ザーー!」
ゼクシアが雄々しく名乗りをあげると、
最強の聖剣神、キングゼクスカイザーは降臨した。